2000年に登場した初代から数えて14代目、「ゼクシオ14」がデビューした。目玉は何といってもフェースに新チタン材、通称「VR-チタン」を世界で初めて採用していることだ!

ガラリと生まれ変わった「ゼクシオ」

今回登場した14代目には、「ゼクシオ 14」と「ゼクシオ 14+」の2モデルがラインナップ。

画像: 【写真左】XXIO14【写真右】XXIO14+

【写真左】XXIO14【写真右】XXIO14+

弾道調整スリーブ「QTS(クイックチューンシステム)」を搭載したり、「XXIO」のロゴが控えめになるなど、これまでの「ゼクシオ」とはガラリと変わった印象だ。

世界初採用!新チタン材「VR-チタン」の秘密

「ゼクシオ 14」のフェースには、新チタン材「Super-TIX®52AFS」、通称「VR-チタン」が世界で初めて採用。

住友ゴム工業 商品開発部 クラブ技術グループ 水谷成宏氏

「今回の『ゼクシオ14』は材料の選定がキーポイントでした。各メーカーがボールスピードを上げることに注力しているなか、フェースの反発を上げるためには耐久性や品質面で材料に頼らざるを得ません」とは住友ゴムの水谷氏。「もともと『ゼクシオ』では高反発のβチタンをフェース素材に採用していました。ところが2008年のSLEルール施行で反発係数の上限が決められ使えなくなってしまったんです。そこで4代目から強度が高く、薄くできる『Super -TIX®51AF』が採用され、制限値に収まる範囲内で最適な反発と耐久性を持つフェースが作れたんです。でも初採用から時間が経ち、『こういう方向性の新しい素材を開発できないか?』と日本製鉄さんに前々からお願いしていて、今回『Super -TIX®52AFS』にたどり着いたんです」(水谷氏)

「Super TIX®52AFS」が実現したこと

では「Super -TIX®52 AF S」とはどんなチタン材なのか?この素材を開発した日本製鉄の國枝博士に聞いてみると、

日本製鉄 技術開発本部 鉄鋼研究所 材料信頼性研究部 チタン研究室長 國枝知徳博士

「チタンは鉄と同等の強度を持ちながら、比重が鉄の約60%と軽く、鉄と同等の加工が可能です。世界では航空・軍事産業に使われることが多いチタンですが、日本では主に化学プラントの部品に使われています。チタンは耐食性も高いからです。実はチタンには何百種類もあって、名前が付いている物もあれば数字だけの物もあり、実用化されていない物もあります。『Super -TIX®51AF』もそうですが、今回も高強度化が求められたゴルフクラブのニーズに合わせて開発されました。

『固溶強化』といって、チタンの中に違う元素を入れることで硬くなり強度が高まるんですが、『Super -TIX®51AF』のときはアルミ(Al)と鉄(Fe)を混ぜ、今回はその比率を変え、さらにシリコン(Si)を加えました。強度を高くすると、もろくなり割れやすくなるのですが、シリコンにはもろさを軽減する特性があり、強度を高めても割れにくい素材ができたんです。2020年頃から開発を始めましたが、最初の1本が完成したのは2023年。チタンは安定して大量に生産するのが難しいんです。実際、その後『Super -TIX®52AFS』を安定生産できるようにするのに時間がかかってしまいました。チタン合金を作るには『スポンジチタン』というスポンジのような粒状のチタンにシリコンとアルミと鉄を混ぜて溶かします。

チタンは融点が約1700度と高く、また空気中の酸素や窒素とすぐに反応して爆発してしまうため、真空にして溶かし、チタン合金の塊の『インゴット』を作り、少し薄く伸ばした『スラブ』というものにします。これは新潟県上越市の直江津にある工場で行われ、次に兵庫県姫路市の工場にて厚さ4ミリの板状に延ばします。そして山口県の工場で表面を整え、最後は千葉で1枚30kgに裁断されて出荷されます」

ゴルフクラブ用に開発されたチタン材だが、他分野で使用されることはあるのだろうか?

画像: 「『Super-TIX®52AFS』は材料的に優れているので、今後『スリクソン』でも採用される可能性があります」(水谷氏)

「『Super-TIX®52AFS』は材料的に優れているので、今後『スリクソン』でも採用される可能性があります」(水谷氏)

「『Super-TIX®52AFS』は新しいチタン材なのでまだほかから声はかかっていません。しかし、『Super -TIX® 51 AF』は『ゼクシオ』に使われた後、ヤマハ発動機ではバイクのエンジンのコンロッド(エンジンの往復運動と回転運動をつなぐ役割の部分)、清水寺の保存修理工事では構造補強材の締結部材(ロッドエンド、長尺ボルト)に用いられているように、『Super -TIX®52AFS』も他分野に使用されることが期待されます」(國枝博士)

「ゼクシオ 14」の真価

新素材をフェースに世界初採用した「ゼクシオ14」。従来フェース比で42%強度が高まり、フェースの薄肉化に成功。ボディ設計の最適化とともにフェースセンターの〝一撃の飛びゾーン〞が182%大きくなり、周辺部の高初速エリアも151%拡大したという。

画像: XXIO14

XXIO14

「『ゼクシオ14』はフェース素材だけでなく、デザインやシャフトの脱着機能など、前作から変えられるところは、ほぼすべて変えました。ただ、打ってみれば、やっぱり『ゼクシオ』でオフセンターヒットに強くやさしい。さらにボールスピードが速くなりました。そして『ゼクシオ』らしい爽快な打球音は健在。歴代のユーザーにも、初めて『ゼクシオ』を打つゴルファーにも、どちらにも必ず満足してもらえる〝飛ぶ〞ドライバーに仕上がっています」(水谷氏)

PHOTO/Kenji Kobayashi

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