前回の最優秀賞は「ドライバー ショートホールで 持つ勇気」!

A子:またまた、この時期がやってまいりました。師走よー。年の瀬よー。
R太:ゴルフ川柳コンクールですね。
A子:しかも、今回はなんと「第9回」よ。
R太:もうそんなにやっているんですね。
A子:歓喜しちゃうわ。ヨロコビー。
R太:……?
A子:フロイデ シェーネル ゲッテルフンケン♪
R太:いきなりなんでしょうか?
A子:ベートーベンの交響曲第9番「歓喜の歌」、または「喜びの歌」のドイツ語の歌詞でしょうが! 第9回にかけてんのよ、そんなこともわからんのかバカチンがー。
R太:そんなパワハラチックな言い方って……。
A子:パワハラだなんてイヤだわ。ただの坂本金八のマネなのに。
R太:しょ、昭和だ……。
A子:そんな甘ったれには前のPGA会長に愛のムチでも頼もうかしら。イヤ、そっちは吉村金八だっての。あははは。
R太:早く本題に入りましょうよ。
【ドライバー ショートホールで 持つ勇気(大阪府 あさり)】
A子:こちら前回の最優秀賞。林家正蔵師匠が「180ヤードのパー3でドライバーを持って何が悪いんだー」と共感しまくりだったわ。入賞を目指す人には“師匠の共感のツボ”狙いが有効よ。
R太:いきなり露骨な話ですね。
A子:ちなみに師匠は12月1日に63歳になったばかりのカレイ世代よ。
R太:え、そんな言い方……。
A子:「華麗世代」って言ったのよ。同年生まれは、松田聖子、トム・クルーズ、ジョン・ボンジョビに……秋山幸二、広澤克実、愛甲猛、伊東勤、駒田徳広……。
R太:ストップ、ストップ。最後、A子さんの趣味で野球選手ばっかりになってきました。
A子:あら、バレた。しかし、実際のところ、野球がらみの川柳は私が師匠に大プッシュすることもあるのよ。
【今日もまた 4番打者で 打点王(愛知県 タラレバガニ)】
【サブちゃんか 打順は今日も トリばかり(神奈川県 Tosh)】
【ホームラン わたしのバンカー 大谷級(石川県 前進4打)】
R太:おお、A子さんの推しだけあって野球関連の川柳、けっこうありますね。
A子:でも、入選はしていないのが現実だけどね。
R太:ダメじゃないですか。
A子:いやね、テーマ取りはすごく難しいのよ。プロ野球ネタは時事的要素もあるじゃない? となると応募時の年末年始にホットな話題だったとしても、春先の選考会時には“旬”が過ぎた感じになっちゃう。でも、今年(2025年)の流行語を利用するなんて手はなくはないのよ。
R太:今年の流行語大賞のノミネートの一部を見てみると……「古古古米」「国宝(観た)」「卒業証書19.2秒」「ミャクミャク」あたりは川柳にも使えるかも?
A子:「19.2秒」は語呂が悪すぎるんだけど、このコンクールの応募者は海千山千……もとい、大名人ばかりだから、うまくいじってくるかもしれないわね。
R太:楽しみですね!
A子:まずは、名人どころかすでに「ゴルフ川柳殿堂」に入っているパンキー太朗さんによる強烈な印象の川柳、通称*パンキー砲をどうぞ!
【青白黄 ブルーな気分の 悔い(杭)の色 (宮城県 パンキー太朗)】
R太:ほうほう。
A子:おじさんの相づちねえ。去年、正蔵師匠も度肝を抜かれたのがこれ。
【妻が成す ダフるゴルフだ 砂が待つ】
【今打つか 風無いなぜか かつ上手い】
【ロブがなあ 悩み気味やな〜 あ〜長風呂】
A子:これ、全部回文になっているのよ。「ろぶがなあ なやみぎみやな〜 あ〜ながぶろ」。ほら!
R太:回文ゴルフ川柳はパンキーさんが初だったんですよね。
A子:そうよー。実はパンキーさんの本名(名前)が回文だったりするのよ。ふふふ。
R太:すごい、なんかおしゃれ!
