
キャディたちが計測した距離やグリーン傾斜などが記されたヤーデージブックのもと
例えば、フロントスタッフたちはクラブハウス周りに咲いていた花を押し花にし、しおりを作ってメンバーへプレゼント。コース管理課では施設内から出る生ゴミや枯れ木などを堆肥化(コンポスト)し、その堆肥はクラブ内の各所において循環利用された。
また、レストランスタッフはストックしておいた廃油でミニキャンドルを作り、女性メンバーに贈るといった粋なことも実践。コース課の担当者はロストボールを集めて作った飾りをティーマークにしたり、コース内の間伐材(檜など)を利用してシューズキーパーや香り袋を作製し寄付をしたことも興味深い事柄と言えるだろう。
敷地内の枯れ木を加工し、南スタートハウス横にある浅間神社の鳥居に使ったこともあり、さらにキャディ課では各ホールの距離やグリーンの傾斜をPDFデータにまとめてHPに掲載しているが、そこにはヤーデージブックの作り方を解説する動画まで付いている。
また、コース内にある池の景観をよくしようと、放水による藻の除去や、水面の美化や水質浄化に有効な水草(シュロガヤツリ)の水上栽培を行ったこともある。「これらはサービス向上の一環として従業員による小集団活動の成果です。部署ごとにチームを作って、それぞれがテーマを決めて活動し、毎年12月には休場日を利用して発表会を行っています」と同CC支配人の渡部裕司氏。
きっかけは、品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO9001認証取得であったという。そのことが従業員たちのモチベーションを上げ、質の高いサービスとともに、環境への配慮などの意識が高まったというのである。
同CCは1961年開場。設計したのはプロ設計家ではなく植物学者の相馬正胤(まさたね)。旧相馬藩主の末裔、東京GC・駒沢で日本初のベント芝を開発した孟胤(たけたね)の弟。林間コースの名門として称えられている。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年10月21日号「バック9」より