優勝した岡田絃希は今週、池0、ダボ0。1日あたりボギーは2つほど。「でもそれも許容範囲のボギー。もったいないボギーが少なかったですね」と振り返る。スコアを崩す要因を徹底的に排除し、ミスの質を抑えた。地味ではあるが、確実に積み上げたプレーの精度が、この勝利につながった。

優勝した岡田
優勝の瞬間を迎えた岡田の表情は、晴れやかだった。「すごく気持ちいいですね」と率直な言葉を口にする。ツアーで戦う日々は、常に「あと1打良ければ」「あそこであのミスをしなければ」と反省の繰り返しだという。
「気持ちよくクラブハウスを出ることなんて、ほとんどない。でも今日は違いました」。悔いのないラウンド、そして納得の勝利。
最終18番のアプローチは圧巻だった。「めちゃくちゃ上手かったですね(笑)」と自らも認めるほどの完璧な一打。ボードには百目鬼が「−7」と表示され、自身もチップインなら「-7」に。そうなれば2位以上が確定。そうなれば裏シードも獲得できる。それを瞬時にシミュレートし、狙った一打だった。

リーダーズボードの前で
入れた瞬間にボードをみると、さっきまで「−7」だった百目鬼のスコアが「−5」に。「あのボランティアさんのスコア入れ替えのタイミングが早くなくてよかった」と笑うあたりにも、緊張と興奮が入り混じる舞台裏が垣間見える。
前夜にQTを申し込んだといい、その直後に優勝というドラマチックな展開。裏シードという現実的な目標のなかで、勝利という最高の結果をつかんだ岡田。彼が語る「気持ちいい」という一言には、数字や順位を超えた充実感が詰まっている。次なる挑戦はすでに始まっているが、この勝利は間違いなく、彼のキャリアに確かな手応えを刻んだ。
小田孔明、“一区切り”の決断
一方、この大会をもってツアーからの一時休戦を発表したのが小田孔明だ。
「QTも受けない。あと2年半ゆっくりしてシニアツアーに行こうと思います」と静かに語る。長年、体の不調と戦いながらもツアーを支えてきたベテランは、「予選は通るかもしれないが、上位に行ける自信がなくなった」と率直に胸の内を明かした。
恩義あるエリートグリップ社への感謝を込めて出場した今大会を“最後の舞台”と位置づけ、「今日で終わり」と同組の選手にだけ伝えたという。
「もう十分戦った。若い選手の時代だし、自分の思い通りのゴルフができなくなってきた」と語る小田。
今後はシニア入りを見据え、「体力づくりをしながら、一度しっかり休みたい」と笑った。
戦い抜いた男が選んだ“静かな勇退”。岡田の歓喜と小田の決断——この週末は、チャレンジツアーの歴史に残る節目となった。