硬く速いグリーンに対応したマネジメント力とパッティング
「富士通レディース」では野澤真央選手のキャディとして現場でサポートしてきました。過ごしやすい気温だったもののラフからは止められないほどグリーンは硬くスピードもあり、グリーン周りのラフは深いためFWキープ率、パーオン率がスコアに直結するセッティングになっていました。
もちろん飛距離はあったほうがボールは止めやすくなりますが、ラフからのショットになるとシビアなピン位置に対してバーディチャンスにつけるのは難しくなります。先ずはティーショットをフェアウェイに置くこと、シビアなピン位置に対しては広いエリアからバーディを狙う、パー5や短いパー4ではしっかりとピンを狙うといったメリハリのあるマネジメント力が試されました。

「富士通レディース」で3年ぶりの2勝目を飾った木村彩子
木村彩子選手は初日にFWキープ率10/14、パーオン率15/18、パット数33でイーブンパー44位タイでスタートすると、2日目はFWキープ率11/14、パーオン率12/18、22パットで64を叩き出し首位タイへジャンプアップ。風が吹いた最終日はFWキープ率10/14、パーオン率14/18、29パットの68でプレーし、2位に4打差の圧勝となりました。
ボールを押して重い球を打つパッティング
長く木村選手をサポートする南秀樹コーチはパットについて「ボールを押すように重い球、重い転がりが大事だ」と言います。パットが入らなかった初日が終わり、「フォローが出ていない、ヘッドだけでなくシャフト、クラブ全体で重いボールを打てるように」というアドバイスで2日目の64へとつながりました。

手元を動かしボールを押すようにフォローを長くするパッティング
ボールを打つというよりは「押す」、手元をしっかりと動かしながらフォローを長くすることでヒットからボールを押す感覚でストロークできていました。
頭を残し過ぎずに振り抜くスウィング
正解なショットの条件は、安定したスウィングプレーンに加えて入射角も重要です。木村選手はフラットだったスウィングプレーンの角度をややアップライトに改善したことで、強くなっていたインサイドアウト軌道を修正し、入射角を確保したことでスピン量やラフからのショットでも安定するようになったと言います。

2022年(左)に比べてトップの位置を高くアップライトに改善した(左)
「堀琴音ちゃんくらいアップライトに上げてみたらいいんや」と南コーチと2年前からアップライトなスウィング改善に取り組んでいました。時にはアップライトになり過ぎることもあったようですが、高くティーアップして6番アイアンで打つ練習で木村選手に合ったスウィングプレーンの角度に調整しているようです。
南コーチは「リゾートトラストレディス」でキャディをした際に上から過ぎず絶妙なアイアンショットを間近で見て「心の底から上手くなったな」とショットのキレを感じたと教えてくれました。
そしてインパクトにガツンとした力感が現れない振り抜き重視のスウィングも木村選手の特徴です。その振り抜きの良さは頭を残し過ぎないように振ることで実現しています。

頭を残し過ぎないことでスムーズに振り抜く
アゲンストでもラフからでもインパクトが強くなると、入射角が強くなったり打点がズレたりとミスの原因になります。ミスの少ない安定したショットには、力感もテンポも一定にして振り抜くことだと木村選手から教えてもらいました。
「3勝目、4勝目と勝ち星を重ねて息の長い選手になりたい」と木村選手。同級生の永峰咲希、堀琴音、柏原明日架、金澤志奈選手らと共にこれからの活躍が楽しみです。
写真/岡沢裕行、姉崎正