軽くてやさしいクラブが増えている昨今。アマチュアのクラブが「軽すぎる」傾向があると、多くの専門家が危惧する。クラブが軽すぎると何が問題なのか、そもそも適正重量とはどのくらいなのか。月刊ゴルフダイジェストの1月号では、改めて“クラブの重量”について考えている。みんなのゴルフダイジェストでもその一部を紹介します!
画像: クラブが軽すぎると飛距離が落ちる!? 専門家が警告する「軽すぎスパイラル」と、あなたの適正重量を見極めるチェックリスト

●解説 クラブフィッター:今井正人さん

ツアーレップとして活躍し、現在は都内でゴルフ工房「ゴルファーズラウンジ by tantanto」を営む

昔はオーバースペックがダメって言ってなかった?
今、アマチュアの8割は“アンダースペック”です

かつてアマチュアは、身の丈に合わないほど重くて硬い「オーバースペック」のクラブを使う人が多かった。市場ではトッププロが愛用するパーソナルモデルが人気で、それを買って「球が上がらない! 」と言いながら頑張って使うのがカッコいい。そんな時代もあった。しかしそれがいつの間にか逆転し、近年ではアマチュアの多くが軽すぎる「アンダースペック」の傾向にある。テクノロジーの進化で軽くて球が上がりやすく、つかまるクラブが作れるようになり、そこに女子プロ人気が拍車をかけたことで、アマチュアが「軽くてやさしいクラブ」を使う大転換が始まったのだ。

【1999年以前はオーバースペック時代】

画像: 左:タイガーウッズ、右:尾崎将司

左:タイガーウッズ、右:尾崎将司

かつてはアマチュア向けの「やさしいクラブ」は簡単に作れなかったこともあり、トッププロが使うハードすぎるスペックをアマチュアも“背伸び”して使うのが主流だった。

画像: [その他の代表ギア]左:ブリヂストン「J'S JB-MODEL」、右:ミズノ「TN87」、下:トゥルーテンパー「DG」

[その他の代表ギア]左:ブリヂストン「J'S JB-MODEL」、右:ミズノ「TN87」、下:トゥルーテンパー「DG」

【2000年以降はアンダースペック時代】

画像: 左:宮里藍、右:横峯さくら

左:宮里藍、右:横峯さくら

技術の進歩で、軽くて球が上がりやすく、つかまるクラブが普及。女子プロの使用で人気が高まり、アマチュアは「やさしいクラブ」を使うようになったが、それがエスカレート気味。

画像: [その他の代表ギア]左:ダンロップ「XXIO」、右:ヤマハ「UD+2」、下:日本シャフト「N.S.PRO 950GH」

[その他の代表ギア]左:ダンロップ「XXIO」、右:ヤマハ「UD+2」、下:日本シャフト「N.S.PRO 950GH」

“軽すぎ”クラブを使い続けると飛距離がどんどん落ちていく!

画像: 軽いものを使い続けると「振る力」が衰えて、飛距離はどんどん落ちていく

軽いものを使い続けると「振る力」が衰えて、飛距離はどんどん落ちていく

この「クラブ軽すぎ問題」の危険性は多くの専門家が指摘する。長年ダンロップのツアーレップとしてトッププロのクラブをクラフティングし、現在は都内でゴルフ工房を営む今井正人さんもそのひとりだ。

「体感では、新規で来るお客さんの8割近くがアンダースペックという印象です。軽い=やさしいというイメージから重めのものを避ける傾向がありますし、購入時に試打して、軽いクラブのほうが飛距離のデータがよかったという人も多い。でもこれはかなり危険なことだと思います。自分の筋力や体力に対して軽すぎるクラブを使っていると、スウィングも安定しませんし、飛距離もどんどん落ちていく。これって案外知られていないんですよね」

モノを振るという行為においては、軽いモノのほうが速く振れるのは自明だ。しかしゴルフスウィングはただ棒を速く振ればいいわけではなく、再現性も必要だし、スウィングのエネルギーを効率よくボールに伝えることも重要。軽すぎるクラブではこういった点に問題が生じやすく、結果的に軌道が乱れたり飛ばないということが起こりやすいのだ。

「よくクラブを買い替えて飛距離が伸びたのに、2~3カ月でまた元に戻っちゃったなんて話を聞きますが、これは間違いなく“軽すぎ”です。最初は軽いクラブを速く振れて飛ぶのですが、体がその軽さに慣れるとすぐ元のスピードに戻ってしまう。さらに軽いものばかり振っていると“振る力”が衰えて、絶対的な飛距離が落ちていく。軽すぎるクラブはこの悪循環に陥りやすいんです」

画像: 弾道計測器の理論値ではヘッドスピードの重要性が高く、速く振れれば「いい数字」が出るが、それがコースでの有効な弾道、再現性や長期的視点を担保するわけではない

弾道計測器の理論値ではヘッドスピードの重要性が高く、速く振れれば「いい数字」が出るが、それがコースでの有効な弾道、再現性や長期的視点を担保するわけではない

これは、室内で試打した計測器のデータが重視されるようになったのも原因のひとつだろう。ヘッドスピードが速く一発の飛びが出たものが評価されやすく、再現性や安定性は軽視されやすくなっているのだ。

やはりクラブには〝適正重量〟というものがある。軽ければやさしいというわけではないのだ。

【思い当たったら要注意】こんな人は軽すぎかも!

チェックリスト①/トップのミスが多い
チェックリスト②/縦の距離がばらつく
チェックリスト③/アゲンスト、打ち上げに弱い
チェックリスト④/買ったときには飛んだのにすぐに飛距離が戻る

軽すぎるクラブはトップのミスが出やすく、縦の距離もバラつきやすい。また球が“弱く”なりランは出るがキャリーが不足しがちで、アゲンスト時や打ち上げホールで飛ばない人も要注意。

取材・文/鈴木康介
写真/三木崇徳
イラスト/ほししんいち
協力/ゴルファーズラウンジ by tantanto

※月刊ゴルフダイジェスト1月号「あなたのクラブ軽すぎませんか?」より一部抜粋

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軽すぎるクラブはよくないとわかったところで、気になってくるのは、“自分に適正な重量はどのくらいなのか? ”ということ。そんなみなさんのために、誌面ではクラブフィッターの今井さんが「重量の見つけ方」を伝授してくれた。 まずは、今持っているクラブの重量を知ることから。ここから先は、ご自宅にあるキッチンスケール、ドライバー、7番アイアン、できれば5Wを用意した後で読み進めてもらいたい。続きはMyゴルフダイジェスト、月刊ゴルフダイジェスト1月号で掲載中!

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