
プレーヤーが回りやすい"ルーティング"を変更した有馬CC
兵庫県にある有馬CCがそれだ。同CCは「リブランディングプロジェクト」を立ち上げ、ゴルフカート道路の一部新設だけを行い、ホール自体の改修工事は一切行わずルーティングを変更したという。
このルート変更の目的を同CCの支配人、稲葉宏保氏は「まずはプレーヤーのスムーズな進行が目的でした。以前は2~4番ホール(H)が詰まりやすく、スタートホール直後の2番Hから“待っている"状態でした。この入りの部分の詰まりを解消しようと、半年前から計画、工事を実施しました」。同CCは難しい上がり3H(7番、8番、9番)が売り物だったが、後半9Hがアウトコースだった場合、最後の最後でスコアを乱し、がっかりして帰るケースが多かったという。
新アウトコースでは難易度HC1の旧7番Hを新2番Hにして距離の短い旧4番Hを新7番Hへと変更。これにより旧2番Hでの前組のドライバー待ちを解消。後半ホールへのプレッシャーも軽減し、好スコアが期待できる流れとした。また、前半でドライバーを思い切り振れるホールを連続させることで、プレーヤーが伸び伸びとスウィングできるホール建てを構築した。フェアウェイの狭いホールは中盤以降に配置し、コースに慣れた状態で技術を発揮してもらいたいとの配慮をしたという。
ルート変更に伴い、ゴルフカート道路の新設工事が一部行われた。1番Hから新2番Hおよび新4番Hから新5番Hへのジョイント部、並びに新2番Hおよび新7番Hから8番Hへのジョイント部が新設された。さらに既設の茶店とトイレが新4番Hに位置するようになることから、アウトコース後半の利便性向上のため、新7番(旧4番)Hの避難小屋をトイレに改装する工事も進行している。
同CCは1960年開場。原設計は東工大を卒業し、大倉土木(現在の大成建設)に在籍、プレーヤーとしても卓越していた保田与天。1983年の大改修を経て今回のルーティング変更に至っている。ゴルフコースというのは造成即完成ではなく、手をかけていくことで進化していくのである。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年10月28日号「バック9」より