男子ゴルフの今季国内ツアー第24戦「カシオワールドオープン」最終日が11月30日、高知県・Kochi黒潮CC(7375ヤード、パー72)で行われ、通算21アンダーでトップに並んだプロ8年目で27歳の大岩龍一と砂川公佑が18番パー5でプレーオフを戦い、2ホール目でバーディを奪った大岩が初優勝を果たした。大岩は正規の18ホールは首位に2打差でスタートし、7バーディ、ボギーなしの7アンダー65で回った。下家秀琉、佐藤大平が通算18アンダーで3位を分けた。
画像: 「カシオワールドオープン」でツアー初優勝を飾った大岩龍一(撮影/姉崎正)

「カシオワールドオープン」でツアー初優勝を飾った大岩龍一(撮影/姉崎正)

「勝てないんじゃないか……」

画像: 砂川公佑とのプレーオフを制した(撮影/姉崎正)

砂川公佑とのプレーオフを制した(撮影/姉崎正)

20 センチほどのウィニングパットを沈め、大岩は右手の拳を一度だけ力強く突き上げた。キャディとハグをして喜びを分かち合うと、込み上げる感慨を押さえられず、瞬く間に涙腺が決壊した。グリーンサイドで待ち受けたツアー仲間からの祝福のウォーターシャワーは男泣きしながら浴びた。もう涙なのか水なのかわからなくなった。

優勝インタビューで喜びを言葉に換えた。

「長く勝てなかったので、勝てないんじゃないかと思うこともあったし、今日もプレー中に何回もそういう気持ちになりましたけど、いいプレーをしようと心掛けて、最後まで貫けてよかったです」

この日は1番パー4で残り57ヤードの第2打を60度で10センチにつけてバーディ発進。いい流れに乗り、3、5、8番でもスコアを伸ばした。後半も10番パー5で第2打をグリーンエッジまで運んでバーディ。12番パー4で4メートルを決めてトップを視界にとらえると、最終18番パー5で右斜面からの第2打を2オンさせてバーディを奪いプレーオフに持ち込んだ。

プレーオフは18番で追いついた勢いを生かした。1ホール目はお互いにパーで分けたあとの2ホール目。第2打でグリーンオーバーしたが、60度のアプローチを20センチに寄せた。2オンしながらファーストパットを3メートルショートした砂川がバーディパットも外してパーにとどまったあと、落ち着いて最後のパットを沈めた。

「レギュラーツアーが今季で5シーズン目になるんですけど、今シーズンはかなりいい調子を維持できたので、やっと勝てたなという感じです。勝てる実力があると感じたことは1回もないんですけど、勝ちたいなという気持ちはありますし、2位になったことも何度もありましたし、長かったような感じがします」

「キャディは先生みたいな感じ。バイトの先輩」

画像: 優勝が決まってキャディ(池宗龍さん)は喜びで泣き崩れた(撮影/姉崎正)

優勝が決まってキャディ(池宗龍さん)は喜びで泣き崩れた(撮影/姉崎正)

1997年12月17日生まれ。幼少時サッカーに打ち込んでいたが、父親の勧めでゴルフを始めた。中学時代に練習環境を求めて千葉県に移住し、中学3年で千葉県ジュニア優勝。堀越高3年で初出場した2015年日本アマは16強まで進んだ。日大を2年で中退後、2018年国体成年男子個人で1位となり、同年プロに転向した。2021年に最終日最終組を3度記録し初シードを獲得。2023年は右ひざの故障もあってシードを手放したが、2024年に復帰を果たした。

今季は「JAPAN PLAYERS CHANPIONSHIP byサトウ食品」で優勝に1打差の2位に入り、「ISPS HANDA 夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント」も優勝に1打届かずの2位。今週「3度目の正直」でついに初優勝をつかみ取った。

優勝で流した涙には理由があった。

「僕がバーディパットを入れたときにキャディが一番泣いていたんです。それで僕も涙が出たんですけど、キャディは先生みたいな感じで、僕が学生のときにバイトしていたバイト先の先輩なんです。一緒にキャディをやって、終わったあとに2人で(バッグを)担いでラウンドして、夜中まで練習してみたいな感じの存在なので、ツアーデビュー当時からずっとやってくれているので、そういう意味で感動したのかなと思いますし、僕も感動しました」

プロになってからこの日の初優勝まで8年近い時間を要したが、まだ12月17日で28歳の若さ。この優勝で今季賞金ランクは4位に浮上。最終戦の「日本シリーズJTカップ」の結果次第では初の賞金王を狙える位置まで上がってきた。

「優勝できたら最高ですけど(トップの)金子駆大ありきでしか賞金王にはなれないので、なれなくてもしようがないと思うんですけど、優勝は目指します」

若手群雄割拠の様相になってきた男子ゴルフ界のトップ争いに、またひとりポテンシャル十分なプレーヤーが名乗りを上げた。

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