スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎に、「日本オープン」で勝利した片岡尚之のスウィングを解説してもらった。
画像: 2026年のマスターズと全英オープンのフラッグを持って記念撮影する片岡尚之(撮影/姉崎正)

2026年のマスターズと全英オープンのフラッグを持って記念撮影する片岡尚之(撮影/姉崎正)

こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回は国内男子ツアー「日本オープン」で、7打差6位から大逆転優勝した片岡尚之選手の正面からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させていただきます。片岡選手のスウィングの特徴は、以下の3点です。

① ストロンググリップで右ひじを早めにたたむテークバック
② トップから切り返しにかけて、胸が右に向いたまま切り返す
③ ザック・ジョンソンを彷彿とさせる、両腕が伸びたフォロースルー

それでは早速チェックしてみましょう!

ストロンググリップで右ひじを早めにたたむテークバック

まずはアドレスとテークバックに注目しましょう。グリップは左右ともにストロンググリップです。ドローヒッターの片岡選手は、ボール位置を真ん中寄りにすることでボールを右に打ち出しやすくしています。そしてテークバック(以下P3、テークバックで左腕が地面と平行のポジション)で特徴的なのは、左ひじを伸ばしたまま右ひじを早めにたたんでクラブが真上を差している点です。「Hand Sway」(以下、両手の移動距離)は、両手がアドレスの位置から左右にどれだけ移動したか? の距離を表します(マイナスは右足側へ、プラスは左足側へ。アドレスの位置が0cm)。片岡選手のP3での両手の移動距離はマイナス65.1cmです。

画像: 画像①アドレスとテークバックの比較/右ひじを早めにたたんで、体の回転に沿うようにテークバックしている

画像①アドレスとテークバックの比較/右ひじを早めにたたんで、体の回転に沿うようにテークバックしている

スポーツボックスAIが独自で調査した、P3での両手の移動距離の海外男子ツアーレンジは、マイナス72.4cm~マイナス84.6cmですので、右ひじを早めにたたむ片岡選手はテークバックが比較的コンパクトなタイプと言えます。もしクラブも背中側に寝てしまうとクラブのアークも短くなってしまいますが、片岡選手は右ひじとともに早めに手首をコックするアーリーコックを取り入れることで、クラブのアークの長さを保っています。片岡選手のように右ひじを早めにたたんでテークバックするタイプの方は、アーリーコックでクラブを立てるとインサイドにクラブが寝てしまうエラーを防ぐことができます。

トップから切り返しにかけて、胸が右に向いたまま切り返す

続いて、トップから切り返し(以下P5、切り返しで左腕が地面と平行のポジション)を比較してみましょう。「X-Factor」は、胸と骨盤の捻転差を表します(マイナスは胸が骨盤より右、プラスは胸が骨盤より左。以下、捻転差)。片岡選手の捻転差は、トップでマイナス66度、P5でマイナス48度です。

画像: 画像②トップと切り返しの比較/胸と骨盤の捻転差を保ったままクラブを下ろしている

画像②トップと切り返しの比較/胸と骨盤の捻転差を保ったままクラブを下ろしている

スポーツボックスAIが独自で調査した、P5での捻転差の海外男子ツアーレンジは、マイナス39度~マイナス45度ですので、片岡選手は捻転差を大きく保ったままダウンスウィングをするタイプと言えます。捻転差を保ったままダウンスウィングができると、クラブをインサイドから下ろしやすくなりますので、片岡選手の胸を開かないダウンスウィングは記事をご覧の皆様にもおすすめです。

ザック・ジョンソンを彷彿とさせる、両腕が伸びたフォロースルー

そしてフォロースルーを見てみましょう。片岡選手は3年前から谷将貴コーチの指導を受けていますが、その間にはひたすらハーフスウィングの練習を繰り返し、一時はフルスウィングの仕方を忘れるほど徹底的にスウィング改造に取り組んだ時期がありました。その効果がよく表れているのがフォロースルーで、両腕が伸びたまま三角形を保っています。「Lead Elbow Flexion」は、左ひじの屈曲角度を表しますが、片岡選手はフォロースルーで161度と左ひじが非常によく伸びています。

画像: 画像③左が片岡選手、右がザック・ジョンソン/フェースを返さず両腕が伸びたフォロースルーは非常によく似ている

画像③左が片岡選手、右がザック・ジョンソン/フェースを返さず両腕が伸びたフォロースルーは非常によく似ている

ここで片岡選手に非常によく似た特徴を持つ選手をご紹介します。海外メジャー2勝の名手ザック・ジョンソン(以下、ジョンソン)です。片岡選手と同じくジョンソンもフェースを返さずにドローを打つタイプですが、フォロースルーのジョンソンの左ひじも156度と片岡選手に近く、両腕の三角形が崩れないのは共通しています。他にもストロンググリップや、右ひじを早めにたたむテークバックなど、片岡選手とジョンソンは共通点が多いです。1つ異なる点は、ジョンソンがスタックアンドチルトのようにより左にスライドする左足軸のタイプに対して、片岡選手は胸をより右足側に残す右足軸のタイプと言えますね。

今回は片岡尚之選手のドライバースウィングを解説させていただきました。今年から日本オープンの優勝者には、来年のマスターズと全英オープンの出場権が与えられますが、くしくもジョンソンは2007年マスターズと2015年全英オープンのチャンピオンです。スウィングはもちろん、ショートゲームを得意とするプレースタイルも片岡選手とジョンソンは共通しています。「和製ザック・ジョンソン」が来年のマスターズと全英オープンでどんなプレーを魅せるのか、今からとても楽しみです!

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