スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎に、「マオタイ シンガポールオープン」で日本勢2人目のインターナショナルシリーズ勝利となった浅地洋佑のスウィングを解説してもらった。
画像: ロピアフジサンケイクラシック、2日目の浅地(撮影/姉崎正)

ロピアフジサンケイクラシック、2日目の浅地(撮影/姉崎正)

こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回はアジアンツアーのインターナショナルシリーズ「マオタイ シンガポールオープン」で、見事な逆転優勝で今年2勝目を挙げた浅地洋佑選手の正面からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータとともに解説させていただきます。浅地選手は2024年から植村啓太コーチとのスウィング改造に取り組み、今年は5月の中日クラウンズと今回のアジアンツアーでそれぞれ優勝して調子が上向いています。そんな浅地選手の現在と以前のスウィングを比較すると、以下の3点が主な違いです。

①右ひじの屈曲が減って、トップが以前よりコンパクトになった
 
②切り返しにかけて、より手首をやわらかく使えるようになった
 
③インパクトにかけてリリースのタイミングが良くなった

それでは早速チェックしてみましょう!

右ひじの屈曲が減って、トップが以前よりコンパクトになった

まずはトップを比較してみましょう。「Trail Elbow Flex」は、右ひじの屈曲角度を表します(ひじが曲がるほど角度は小さくなる。以下、右ひじの角度)。以前の浅地選手は、右ひじの角度が69度で、現在は80度と約11度の差があり、現在の方が右ひじをあまり曲げていないことがわかります。次に「Shaft Angle Face On」は、地面と垂直の位置を0度として、そこから左右にどれだけ回転したか? の角度を表します(マイナスが右、プラスが左。以下、シャフトアングル)。以前の浅地選手はマイナス290度と地面と平行の位置よりヘッドが大きく垂れ下がって、ややオーバースウィングなのに対して、現在はマイナス251度とコンパクトなトップになっています。

画像: 画像①トップの比較/右ひじの角度が以前より伸びたので、クラブの位置がコンパクトになった

画像①トップの比較/右ひじの角度が以前より伸びたので、クラブの位置がコンパクトになった

スポーツボックスAIが独自で調査した、トップでの右ひじの屈曲角度の海外男子ツアーレンジは、68度~80度です。以前の浅地選手は69度、現在は80度と約11度の変化は、右ひじの使い方のタイプが以前と真逆になったと言えるほど大きな変化になっています。

切り返しにかけて、より手首をやわらかく使えるようになった

続いて、切り返し(以下P5、切り返しで左腕が地面と平行のポジション)を以前と比較してみましょう。先ほどの右ひじの角度を比較しますと、以前は91度、現在は89度です。このP5の位置だけでデータを比較するとほぼ同じですが、トップから切り返しにかけての推移で考えると、以前は69度から91度と、約22度変化しているのに対して、現在は80度から89度と、約9度の変化にとどまっているので、以前のスウィングのほうがより早く右ひじがほどけ始めていたと言えます。

画像: 画像②切り返しの比較/右ひじの角度の変化が小さくなり、その分手首はより柔らかく使えている

画像②切り返しの比較/右ひじの角度の変化が小さくなり、その分手首はより柔らかく使えている

右ひじの角度の変化が小さくなったぶん、手首はよりやわらかく使えるように変わっています。「Lead Wrist Angle」は、左手首の縦コックの角度を表します(手首が曲がるほど角度は小さくなる。以下、左手首の角度)。こちらもトップから切り返しにかけての推移で比較しますと、以前の浅地選手は72度から68度と、約4度の変化にとどまっているのに対して、現在は82度から70度と約12度の変化があり、現在の方がトップから切り返しにかけて手首がよりやわらかく使えているのがわかります。そして、この変化がインパクトでのリリースのタイミングの変化につながるのです。

インパクトにかけてリリースのタイミングが良くなった

そして、インパクト直前のポジションを比較してみましょう。この位置は、P6(ダウンスウィングでシャフトが地面と平行の位置)とP7(インパクト)の間の位置なので、ここでは「P6.5」と表現しておきます。「Hand Sway」は、両手がアドレスの位置から左右にどれだけ移動したか?の距離を表します。(マイナスは右へ、プラスは左へ。以下、両手の位置)

画像: 画像③インパクト直前(P6.5)の比較/以前より現在の方が、よりハンドファーストの位置を保っている

画像③インパクト直前(P6.5)の比較/以前より現在の方が、よりハンドファーストの位置を保っている

以前の浅地選手は両手の位置がP6.5で0.5cm(左)、シャフトアングルがマイナス37度で、現在の浅地選手は両手の位置がP6.5で1.6cm(左)、シャフトアングルがマイナス46度と、現在のほうがよりハンドファーストの位置を保っています。先述の右ひじが早くほどけていた時は、ややハンドレイトなインパクトのぶんだけ飛距離と方向性が落ちていましたが、右ひじではなく手首をやわらかく使ってタメを作れるようになった現在のほうが、リリースのタイミングが良くなり、今年の復調につながっています。

今回は浅地洋佑選手のドライバースウィングを解説させていただきました。今回の優勝で、インターナショナルシリーズのランキングも2位に浮上した浅地選手が、LIVゴルフの来季出場権への扉をこじ開けるのか注目です!

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