「メイバンク選手権」で勝利した山下美夢有（撮影／岡沢裕行）
こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回は米女子ツアー「メイバンク選手権」で、8打差11位から大逆転優勝した山下美夢有選手の正面からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させて頂きます。AIG女子オープンに優勝した際には後方からの分析でしたが、今回は正面編になります！
正面から見た山下選手のスウィングの特徴は、以下の2点です。
① ストロンググリップで胸と骨盤の左右差が大きいアドレス
② トップで胸の回転が深く、切り返しでも胸は開かない。
また、後半では山下選手に学ぶ「深いトップの作り方」についてもご紹介しています！
ストロンググリップで胸と骨盤の左右差が大きいアドレス
まずはアドレスに注目しましょう。グリップは左右ともにストロンググリップで、右ひじのくぼみが正面を向いています。「Sway GAP」（以下、胸と骨盤の左右差）は、胸と骨盤の左右差を表します（マイナスは胸が骨盤より右足側へ、プラスは胸が骨盤より左足側へ）。山下選手のアドレスでの胸と骨盤の左右差はマイナス5.6cmです。
画像①山下選手（左）とホブラン（右）の比較／両者とも右手をストロンググリップで握って、胸と骨盤の左右差が大きいアドレスを作っている
スポーツボックスAIが独自で調査した、アドレスでの胸と骨盤の左右差の米女子ツアーレンジは、マイナス1.0cm～マイナス5.6cmですので、山下選手は胸と骨盤の左右差が大きいタイプといえます。山下選手のように右手をやや下から持つストロンググリップの選手は、胸と骨盤の左右差が大きくなりやすい特徴があり、画像①右側のビクトル・ホブランなどもこのタイプです。右手をストロンググリップで握って、フェースを返さないフォロースルーなどもこのタイプに共通しています。
トップで胸の回転が深く、切り返しでも胸は開かない。
続いて、トップを見てみましょう。山下選手のトップでの特徴は、「胸の回転が深い」ことです。「Chest Turn」は胸の回転角度を表します（マイナスは右、プラスは左）。山下選手のトップは、胸がマイナス116度で、米女子ツアーレンジ（マイナス95度～マイナス110度）に比べて非常に深いトップであることがわかります。
画像②トップと切り返しの比較／トップで胸の回転が深く、切り返しでも胸は開いていない
トップで胸の回転が深いので、切り返し（P5・左腕が地面と平行の位置）でも胸はマイナス64度と右に向いたまま開いていません。胸が右に向いたままダウンスウィングができると、クラブをインサイドから下ろしやすくなりますので、持ち球のドローボールを打ちやすいポジションといえます。
山下選手の深いトップに学ぶ、「頭の正しい動き方とは？」
それでは、山下選手から学べるポイントを1つご紹介します。それは「頭の正しい動き方」です。アドレスとトップの写真を比較するとよく分かりますが、山下選手のキャップのつばの部分を見ると、トップで右に向いているのがわかります。
画像③トップの頭の位置の比較／山下選手のように頭は回転するのが正しい動き
よく「頭は動いてはいけない」とレッスンなどでも言われることが多いですが、それは「左右にスウェイしてしまうケース」です。トップにかけて頭が右にスウェイしてしまうと胸と骨盤の左右差も大きくなり過ぎて、軸が右に傾き過ぎてしまいますが、山下選手のように右を向くように回転するのは問題ありません。山下選手も頭は右に回転しているものの、頭の左右の移動を表す「Head Sway」のデータを見ると、アドレスからトップにかけてプラス0.5cmで、ほとんど左右には動いていません。特に首の回転の可動域が硬い人は、無理に頭の向きを残し過ぎるとバックスウィングが浅くなってしまいますので、「頭は回転しても良い」ことを心がけていただくと、体に無理なくトップを深くすることができます。
今回は山下美夢有選手のドライバースウィングを解説させて頂きました。今週は国内唯一の米女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」が滋賀県の瀬田ゴルフコース北コースで開催されます。凱旋出場の山下選手をはじめ世界で活躍する日本人選手と、ミンジー・リーやアリア・ジュタヌガーンなど米女子ツアーの代表選手たちの競演に注目しましょう！
山下美夢有のドライバースウィング（後方）からのAI分析
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