計5回に及ぶタイトリスト「GT」ユーティリティ、ユーティリティアイアンの試打企画では、ヘッドスピード帯や環境によって大きく選択するクラブが変わった結果となった。今回は、ヘッドスピードもスコアも異なる3名のアマチュアゴルファーの悩みを、データとプロの知見で診断。みんなのゴルフダイジェストの『みんゴル試打班ガチギアトラック』は、プロゴルファーの癸生川喜弘と小島慶太による、“ガチ”がコンセプトのシリーズ試打企画です。

ターゲット別診断とデータ分析

アマチュアゴルファーが持つ典型的な悩みを解決するため、3人の症状を分析。

CASE①:T君(1W換算でHS48m/s、スライス/吹け上がり、スコア102)

画像1: @いらすとや

@いらすとや

野球をやっていたから振るスピードはあるのですが、そのせいか球が吹け上がってしまうんですよね。パー5の2打目とかで強振した結果OBになってしまってスコアを崩したりしてしまいます……。球がつかまりやすくて弾道を低く抑えてくれそうなクラブって無いですかね?

画像: 重心距離が短く、低スピンで強い球が打ちやすい『GT3』

重心距離が短く、低スピンで強い球が打ちやすい『GT3』

T君は野球部出身で、ゴルフ歴は2年目。最近の悩みは、速いヘッドスピードを活かせず球が右に逃げたり吹け上がり、方向性や縦のバラつきが多く、ロングゲームに苦手意識があるという。また球が上がり過ぎてしまうことから飛距離が出ないことが悩みだという。

癸生川: T君のその速さなら、スピン量が多くて吹き上がってしまう。そんな人にはスピンが少なめで強い弾道がでた「GT3」のヘッドが合いそうだね。

小島: HS48m/sという速度帯では、「GT3」の低スピン設計で吹き上がりの原因である過剰なスピンを抑え込むのが合理的ですね。48m/s前後のヘッドスピードがあり、球が上がり過ぎてしまうということは、おそらくややカット軌道でフェースが開き、そしてややリリースが早いためロフトが寝て当たってしまい必要以上なスピンが入ってしまっている状態かと思います。「GT3」は重心距離がシリーズの中で一番短いく、比較的ヘッドが返りやすい。つまり、つかまえやすいのでスピン量が減り、飛距離もヘッドスピードなりに出てくると思います。

癸生川: このクラブは純正シャフトもかなりしっかりしているから、まずは純正で使ってみても問題ないと思う。そして左に巻きづらいから気持ちよく振っていけるよね。

CASE②:Yさん(HS 39m/s、フック系、スコア95)

画像2: @いらすとや

@いらすとや

もともとスライサーでしたが、レッスンに通ってドローに変更中です。上手く打てた時は球が上がって飛距離も出るので良いのですが、ラウンド中に4回はチーピンやフックの症状が出てしまいます。また打ち上げホールで高く打とうとしたときに力んでしまい、更に左へのミスが増えてしまうことが悩みです。

画像: 寛容性が高く球も上がりやすい「GT2」は、左へのミスも抑えたモデル

寛容性が高く球も上がりやすい「GT2」は、左へのミスも抑えたモデル

年齢を重ねるにつれヘッドスピードが遅くなり、またフックに悩むYさん。元々スライサーではあるものの、最近はドロー系に変えるために練習しており、フックとチーピンが時々出てしまうとのこと。最も危険なのは「つかまりすぎてスピンが減る」ことが悩みだ。

癸生川: Yさんのフックの悩みなら、「GT2」がいいよ。フェースが左に行かなそうに見えるから、フックを気にせず安心して打っていける。楽に球が上がって、フックの心配が少ないのは精神的にも大きいよ。

小島: 「GT1」は高スピンでつかまりすぎるので、フックを抑えつつ、ヘッドスピードがなくても落下角を稼げるニュートラルな性能の「GT2」が最適です。HS39m/sという速度帯で最も合理的な選択肢かと思われます。「GT2」の24度はHS38.4m/sで落下角43.9度を記録していて、ドライバー換算でHS40m/s前後の方でも十分な落下角が確保できていることを示してます。「GT2」シリーズは球の浮き具合やつかまりがニュートラルな印象ですので、しっかり右に打ち出すイメージが湧いてくると思います。

CASE③:Kさん(HS 45m/s、球が上がりきらない、競技経験あり)

画像3: @いらすとや

@いらすとや

知人の紹介で競技ゴルフチャレンジして、年2回は出場しています。競技となると距離も長く、グリーンもいつもより止まってくれないので200~220ヤードの距離で止まる球が打てたらもっと楽なのに……と思っています。アイアンが昔から好きで、アイアンでやさしめのクラブが良いなと思っています。

画像: 球が上がりやすく、アイアンとオフセットが大きく変わらない「T250U」

球が上がりやすく、アイアンとオフセットが大きく変わらない「T250U」

HSは速いが「球が上がりきらない」というKさん。220ヤードの距離を打つクラブを探しているというが、ウッド型ユーティリティだと球が強くグリーンからこぼれてしまうことが悩みとのこと。競技に本格的に打ち込むため、「グリーンで止まる球を打ちたい」との要望だ。

癸生川: 球の吹き上がりだけだと「GT3」の選択肢もアリかなと思うけど、打点ブレによってかなり球筋が変わってしまうのでちょっと難しい印象はあるかな。今回の悩みは「T250U」で一発解決するはず。アイアンのような操作性があるのに、弾道はウッド型ハイブリッド。見た目以上に球が上がってくれるから、手前ピンでもバンカー越えでも、迷わずグリーンをキャッチできる感覚が掴めるはず。同じくアイアン型の「U505」もより寛容性のあるモデルだけど、アイアン好きということでよりシャープな「T250U」のほうが構えた時のイメージが湧くと思う。

小島: 競技ゴルファーにとって、「T250U」は操作性と寛容性を持ち合わせた素晴らしいモデルだと思います。アイアン好きということでしたのでオフセットが少なく違和感のない顔つきの「T250U」が最適ですね。以前行った試打ではHS40m/sでウッド型ハイブリッドを上回る落下角45.0度を達成しており、これは競技レベルのような硬いグリーンでも止まる高さ。攻めるためのロングアイアンの絶対基準です。高弾道と打点の寛容性が高く、ロングアイアンの代わりとしてグリーンを狙うには、十分な選択肢だと言えます。

まとめ

小島: 今回の3人のアマチュアに最適なクラブ選びは、『ヘッドスピード』と『ミスの傾向』に基づいた最適なクラブの『性能(スピン量、つかまり、弾道の高さ)』の選択が、良いショットへ導くために非常に重要ということが分かったと思います。

癸生川: クラブ選びにおいては、単なる飛距離性能だけでなく、アマチュアゴルファーが陥りやすいミスを許容しつつ、求める弾道特性(特にスピン量と落下角)をデータをみて実現できるモデルを選ぶことが、精神的な安心感と技術的な成果の両方をもたらす鍵となります。ただスピン量が少ないからといってロースピンモデルが合うとは限らないから、球がつかまりきれていないのか、そして次はシャフトが自身に合っているのかなど、総合的に見ていく必要があるよね。

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