今回は「NX GREEN 」と「NX GOLD」の一番人気のスペックの50グラム台のSフレックスを実際に比較して検証していきたいと思います。

「NX GREEN」と「NX GOLD」を検証
NX GREEN50 S
先ずは「NX GREEN」から検証してみましょう。
NX GREEN50 S
テストヘッド:BS BX2HT 9.5゜
シャフト長さ:45.5 インチ
シャフト重量:57.5グラム 
トルク4.9(中調子)
BUTT径:15.25 
シャフト振動数253CPM
2022年10月に発売された「NX GREEN」は手元側のトルクが抑えられているしっかりとした手元の剛性が感じられる中調子のシャフトです。中間部分が最もやわらかい設計となっていることで中間部分から先がしなやかに動くのが「NX GREEN」の特徴でしょう。剛性の差でシャフト先端のしなり戻りのスピード感はありますが、剛性を高めた設計のためインパクト時に頼りなさはなく、ボールを右に逃がさずしっかりととらえてくれます。弾き感と押し込み感が同居しているインパクトフィーリングがこのシャフトの“らしさ”です。
50Sになると手元側の剛性が高いので切り返しのイメージはスウィングタイプによって合う方と合わない方に別れると思いますが、タイミングが合う方にはしなり戻りの際、先端部分のスムーズなしなりが感じられます。全体的にシャープな動きでスピード感を得られるのが「NX GREEN」の特徴となるでしょう。
NX GOLD 50 S
NX GOLD 50 S
テストヘッド:BS BX2HT 9.5゜
シャフト長さ:45.5 インチ
シャフト重量:53.5グラム 
トルク:4.6(中調子)
BUTT径:15.20
シャフト振動数:254CPM
「NX GREEN」の後継モデルと言われている「NXGOLD」は2025年9月に発売されたNXの最新モデルとなります。SPEEDER NXシリーズらしさを感じさせる手元側の剛性感は「しっかり」としていますが、他のモデルよりもやや落としていることでハリ感があるものの、硬く感じずにスムーズな切り返しが可能な中調子のシャフトです。中調子のシャフトながら手元側にゆとりがあり、元調子系の要素も感じられる設計になっています。
シャフト手元側から中間部分まで剛性に大きな差がなく、中間部分から先にかけての動きを感じられますが、先端部分の走り感は抑えられていて、インパクトエリアでのシャフトの動きは安定感があります。切り返し時からインパクト時までの一連のシャフトの動きは非常にスムーズで、スウィングエネルギーをロスなくボールに伝えてくれる厚いインパクトが実現できるので高いボールスピードを実現してくれます。
「NX GOLD」はSPEEDER NXシリーズ中もっとも先端部分の動きが少なめに感じられます。実際に打ってみると「NX GOLD」と「NX GREEN」は結構な違いを感じますが、シャフトの各(セクション)部分を手元部分(BUTT)・中間部分(MID)・先端部分(TIP)に分けて比較してみたいと思います。

結構な違いがある2つのシャフト
それぞれの部位で比較
◆手元側(BUTT)
・NX GREEN
手元側にハリ感がしっかりとあり、剛性があります。シャフトにテンションをかけるようなしっかりとした切り返しにも対応しているレスポンスの良さを感じます。
・NX GOLD
手元側の剛性は「NX GREEN」に比べるとやや落としてあることでダウンスウィングの間が取りやすい感覚があります。手元剛性は絶妙で中調子シャフトながら手元調子のようなフィーリングがあります。
◆中間部(MID)
・NX GREEN
手元側が硬めで中間部分はやわらかめの剛性はトルクを大きくした設計でタメが作れることで、中調子らしさを感じさせてくれます。中間部分が大きくしなる「NX GREEN」らしさを感じさせてくれる特徴的な部分になっています。
・NX GOLD
中間部分の剛性は手元部分から大きく変化することなくしっかりとしています。剛性の差が少ないのでしっかりとしたフィーリングが連続しているのが特徴でシャフト挙動に安定感があるのがポイントになっています。
◆先端部(TIP)
・NX GREEN
中間部分よりも硬めに設計されていることで先端部分に剛性差による動きを生み出しています。中間部分で溜めたパワーをいかせる設計で「NX GREEN」らしい、しなりのスピード感があります。先端部分に動きがあり、適度なボールのつかまり感はSPEEDERらしいですが、インパクト時に当たり負け感はなく、しっかりとボールにシャフトエネルギーを伝えてくれる先端部分になっています。
・NX GOLD
手元側から中間部分まで剛性差を大きくしていない「NX GOLD」ですが、先端部分は硬めに設計されています。これによりインパクト付近での安定した挙動を演出しているのが特徴です。打ち出し角度は「NX GREEN」よりも低くなり、ボールに推進力がある印象です。インパクト時にスウィングパワーをしっかりと伝えていける安定感のある先端部分のシャフト挙動は、SPEEDERブランドながら叩いていける安心感があります。

一目瞭然
◆NX GREENとNX GOLDの総評
今回は「NX GOLD」は「NX GREEN」の後継モデルなのか? という視点から「NX GOLD 50S 」と「NX GREEN 50S」を比較検証してみました。「NX GOLD」と「NX GREEN」の2つのモデルは別の要素を持っている異なるモデルに感じました。2つモデルはシャフト各部分の剛性設計の違いから、シャフトの持つフィーリングの差を大きく感じられます。
最新作の「NX GOLD」は手元側の剛性を「NX GREEN」ほど高く設定していないことでスムーズな切り返しからインパクトまで穏やかに動くシャフト挙動で、「NX GREEN」は手元側の高い剛性設定と低く設定された中間剛性の差で先端部分にスピード感のある動きを演出しています。先端部分の剛性はどちらも高めの設計になっていますが、先端部分の動きに違いがあることでそれぞれのモデルの個性を演出しているように感じられました。
シャフト重量も「NX GREEN」は57.6グラムで「NX GOLD」は53.5グラムと4グラムの違いがあり、シャフトトルクも「NX GREEN」は4.9、「NX GOLD」は4.6と「NX GOLD」のほうがロートルクになっていて、数値以上にロートルクのスッキリしたフィーリングです。これは第2のバイアス層を積層するテクノロジーの「DHX」が大きく関係しているように思います。
「DHX」は昨年発売した「NX VIOLET」から採用されたもので歴代SPEEDER NXシリーズに採用されている「VARIABLE TORQUE CORE」との相乗効果で「NX GOLD」のシャフト設計の特長を引き出してくれるのに一役かっている印象です。「NX GREEN」にはSPEEDER NXのイメージらしい先端部分のスピード感を感じ、「NX GOLD」には同社のプロ・アスリートモデルVENTUSシリーズの持つ安定感をプラスしたシャフトに感じました。
「NX GOLD」は純粋に「NX GREEN」の後継モデルというよりは、今までのNXシリーズにない魅力を持った新しいモデルというイメージです。特に今までSPEEDER NXシリーズを使っていないという方に試していただきたいシャフトです。

両シャフトとも高弾道でバランスがいい
				
				

