
学生の正装である“学ラン”で会見に臨んだ中野麟太朗
「Top of the Top」を目指す学ランの決意
会見に、早稲田大学ゴルフ部の正装である学生服(学ラン)を着用して臨んだ中野。学生として育ったことを表現したいという彼の姿は、プロとしての自覚と、アマチュアゴルフ界への感謝を示すものだった。
身長185cm、体重95kgという恵まれた体格を持つ彼は、2023年日本アマ優勝、2024年大学団体戦日本一に貢献し、世界アマ個人8位など国際舞台でも実績を残してきた。
スポンサーである太平洋クラブの河本和彦副社長は、中野の「世界を目指す」明確なビジョンが同社のビジョンである「Top of the Top 日本が世界へ誇るゴルフクラブへ」と一致するため、契約に至ったと説明。特に昨年、太平洋クラブ御殿場コースで開催されたアジアアマチュアゴルフ選手権で、中野が3位に終わりながらも、「もっと高みを目指す」という発言を聞き、「この選手しかいないと確信した」という。
中野は「アマチュア時代、特にこの4年間で積み重ねた『優勝の喜び』や『(アジアアマでの)悔しい思い』がプロ転向につながった」と語り、デビュー戦を思い出深い御殿場コースで迎える喜びをかみしめた。
世界の壁と「ハングリー精神」
プロとしての目標は明確だ。
「自分には明確な夢があって、将来、世界の舞台でメジャーの大会に挑戦し、いつか大舞台で優勝争いをできるような選手になりたいと強く思っています」
しかし、その道のりの厳しさも知っている。質疑応答では、世界で戦うための「足りない部分」を問われ、冷静な自己分析を披露した。
● 技術的な課題:「技術的な部分を表現したらたくさんあるのですが」と前置きしたうえで、「自分より体格が劣る選手がより飛距離を出したり、体格以上のタフネスを持っていたりした」と、恵まれた体格に甘んじない技術的な向上心を強調。
● 精神的な課題:「ハングリー精神的な面がまだ足りていないと感じ、この1年間で養うよう努めてきた」と、世界で戦うための精神的なタフネスの必要性を認識している。
デビュー戦の夢の組と「世界へのルート」
中野のプロデビュー戦は、石川遼、そして賞金ランク1位の生源寺龍憲という注目の組で回る。
石川遼については、自身が初めてJGTOのツアーに出場するきっかけを作ってくれた人物(石川遼インビテーショナル)だと述べ、「感謝の気持ちでいっぱい」としつつ、「プロという立場で対等に戦えるのがとても楽しみ」と期待を膨らませた。
世界へのルートについては「近いようで遠い」と表現。まずはサード、ファイナルとQTを勝ち進み、来シーズンの日本ツアーのシード権獲得を目指す一方、来年1月からはオーストラリアンツアーのメンバーシップを活かして参戦する予定だ。
「まずは来季日本ツアーで賞金ランキング上位に入り、DPワールドツアー(欧州ツアー)の権利獲得を目指すなど、自分に合った最短のルートを選びたい」と、堅実かつ戦略的に世界の頂点を目指す姿勢を示した。
今日プロ転向して、まず最初の仕事は明日のプロアマ出場。それもホストプロとしての出場だ。それについて聞くと「前夜祭には2度ほど出席させていただいたことはありますが、プロアマは初めてです。どうすればいいんですかねぇ?」と最初は困惑した表情を浮かべたが、「同伴のアマチュアの方に『一緒に回れてよかった』と仰っていただけるよう、自分のできる範囲のプレーや言動、レッスンを頑張ります」と力強く話した。

誕生日ケーキの大きさに驚いたが、ロウソクを一息で消し切った
会見の結びには、22歳の誕生日を祝うサプライズでバースデーケーキが用意され、太平洋クラブのマリガンジャケットとキャップが贈られた。

マリガンジャケットと太平洋クラブのロゴが入ったキャップで撮影
「ゴルフを通じて、勇気だったり希望を与えられるプロゴルファー」になりたいと語る中野麟太朗。その強い意志と、それを後押しするスポンサーの熱い期待が伝わる、記念すべきプロとしての第一歩となった。
撮影/岡沢裕行
