10月19日、男子ゴルフのメジャー「日本オープンゴルフ選手権」は、最終日に2位以下に4打差をつけてスタートした清水大成が「77」を叩き、片岡尚之の後塵を拝すという劇的な結末を迎えた。難攻不落の日光カンツリー倶楽部で、3日目まで平均パット数1位という圧倒的な数字で独走した清水は、なぜリードを守りきれなかったのか。彼の最終日のプレーと、劇的に悪化したスタッツから、敗因を分析する。
画像: 最終18番Hでティーショットを左に曲げ、17番ホールのラフからセカンドショットをする清水大成

最終18番Hでティーショットを左に曲げ、17番ホールのラフからセカンドショットをする清水大成

劇的に悪化した生命線:スタッツが示す「崩壊」の真実

清水が3日間の独走を支えていたのは、修正したティーショットと、神懸かり的なパットの精度だった。しかし、最終日、その生命線が同時に崩壊した。

スタッツ3日目最終日
平均パット1.3846(1位)2.0000(58位)-0.6154
フェアウェイキープ率57.143%(17位)21.429%(66位)-35.714%
パーオン率72.222%(7位)38.889%(58位)-33.333%

パットの崩壊:3日目に「ライン読みが合っていて、それ通り打てたら入る」と語った平均パットは、一気に最下位レベルに転落。パットが武器ではなくなった。
ショットの乱調:フェアウェイキープ率とパーオン率も大幅に悪化。ドライバーだけでなく、アイアンでもグリーンを捉えられなくなり、パーセーブのチャンスすら遠のいた。

編集長が見た「微妙な歯車のズレ」が引き起こした悲劇

清水自身はラウンド後、「自分的にはナイショットしたのが、ちょっとラフに入ったりという、微妙にかみ合わなくて、それを最後まで修正できず」と、序盤の不調を「ミスショットではない」と分析した。

しかし、後半、この「微妙なズレ」が、難コースで許されない「乱調」へと変わっていく。

11番チップイン後の悲劇

清水は序盤こそ5番ダブルボギー、7番ボギーとスコアを落としたが、難しい9番をパーセーブ。そして、11番パー4ではティーショットを曲げるも、セカンドを花道に運び、サードショットをチップインバーディとする。この瞬間、勝負あったかに見えた大きなガッツポーズが飛び出した。

しかし、その直後、運命の歯車が大きく狂う。

実測243ヤードの12番パー3のティーショットでアイアンを大きく右に曲げ、ボールはボランティアスタッフに当たって導線上に停止。そこからのリカバリーは難しく、ダブルボギーを叩き、この時点で原敏之に1打差まで詰め寄られる。

寒さが呼んだ「乱調」

画像: 15番のティーショットを右に曲げ、岩石群のなかからのセカンドでフェアウェイに出すだけとなった清水大成

15番のティーショットを右に曲げ、岩石群のなかからのセカンドでフェアウェイに出すだけとなった清水大成

13番あたりから雨が降り始め、気温が下がった影響もあったのか、ここから清水のティーショットは、ドライバーに限らず左右に大きく曲がり始めた。

15番ではティーショットをラフより右の石群の中に打ち込み、ボギー。そして17番、セカンドがグリーン右のラフにつかまると、サードショットを上手くコンタクトできず再びラフへ。この連続ミスでダブルボギーを喫し、ついに首位を明け渡す。

最終18番、バーディでプレーオフという土壇場。ティーショットをこれまでにないほど左に曲げ、隣ホールへ。起死回生の一打もカップに届かず、万事休すとなった。

清水の敗因は、3日間の完璧なバランスが、わずかな悪条件によって、パットとショットの生命線が同時に、そして劇的に機能不全に陥ったことにあるのではないか。

「最後の上がり3ホール、4ホールは本当にひどいゴルフだったと思います」と自ら語った清水。日本オープンという最高の舞台が、彼に勝負の厳しさを残酷なまでに突きつけた。

撮影/姉崎正

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