A子:そしてもうひとつ。
【悪いとき どう打つのかが わからない】
【いいときは どう打ったかが わからない(岩手県 新沼伸一さん)】
R太:おおおっ、これも伝説の名作。
A子:連作というスタイルをゴルフ川柳コンクールに、このハイクオリティで持ってきた。新沼さん、恐ろしい子……。
R太:恐ろしい子?
A子:「ガラスの仮面」の(姫川)亜弓さんの名めい台ぜり詞ふじゃないの。無知ねえ。
R太:昭和ハラスメントだー。
A子:そんなZ世代にはこの川柳よ!
【柏原 明日架を芳恵と 言う常務(神奈川県 そうすけ)】
A子:「かしわばら」といえば、昭和世代は「よしえ」なのよ。
R太:そうなんですか。
A子:銀のスプーンでR太の心をぐるぐる回しちゃおっかな。
R太:え、これはセクハラ? 昭和ハラ?
A子:そんなにハラハラしなさんな。
【池ポチャに われ泣きぬれて 鴨とたわむる(北海道 くりりん)】
A子:Z世代でもこれはピンとくるんじゃない?
R太:あれ、なんか教科書で読んだことあるかも。
A子:石川啄木の「東海の 小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる」ってあるでしょ。ゴルフ川柳だから、蟹を鴨に変えているのね。本歌取りの一種と言えるんじゃない。
R太:勉強になるー。
A子:ゴルフ川柳の作り手の皆さんの教養とか知性とか博学ぶりには毎度驚かされるわ。
【わかったと 思ったらまた、OB (三重県 koma)】
A子:これ、私大好きなのよ。自由律俳句みたいな味わいがあると思わない?種田山頭火の「分け入っても分け入っても青い山」みたいな。雰囲気あるー。
R太:ほうほう。
A子:かと思えば、こんな川柳。
【ロッカーで 素っ裸になる 珍百景(神奈川県 あっくんパパ)】
R太:いるいる。ロッカーのベンチに素っ裸で腰掛けている人。
A子:「珍百景」は「チン百景」にしても……良くないわよ。下ネタになっちゃうじゃないの!
R太:自分で言っておきながら……。
A子:格調があってうなっちゃうような川柳もいいけど「わはははは」って笑えたり、ばかばかしいなあと思えちゃったりするのもいいものよね。みんなちがってみんないい(笑)。
【爺ゴルフ 回らぬ体 老いるショック(茨城県 錆サビ男オ)】
A子:「老いるショック」のところで、師匠が大爆笑してたわ。作者の錆男さんは、当時80歳。まさしくオイルショック世代なのよ。ペンネームの「サビオ」も気が利いてるわあ。ほかにも師匠が絶賛していた川柳としては……。
【設計と 施工の違いで このスコア(北海道 岡部隆義さん)】
A子:これは「設計」と「施工」という、ゴルフとは一見関係のないワードで構成されつつ、最後の「スコア」でゴルフ感を出しているところが秀逸なの。師匠は、作者の岡部さんのことを建築家か大家さんではないかと予想していたけど、実際は違ったわ(笑)。
R太:でも、川柳から作者の人柄が浮かび上がってくるものですよね。
A子:私もいつも描かれたシーンや作者の人柄を想像しながら、味わっているわよ。ロッカーで素っ裸になる珍百景の様子など……。
R太:そっちの方向の想像を広げるのはやめてください。
A子:ゴルフ川柳コンクールの募集は12月9日(火)から開始予定です。ご応募はウェブからでもハガキでもOK。伝書鳩や吹き矢は受け取れないのでNGです。よろしくお願いします。
ILLUST/Masahiro Takase
※週刊ゴルフダイジェスト12月9日号「ゴルフ川柳コンクール傑作選」より
応募についての詳細はこちら
https://my-golfdigest.jp/information/p199160/
【歴代最優秀賞(第1回~8回)はこちら!】
https://my-golfdigest.jp/column/p199672/




