2025年LPGAシーズンを締めくくる最終戦「CMEグループ ツアー選手権」で、ジーノ・ティティクルが2年連続優勝という偉業を達成し、ベア・トロフィー(年間最少平均スコア)とロレックス年間最優秀選手も獲得した。しかし、優勝会見で22歳の新女王が語ったのは、スコアの技術論ではなく、ゴルフを離れた場所で彼女を支える揺るぎない人生観だった。クローガーでの涙(最終18番で4パット惜敗)で、キャディへの深い感謝、そして彼女ならではの「お金の使い方」――新時代の女王の飾らない素顔に迫る。
画像: 飾らない彼女の一面がわかる会見での一コマ(PHOTO/Getty Images)

飾らない彼女の一面がわかる会見での一コマ(PHOTO/Getty Images)

「私は皆さんと変わらない人間」――勝利と孤独の狭間で

ジーノは、世界ランク1位を初めて獲得した時と変わらず、「私の人生はまだ同じだと思います」と語る。しかし、この1年間は決して平坦ではなかった。

彼女のキャリアで最も印象的な瞬間の一つとして語られたのは、試合後のダラスでの出来事だ。

「ゴルフに関しては、クローガー クイーンシティ選手権の後、ダラスに戻ってきた日を覚えています。あまりにもひどく泣いたので、目にアイスパックを当てていました。それは覚えています」

しかし、彼女は自らに言い聞かせる。「そして、喜んで写真を撮り、それを掲げている自分。変ですが、人生の幸せな日に到達した、あるいは幸せな日を迎えるとき、この日は必ず来る、悲しい日は必ず来ると自分自身に思い起こさせたいのです」。キャリアでの浮き沈みも、「それはあなたが誰であるかを定義するものではありませんし、ジーノとしての私を定義するものでもありません」と、達観した人生観を持っている。

「喜んで写真を撮り、それを掲げている自分」【ジーノ・ティティクル公式インスタグラム】

精神的なリフレッシュとして、シーズン中に訪れたカナダ・バンフでの休暇が転機となったという。

「あれは転機だったと思います。バンフとルイーズ湖でほぼ一週間過ごし、周りにたくさんの美しいものがあること、そして感謝すべきことがもっとたくさんあることに気づきました。後悔するような悪いことだけでなく、人生にはもっとたくさんのすべきことが周りにあるんです。部屋に座って考えすぎるだけでなく」

その休暇中には「ゴルフクラブを持っていく人がどこにいますか? いませんよ。いる人もいますが。プロのゴルファーはしません(笑)」と、完全にゴルフから離れて過ごすことで、心の回復を図った。

バンフとルイーズ湖での休暇【ジーノ・ティティクル公式インスタグラム】

「稼いだら、使って、また稼ぐ」戦略

プロとしての成功は、彼女に経済的な自由を与えた。そのお金の使い方も、彼女ならではの哲学に基づいている。

昨年の優勝で車を購入し、ディズニーに遊びに行ったというエピソードから、「今回の優勝で、何をする予定ですか?」と聞かれると、「間違いなく買い物に行く必要があると思います。頭の中にあります(笑)。稼いだら、使って、また稼ぐというのが戦略です。使わないと、もう稼げなくなるかもしれません」

もちろん、稼いだ賞金の一部は「両親に渡さなければならない」と語るが、自身への投資や消費も厭わない。この、ネガティブな要素を一切含まない、ポジティブな循環を意識していることが、彼女のゴルフへの飽くなきモチベーションに繋がっている。

また、彼女の安定した強さの裏には、キャディのバンポット・ブンピサンサリー(通称ゴン)の存在がある。ゴンは彼女にとって、単なるキャディではなく「このトーナメントの私のラッキーチャーム」だと話す。

「彼の誕生日がいつもこのトーナメントと重なるので、私は毎年プレゼントをあげなければなりません。だから、LPGAさん、日付を変えないでくださいね(笑)」と、ユーモアたっぷりに語った。

さらに、タイのファンから「なぜジーノはキャディを変えないのか。アメリカやヨーロッパのキャディに変えるべきだ」という苦情があったことを明かしながら、ゴンへの揺るぎない信頼を語った。

「私は一度もそんなことを考えたことがありません。なぜなら、彼がバッグを担いでくれることに本当に安心しているからです。彼について悪く言う人がいますが、彼は私が知るなかで本当に最も優しい男です」と、周囲の批判を気にせず、人間性を信じる姿勢を見せた。

また、親友で2位フィニッシュを果たしたパジャリー・アナナルカーンとの関係にも言及。

「前回、韓国にいたとき、私たちは買い物に行きましたが、パジャリーは『私は買い物ができない。集中して良いプレーをしてからでないと、買い物ができない』という感じでした。だから、今、彼女は私と一緒に買い物ができるので、素晴らしいです」と、親友の努力が報われたことを心から喜んだ。

そして、勝利のご褒美は、もちろんパパイヤサラダだ。

「間違いなくそうです。100%です。昨夜リクエストしました。待ちきれません。もう(会見を)終わってもいいですか? 食べたいんです(笑顔)」

ゴルフの技術だけでなく、人生の苦難や喜びを糧にし、周りの人々を大切にする女王ジーノ・ティティクル。この会見だけでも彼女が愛される理由がわかるのではないか。

※2025年11月24日18時12分、一部加筆修正しました。

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