
米女子ツアーの「最終予選会」にエントリーした渋野日向子(撮影/岡沢裕行)
渋野選手の米女子ツアーにおける現在のポイントランクは104位。100位までに与えられる出場カテゴリーに現状手が届いていないことで、最終予選をプレーすることが現実味を帯びています。
さて、ではこの最終予選とはどのようなものなのでしょうか? 正式名称 「LPGA Qシリーズ」について、かんたんに紹介したいと思います。
LPGA Qシリーズは、米女子ツアーの来季出場権を賭けた予選会です。予備予選、一次予選、最終予選の3ステージで構成されていて、すでに一次予選までが終了。日本からは櫻井心那選手、伊藤二花選手が最終予選への進出を決めています。
その最終予選のフォーマットは5ラウンド90ホールを戦うという過酷なもの。4ラウンド72ホールを終えた時点で予選カットが行われ、最終的に25位までに入った選手が来季の米女子ツアー出場資格を得ます。
余談ですが、この最終予選に挑めるのはプロゴルファーのみ。予備予選、一次予選にはワールドハンディキャップインデックス2.0以下といった一定の基準を満たしたアマチュア選手でも出場が可能ですが、もし予選ステージをアマチュアとして戦ってきた場合でも、最終予選までにプロ登録を完了していなければ参戦が叶いません。また、2026年1月1日時点で18歳以上であることも条件とされています。
最終予選で思い出されるのは昨年の馬場咲希選手と原英莉花選手の「明暗」です。最終予選90ホール目の劇的バーディによりギリギリ25位に滑り込んだ馬場選手は今季開幕からポイントを積み重ね、現在は来季の出場権を確保できる順位を確保し、エリートプレーヤーのみが出場できるアジアシリーズを戦っています。
一方、昨年の最終予選会で苦しんだのが原英莉花選手。4日目を終えてのカットラインに1打及ばず予選落ちを喫し、出場権獲得はなりませんでした。ただ、原選手は最終予選に進んだ選手に出場権が与えられるエプソンツアー(下部ツアー)を今季の主戦場に選び、そこで活躍を続けて見事に来季の米女子ツアー昇格を決めています。
ちなみにこの最終予選会は出場するのにお金がかかります。エントリーフィはノンメンバーで6500ドル(約98万円)と高額。LPGAツアーメンバーの場合でも3000ドル(約45万円)が必要になります(ただし、最終日まで進むと賞金総額は15万ドルが予選通過者に分配されます)。
世界の若手選手たち、そしてツアーの出場権を得られなかった実績組が集まり、たった25席の席を奪い合う超・過酷な椅子取りゲーム。渋野選手が挑む(可能性がある)のはこのような試合です。今年は思うようなシーズンを過ごせなかった渋野選手ですが、参戦中の国内ツアーで調子を取り戻し、仮に出場となった暁には気持ちよく来季出場権を獲得してもらいたいものです。