昨年の秋、絶望の淵に立たされていた34歳の女子プロが再起を懸けて挑んだLPGAツアーのQシリーズでファイナルに進出。密かな話題になっている。
画像: サウスダコタ州生まれの34歳。182センチの高身長を生かしたスウィングが武器

サウスダコタ州生まれの34歳。182センチの高身長を生かしたスウィングが武器

ちょうど1年前、キム・カウフマンは乳ガンの宣告を受けた。ショックだったがすぐに前を向いた。11月の診断後にすぐ乳房切除手術を受けて1月からは化学療法と放射線治療。そして今年6月に寛解した。

「ガン患者なら誰もが経験することですが本当につらかった。でも6月から再びクラブを握ることができて練習を再開できたのはとてもうれしかったです」

多くの人々から励ましと応援を受けて感じたのは「愛」と「感謝」。今年のQシリーズへの出場を目標に「有り余るほどの時間」を再び舞台に上がる準備に当てた。テキサス工科大のゴルフ部時代、オールアメリカンに2度選ばれて14年にプロ入り。優勝こそないものの4年間LPGAツアーのシード権をキープした。

18年からはエプソンツアー(下部ツアー)に出ることのほうが多かったが、昨年もレギュラーツアー復帰を目指しQシリーズにエントリーしていた。しかし乳ガンと診断され出場を断念せざるを得なかった。そして今年、櫻井心那がトップ通過したクオリファイングステージ(2次予選/フロリダ会場)で出場196名中29位タイに入りトップ50に与えられるファイナル(最終予選会)進出を決めた。

日本勢の活躍で沸くLPGAツアーの主要選手たちはほぼ20代。世界ランク1位のジーノ・ティティクルは竹田麗央と同じ22歳。岩井ツインズは23歳、今季2勝の山下美夢有は24歳で、27歳のネリー・コルダは最近ツアーに出ると「おばさんになった気分」と苦笑いする。

34歳のカウフマンはたとえファイナルを突破し、ツアーの出場権を獲得しても苦しい戦いが続くだろう。しかし彼女は諦めない。「私の挑戦が誰かにインスピレーションを与えられればそれでいい」と笑顔を見せる。彼女の姿に勇気づけられる人は多いはずだ。

※週刊ゴルフダイジェスト2025年11月25日号「バック9」より

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