日本の夏の酷暑に耐え切れず、グリーンをベントグラス(以下ベント)から暖地系の芝へ切り替えるゴルフ場が引きも切らないが、ベントにこだわるコースもある。愛知県にあるセントクリークGCは27ホールのグリーンを9ホールずつ3年計画で全面改修を行うと発表した。

愛知県にあるセントクリークGC
今年10月~来年4月はEAST、翌年以降は同日程でWEST、SOUTHを閉鎖して工事していく。同GCのグリーンは昨年から高温によるダメージを受けた。そもそもベントは寒地系の芝で暑さに弱い。それでも品種改良されて昼間が高温でも、夜に気温が低くなって水まきすれば回復していた。ところが昨今の夏は夜でも熱帯夜が続き、まいた水もお湯状態になり根腐れや藻が茂ってついに……。
同GCは1989年開場した27ホールで全長は10492ヤード。コース設計は帝王ジャック・ニクラス。世界41カ国で400もの設計を手掛けていて評価は高い。同GCも開場当初、高級感のあるコースの佇まいやクラブハウスの雰囲気が大きな話題になったりした。ニクラスが設計した27ホールはペンクロスの1グリーンで、開場以来35年間使用してきた。
「グリーンが損傷してからニクラス事務所と連絡を取り合って、次の芝は何がいいかを相談してきました。ただベントであることは必須でした」(セントクリークGC)
同GCが暑さに強いティフトン(バミューダ芝を品種改良)ではなく、ベントを選択したのはやはり均質な速さを実現できる高品質ゆえだったという。そのベントはより耐暑性の強い第5世代といわれるピュアディスティンクション。あのオーガスタナショナルGCの芝から選抜・育成された品種で、現在全米でもっとも採用されているという。
日本では伊香保CC(群馬県)でも採用。同GCでは懸念された芝の種も確保でき、すでにナーセリーで試験導入もできたという。高速第5世代のグリーンが楽しみである。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年10月28日号「バック9」より