2000年に「ホワイト・ホット」インサートが誕生して今年で25年。四半世紀経った今も、プロをはじめ、世界中の多くのゴルファーに愛され続けているが、この25年に登場したオデッセイのインサートを振り返ってみよう。
画像1: ホワイト・ホット誕生から25年!オデッセイインサートの歴史

教えてくれた人

キャロウェイゴルフ マーケティングハードグッズ アジアプロダクトマネジメント&デベロップメントセクションマネージャー

石野翔太郎氏

20世紀の終盤、ゴルフボールは軟らかい糸巻きボールから、フィーリングの硬いソリッドボールへと変わりつつあった。打感が軟らかくなるインサートはあったが、今度はボールが転がらない。それを一気に解決したのが「ホワイト・ホット」インサートだった。

画像: 2000年の誕生から20年目の2020年には「ホワイト・ホットOG」が登場。“OG”は「Old Gangster」の略で「古き良きもの」という意味を持っている

2000年の誕生から20年目の2020年には「ホワイト・ホットOG」が登場。“OG”は「Old Gangster」の略で「古き良きもの」という意味を持っている

すべてはここから始まった「ボールのカバー同じ素材にしてみたら?」
キャロウェイ創業者イリー・キャロウェイ

「『ホワイト・ホット』インサートが登場する前から、オデッセイにはインサートがありました」とはキャロウェイゴルフで長年、オデッセイのパターに携わってきた石野氏。

「『ストロノミック』インサートという樹脂製のインサートです。軟らかい糸巻きボールのときは金属のパターで打てたのですが、糸巻きに取って代わって主流になった硬い2ピースや3ピースのソリッドボールだと弾き過ぎてしまう。そこで衝撃吸収性を持ち打感が軟らかくなる『ストロノミック』が登場したんです。摩擦係数も高く、インパクトでボールが滑りにくく、思った方向に転がりやすい。でも弱点もありました。衝撃を吸収するため、反発が小さくなりボール初速が出ない。つまり思
ったように転がらないんです。打感が軟らかく、かつボールの転がりもよくするにはどうすればいいのか開発陣が苦戦していたときに、キャロウェイの創業者、イリー・キャロウェイが『ボールのカバーと同じ素材にしてみたら?』と言ったといわれています。

そこでボールのカバーに使われている樹脂でインサートを作ってみると、ボールのカバーなので反発力は十分。同じ素材であるため、インパクトでのエネルギー減少率も低く抑えられました。そして打感も軟らかく、方向性もいい。白い素材の『ホワイト』と、〝最新の〞という意味の『ホット』を組み合わせ、『ホワイト・ホット』と名付けられました」(石野)

2000年に、このインサートが搭載された「ホワイト・ホット」シリーズが発売されるとツアーや市場を席巻。そして翌2001年から発売前の「ホワイト・ホット2ボール」をアニカ・ソレンスタムらが使用し大活躍。「ホワイト・ホット」人気を不動のものとした。

