
会見に臨むアニカ・ソレンスタム(撮影/田中宏幸)
「日本のゴルフ場に来るのは久しぶりなのでワクワクしています。この大会(アニカ・インビテーショナル・アジア)が12回目を迎えた今回、はじめて日本で開催する運びとになりとてもうれしく思っています」と柔和な表情で語りはじめたアニカ。
スウェーデンから世界に羽ばたき全米女子オープン連覇を含むメジャー11勝、LPGAツアー通算72勝を誇る彼女のライフワークは女子ゴルフの未来を切り拓くことだ。
「この大会では選手たちに楽しんで、いい経験を積んで欲しいのが第一ですが、他の選手と交流して絆を育んだり、リーダーシップを学んだり、競技を超えてこれからの人生に活かせるヒントを学んで欲しいと思っています」
日本開催は1回目だが息の長い大会に育ていずれは「ジュニアたちにアニカ・インビテーショナルには絶対出たいよね、と思ってもらえるような大会にしていきたいですね」。
また将来的には「この大会がショーケースとなってアメリカの大学のコーチたちが視察に訪れるようなイベントになればうれしいです」。
じつはアニカも日本で開催されたカレッジゴルフのイベントにスウェーデン代表として出場したとき会場を訪れていたアリゾナ大学のコーチにスカウトされアメリカに留学した経験を持つ。
「あのとき日本に来ていなかったら私の人生はまったく違うものでした。若い選手たちにもいいタイミングにいいチャンスを与えたい」
アニカ財団の目的は「ゴルフと人生を通して世界中の若い女性にチャンスを与えること」。ジュニアやアマチュア、そしてプロにも競技に出場する機会を提供しているが「ゴルフを超え人生を豊かにする術を学んでもらいたい」と考えている。
「ゴルフは人生と似ています。集中力や忍耐力、決意、やるべきことをやり遂げる力。
私もそれら人生に必要なスキルをゴルフというツールを使って学び、磨いてきました」
ゴルフだけの人生には落とし穴がある。というのもアニカはジュニアのころ真剣にテニスに取り組んでいた時期があるのだが、あまりにも勝負にこだわりすぎ、試合に負けると自分はダメだ、と人間性まで否定するようになった。そして遂にバーンアウト(燃え尽き症候群)した経験がある。
だから彼女は一貫して「ゴルフは人生の一部だ」と主張するのだ。
「引退したあとの人生はゴルフで学んだことがすごく役に立ちました」
2人の子供を育てる母親でもあるレジェンドは世界中を飛び回って女子ゴルフの未来を輝かせようとしている。アニカの言葉には人生のヒントが詰まっている。