
3日目を終え、2位と4打差の首位に立った清水大成
この「63」というスコアは、日本オープンの最少ストローク記録「62」にわずか1打差に迫る記録であり、清水自身も「5アンダーぐらいは、噛み合えば行けるんじゃないかと思っていましたが、それを越えたので、いいプレーできた」と、その出来に驚きを隠さなかった。
4打差リードを生んだ「神懸かり的なパット」
清水のビッグスコアを支えた最大の要因は、フィールドを圧倒するパッティングの精度にある。
部門別データを見ると、清水のパット力は群を抜いている。
3日目平均パット数 | 1.3846(第1位) | 1.8037(フィールド平均) |
全体平均パット数 | 1.5143(第1位) | 1.8505(フィールド平均) |
3日間のトータルでも平均パット数1位を記録しながら、ムービングサタデーといわれる3ラウンド目ではさらに数値を伸ばし、他選手を凌駕した。
本人のコメントもこの数字を裏付けている。
「ライン読みがすごく合っていて、それ通り打てたら入るみたいな感じです」
1番の約6メートルのバーディパットを皮切りに、次々とチャンスを沈めたことが、この日の流れを作った。清水は「1番で気持ちよくバーディパットが打てたので、今日1日のパターのフィーリングが、よかったんじゃないかなと思います」と語り、序盤のパットが自信に繋がったことを明かした。
修正したショット

スウィングの問題点を修正したことがショットの好調につながっている
パットが決まる土台となったのは、先週の調整が実を結んだティーショットの安定性だ。
清水は3ラウンド目はフェアウェイキープ率72.222%(7位)、パーオン率85.185%(4位)と、いずれも大会トップクラスの数値を叩き出した。
「ティーショットがすごく安定していたため、いい位置から2打目を打てて、チャンスも作れて、決めることが出来ました」
先週の「ベイカレント C レクサス」に出場できない期間、スウィングをよかった時と比較して試行錯誤した結果、「スライスを打ちた過ぎてアウトサイドに上がりすぎて、逆にフェースが左向いてしまっていた」問題を修正。この微調整が、難関コースの狭いフェアウェイを捉える生命線となった。
メジャー優勝経験がもたらす冷静さ
2025年『日本プロゴルフ選手権』でツアー初優勝を飾っている清水は、メジャータイトル獲得の経験を活かし、終始冷静だった。
「自分がトップに立っていたのは分かっていたんですけど、あまり考えず、1打1打に集中できました」
日本プロでは「追う立場から中盤で追われる立場」を経験しており、その時のメンタル管理が活きているという。
明日、最終日。この大舞台で優勝すれば、ツアー初優勝と2勝目がともに日本タイトルとなる史上4人目の快挙となる。
「色々と考えすぎず、明日また1日自分のプレーをすることだけに集中して頑張ります」
パットの優位性を武器に、清水がメジャー2勝目、そしてマスターズへの切符を掴み取るのか。その最終日のプレーに注目が集まる。
撮影/姉崎正