
会見でR&A、およびマスターズ委員会から送られてきたフラッグを披露する山中博史オープン事業本部本部長(左)と戸張捷ゼネラルプロデューサー(右)
優勝の先に待つ「2大メジャー」の切符
今大会で最も注目されるのは、優勝者がマスターズと全英オープンという2大メジャーの切符を同時に手にすることだ。
マスターズ委員会からはフラッグが届いており、優勝者に贈呈される。ただし、現時点でマスターズの出場資格を持つアダム・スコットが優勝した場合、その招待枠は2位以下の選手には移行しないというルールが適用される。その他の選手が優勝すれば、来年のオーガスタ行きが決定する。
JGAは、このメジャー招待枠が「選手のモチベーション向上に大きく貢献している」と強調。優勝スコアは風やコース状況次第だが、現代のゴルファーの技術を鑑みれば「2桁アンダーになるだろう」と予想されている。
コースレート76.1! 難易度を極めた日光CC
今年の開催地、日光カンツリー倶楽部は、トーナメント仕様へのセットアップによって、究極の難コースへと変貌を遂げた。
● コースレートは74.8から76.1に上昇。
● スロープレートは平均的な113に対し、今回は154という高い数値を記録した。
※コースレートはスクラッチプレーヤー(ハンディ0のプレーヤー)が基準であるのに対して、スロープレートはアベレージゴルファーを基準にコースの難度を設定している。スロープレートの数字は55から155で、数字が大きいほど難しいコースということ。この数字はスコアの数字を表しているわけではなく、113が平均的な難度のコースである
難易度を高めるため、グリーンは目標速度12フィートに設定。ラフは10センチ(100ミリ)に刈り揃えられ、さらにラフが寝ないようブロワー(送風機)で芝を起こす作業まで行われるという。
また、ホールレイアウトにも手が加えられた。プロにとって不公平となる、グリーンへのラインを妨げる枝葉の約8割を排除し、ショットの公平性を確保した。
さらに、通常パー5の9番と10番ホールは、距離のあるパー4に設定され、難度が極限まで高まっている。
悪天候と「クマ」への異例の対策
大会初日は30ミリ近い雨が予想されており、JGAは水はけを良くするための浸透剤散布など、悪天候への対策を急いでいる。
さらに、近隣での子グマの目撃を受け、行政と連携した異例のクマ対策も講じられる。コース周囲にクマが嫌がる忌避剤を散布するほか、関係者にホイッスルやスプレーを持たせる、ギャラリープラザの食材を毎日持ち帰るなど、徹底した安全管理を行う方針だ。
万が一、悪天候で競技が日曜に終了しない場合は、月曜日を予備日として設定し、72ホールの完結を目指す。今年の日本オープンは、メジャー切符、難コース、そして自然との戦いという、過去に類を見ない試練の舞台となる。
撮影/姉崎正