
インターナショナルシリーズ「ムータン・シンガポール・オープン」で優勝した浅地洋佑(写真/Asian Tour.)
最終ホールの緊迫パットが「夢の舞台」への扉を開く
レギュラーラウンドは、まさに最終戦にふさわしい劇的な展開となった。
首位と1打差でスタートした浅地は、序盤の2番から5連続バーディを奪うロケットスタート。中盤にはタイのラッタノン・ワンナシリチャン、韓国のイ・スーミンに並ばれるも、12番で再びリードを奪った。特に15番では、10フィートのパーパットを沈め、リードを死守した。
そして迎えた最終18番(パー5)。浅地は10フィートの難しい左から右に曲がるバーディパットを見事に沈め、先に通算19アンダーのクラブハウスリーダーとしてホールアウトした。
その直後、最終組のワン・ジョンフンも、ほぼ同じラインのバーディパットをねじ込み、土壇場で浅地に追いつきプレーオフに突入した。
プレーオフは一瞬の決着!

プレーオフはバーディ決着でみごと、戴冠した(写真/Asian Tour.)
プレーオフの舞台となったのは、18番(パー5)の繰り返し。先行したワンが2打目をウォーターハザードに入れてしまう痛恨のミス。このチャンスを逃さなかった浅地は、見事なウェッジショットでピンそば6フィートに寄せると、冷静にバーディパットを沈め、渾身のガッツポーズ。サドンデス1ホール目で決着をつけ、歓喜の海外初優勝を掴み取った。
32歳の浅地は、「とても、とても嬉しいです。今日はグリーン上のラインを完璧に読むことができました。この勝利は私にとって本当に大きな意味があります。これは初めての海外での勝利であり、私がずっと夢見ていたことです」と興奮冷めやらぬ様子で語った。
国内男子ツアー「中日クラウンズ」に続く、今季2勝目
浅地は、今年5月に「中日クラウンズ」で優勝を飾るなど、前半戦は好調だったが、夏場から調子を落としていた。しかし、2週間前の「インターナショナルシリーズ・フィリピン」で2位タイに入っており、今回の勝利は、まさに好調な流れを海外で結果に繋げたものだ。
この優勝により、浅地はアジアンツアーの賞金ランキングで5位、そしてLIVゴルフリーグへの道筋を提供するインターナショナルシリーズのランキングで2位に浮上。このことを優勝会見で聞かれると「知らなかった!」と驚きと満面の笑みを浮かべた。
一方、プレーオフで敗れたワンは、2016年の「トロフェ・ハッサンII」や「アフラシアバンク・モーリシャスオープン」での優勝経験を持つ実力者。8年ぶりの勝利は逃したものの、「17番と18番で力強くフィニッシュできたので、今日の自分のプレーには本当に満足しています」と前向きなコメントを残した。
アジアンツアーは2週間後、賞金総額500万ドルのビッグイベント「PIFサウジインターナショナル」のため中東へ向かう。
