女子ゴルフの今季国内ツアー第30戦「富士通レディース」最終日が19日、千葉県・東急セブンハンドレッドC西C(6697ヤード、パー72)で行われ、首位から出たプロ11年目で29歳の木村彩子が6バーディ、2ボギーの4アンダー68で回り、通算12アンダーで逃げ切り優勝を果たした。2022年アース・モンダミンカップ以来3年ぶりの通算2勝目。高橋彩華、神谷そら、桑木志帆が4打差の通算8アンダーで2位を分けた。主催者推薦で出場した渋野日向子は2オーバー74と崩れ、通算イーブンパー40位にとどまった。
画像: 「富士通レディース」でツアー2勝目を挙げた木村彩子(撮影/岡沢裕行)

「富士通レディース」でツアー2勝目を挙げた木村彩子(撮影/岡沢裕行)

難コース&強風にもかかわらず、2位と4打差圧勝

画像: 最終18番ではカメラマンの位置を把握する余裕があった(撮影/岡沢裕行)

最終18番ではカメラマンの位置を把握する余裕があった(撮影/岡沢裕行)

木村がスキのないゴルフで圧勝した。最終日は難しいピンポジション、強い風に深いラフ。ライバルたちがスコアメイクに苦しむなか、4アンダー68をマークし、2位に4打の大差をつけて逃げ切った。ウイニングパットを沈めた直後は両手を突き上げて万歳。グリーンサイドで見守った同世代の永峰咲希、柏原明日架からハグで祝福を受けると、底抜けの笑顔になった。

「昨日の夜から緊張で眠れなくて、逆に優勝したときのスピーチのシミュレーションをしながら寝ていたんですけど、18番で(2位との)差があったので、考える余裕があって、カメラマンさんがどこにいるか確認して両手を上げてポーズを取りました」

最終組で一緒に回った高橋、渡邉彩香が1番パー5でバーディを奪い、この時点では3位に後退したが、4番パー3で4メートル、5番パー4で3メートルを決めて連続バーディ。渡邉が7番をボギーとした時点で単独首位に浮上し、8番パー3はティーショットを30センチにつけて逃げ切り体勢を固めた。折り返し後も10番パー5で第3打を20センチにつけ、13番パー3は5メートルのフックラインを読み切り、16番パー5は2オンに成功して差を広げた。最終18番こそ第2打をグリーン奥に外してボギーとしたが、2位との5打差が4打差になっただけで余裕を持ってVゴールを駆け抜けた。

「前回の優勝はだいぶ前の組で自分がスコアを上げての優勝だったので、競っての優勝という経験をしたことがなかった。今回は自分がどうなるか不安でしたけど、緊張にも打ち勝つことができてうれしいです」

同性代の活躍も発奮材料にした。今季は自分と同じ1995年度生まれの永峰、柏原が通算3勝目を挙げ、堀琴音がメジャーの日本女子オープンで通算3勝目をマーク。金澤志奈もメジャーの日本女子プロゴルフ選手権で初優勝を果たした。

「今年は同級生が頑張っていたので、私も続きたいなと思って試合に臨みました。これからもたくさん勝てる選手になれるように、そして同級生で盛り上げていけるように頑張ります」

トップを高くしてショットの安定感が増した

画像: ショット力がアップし、今季の平均ストロークは昨年の71.6998 (42位)から70.9299(11)にアップしている(撮影/岡沢裕行)

ショット力がアップし、今季の平均ストロークは昨年の71.6998 (42位)から70.9299(11)にアップしている(撮影/岡沢裕行)

技術的には指導を仰ぐ南秀樹コーチのアドバイスで2023年からトップを高くする練習に取り組んできたが、それが身に付いてきたことが今回の優勝を支えた。

「(トップを高くして)変わりましたね。一番はフェアウェイからもそうですけど、ラフから打てるようになりました。今日の9番や18番のセカンドはラフからでしたが、トップが低いとインから入ってきやすくてラフに絡まって左に飛んだりしていたんですが、トップを高くしたことによって、上から入るようになって安定しました」

大阪府枚方市出身。10歳でゴルフを始め、高校は千葉県・聖徳大付属女子高へ進学して腕を磨いた。初挑戦で不合格だった2014年プロテスト後は都内の中古ゴルフクラブショップで販売員のアルバイトを務めながら練習を積み、2015年7月のプロテストに2度目のチャレンジで合格。2018年に賞金ランク43位で初シードを獲得した。初優勝を果たした2020年から昨季までは4年連続でシードを維持している。趣味は車、EXILEのライブ観戦という一面も持っている。

3年ぶりの優勝で今季最終戦「JLPGAツアー選手権リコーカップ」出場も決まった。

「やっぱり一番の目標はメジャーチャンピオンになりたいなって思っているので、最終戦のリコーカップが残っているので、そこは勝ちにいきたいなと言ったらあれですけど、すごく意識したいなと思います。そんなに目立ったプレースタイルもないので、息の長い選手にまずはなれるように、そこを意識してこれからもやっていきたいです」

11月2日に30歳の誕生日を迎えるが、充実の時期を迎えた木村にとっては通過点に過ぎない。

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