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2000 ODYSSEY ホワイト・ホット

2000年の誕生から20年目の2020年には「ホワイト・ホットOG」が登場。“OG”は「Old Gangster」の略で「古き良きもの」という意味を持っている

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2003 ODYSSEY DFX

「ホワイト・ホット」以上の硬さや音を求めるプレーヤー向けに製作。「ストロノミック」の素材を使用し、製法を変えて仕上げた

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2004 ODYSSEY ホワイト・スチール

「DFX」よりも硬いものを、という要望に応え、「ホワイト・ホット」のフェース面中央にスチールの板材を配置

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2006 ODYSSEY ホワイト・ホットXG

内側にエラストマー、外側をウレタンという2層構造を導入。フェース面中央部には斜めの格子状のテクスチャーを初採用

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2008 ODYSSEY ホワイト・ホットXGツアー

「ホワイト・ホットXG」と同じ2層構造で、少し硬度を高めたインサート。ソフトなツアーボールに対応するべく登場

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2009 ODYSSEY ホワイト・アイス

「ツアー・プロトタイプ」インサートをグローバルモデルに装着する際に、名前とスウォール(渦巻きのロゴ)の色を変更

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2009 ODYSSEY ツアー・プロトタイプ

「ホワイト・アイス」の元となったインサート。当初は国内ツアー専用だったが評価が高かったため市販モデルに採用されることに

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2009 ODYSSEY クリムゾン・ストロノミック

主にディスタンス系の硬めのボールを使うゴルファー向けに開発。「ストロノミック」とほぼ同じ製法で、価格もリーズナブルに設定

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2010 ODYSSEY ホワイト・ホットXG2.0

「ホワイト・ホットXG」の2層構造は踏襲しつつ。フェース面のテクスチャーやドットを採用せず、リーズナブルな価格に設定

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2010 ODYSSEY ディヴァイン

「ホワイト・ホットXG2.0」を女性ゴルファー向けに、軟らかめの打感を目指したインサート

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2011 ODYSSEY ダマスカス

希少な金属、ダマスカス鋼で硬めのフィーリングのインサートを製作。裏側に樹脂を重ねた2層構造にし、硬さのなかにも軟らかさを出した

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2012 ODYSSEY メタル-X

ウレタン素材の上にミーリングを施したアルミ素材を重ねたもの。ミーリングによりインパクト時のスリップを軽減

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2014 ODYSSEY ホワイト・ダマスカスiX

「ダマスカス」に「メタル-X」の良さを加えたもの。「ダマスカス」のフェース中央部に楕円形の凹凸のテクスチャーを彫り込んだ

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2015 ODYSSEY ホワイト・ホットRX

「メタル-X」の良さを生かしながら、ソフトさを追求。素材は樹脂のみで、表面には凹凸のあるテクスチャーを施した

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2015 ODYSSEY フュージョンRX

「メタル-X」を進化させ、ウレタンの上に金網状の極薄ステンレスプレートを配置。より軟らかい打感に

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2015 ODYSSEY SX

より良い打音を求める声に応えて開発。ミーリングを施したステンレス素材で、音を反響させるべく裏側の周辺4カ所を彫り込んだ

画像18: ホワイト・ホット誕生から25年!オデッセイインサートの歴史

2016 ODYSSEY RSX

より良い打音を追求した「SX」に、インパクト時のスリップ軽減効果を加えるべく、フェース面に楕円形の凹凸のテクスチャーを施した

フィーリングだけじゃなくなった「順回転」に注目が集まる

「かつてはボールが硬かったため、打感を軟らかくするのがインサートの主な目的でした。しかしボ
ール自体が軟らかくなってくると、今度はフィーリングだけでなくボール初速が落ちないような開発が求められました。そのため『ホワイト・ホット』のようなウレタン素材だけでなく、金属が使われたりもしました。そこに2017年に登場したのが、それまでとはまったく違う発想の『マイクロヒンジ』インサートでした。これは転がりのよさを考えて開発され、ウレタンの上にステンレスのかぎ状の爪がいくつも突起しています。この突起がインパクト時にボールに素早く順回転をかけるんです。

画像: 2017 ODYSSEY マイクロヒンジ 「ホワイト・ホット」に転がりの良さを加えようと開発されたもの。表面のヒンジがボールに順回転を与える

2017 ODYSSEY マイクロヒンジ 「ホワイト・ホット」に転がりの良さを加えようと開発されたもの。表面のヒンジがボールに順回転を与える

パターにもロフト角があるので、インパクト後、ボールは跳ねたり滑ったり、〝スキッド〞と呼ばれる状態になります。この時に芝目や芝との摩擦の影響を受けやすく、跳ねる角度によってもボールのスピードが変わり一定しません。つまり予測不可能な動きをしてしまうわけです。ここですぐにボールに順回転をかけることができれば、インパクト直後の芝とボールの摩擦を軽減し方向性も距離感も向上させることにつながり、スムーズな転がりを実現することができるのです」(石野氏)

画像19: ホワイト・ホット誕生から25年!オデッセイインサートの歴史

2018 ODYSSEY ホワイト・ホット マイクロヒンジ

「マイクロヒンジ」を、より「ホワイト・ホット」の感覚に近づけた。素材などを見直し、ヒンジの面積も増加

画像20: ホワイト・ホット誕生から25年!オデッセイインサートの歴史

2019 ODYSSEY マイクロヒンジ★インサート

「ホワイト・ホット マイクロヒンジ」が進化。しっかりした打感で、音は高く、初速も出るようになった

芯を外しても距離が落ちない パターもAIフェースの時代に

画像: 【写真左】Ai-ONE【写真右】Ai-ONEミルド

【写真左】Ai-ONE【写真右】Ai-ONEミルド

2019年にキャロウェイ「エピックフラッシュ」で初めてAIが設計したフェースが搭載された。「AIによるフェース設計は当初ウッドに使われていました。それをパターにも適用しようとなりましたが、ウッドとパターは別物。ウッドに使っていたプラットフォームが流用できなかったんです。どういうインプットの仕方をしていいのか、また最初から作り上げなければなりませんでした」

そしてウッドに遅れること4年、2023年にオデッセイのパターにもAIが生み出したインサートが採用された。

「実はAIが最初に導き出したのはチタン製の『Ai‐ONEミルド』でした。アルミだと耐久性に問題があったんです。そこでアルミにウレタンフェースを合わせることで『Ai‐ONE』が完成しました。トウ寄り、ヒール寄りに当たってもボールスピードが落ちないんです。プロでさえ緊張した時にはミスをします。でもボールスピードが落ちなければカップに近づくのでスコアアップにつながる。ジョン・ラームは自分のコースでテストラウンドしたときに、最後のひと転がりでカップインしたホールがあり、『いつものホワイト・ホットなら入っていなかった』と言いました」(石野氏)

2025 ODYSSEY Ai-DUAL

ホワイト・ホットの打感+マイクロヒンジの順回転+Ai-ONEの寛容性

画像: 2層の樹脂の境目部分が、不均一で複雑な曲がりくねった断面となっており、新たに採用された溝によって、オフセンターヒットでもボールスピードが安定し、順回転を生み出す

2層の樹脂の境目部分が、不均一で複雑な曲がりくねった断面となっており、新たに採用された溝によって、オフセンターヒットでもボールスピードが安定し、順回転を生み出す

「ドライバーのギア効果については知られていると思いますが、同じようなことがパターにもあるんです。それが『マイクロヒンジ』で注目された順回転。しかし、打点位置や打ち方によって順回転のかかり方は変わってきます。また『マイクロヒンジ』のように面ではなく点でボールをヒットすると打感がソフトに感じてしまう人もいます。そこでフェースのどこに当たっても順回転がかかるように、さらに『ホワイト・ホット』の打感に近づくようにAIが1万5000通りのシミュレーションを経て導き出したインサートが今回の『AI-DUAL』。

表が軟らかく、裏が硬い2層のウレタン素材で、フェース面の溝は下に19度角度がついています。また、インサートがソールまで貫通していてフェースが2層構造だとわかるようになっていますが、ソールまで貫通していることでフェースの下めに当たった時でもフェースがたわみ順回転がかかるんです。『ホワイト・ホット』のような打感、『マイクロヒンジ』の順回転、そして、そこに当たってもボールスピードが落ちない『Ai-ONE』。この3種のインサートのいいとこ取りをしたのが今回の『Ai-DUAL』なんです」(石野氏)

PHOTO/Takanori Miki、Tomoya Nomura

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