男子ゴルフの今季国内ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の3日目が6日、東京都・東京よみうりCC(7002ヤード、パー70)で実施され、8アンダーで吉田泰基、小木曽喬、宋永漢の3人が首位タイで最終日を迎えることになった。週刊ゴルフダイジェストのツアー担当である副編集長Yが、3日目のラウンドをレポート。注目したのは親交のある金谷拓実と賞金ランク1位の金子駆大、李尚熹(イ・サンヒ)の組だ。

今年の賞金王争いの真っただ中にいる金子駆大は、昨年の同ツアー賞金王の金谷拓実と同組でのラウンドを迎えた。

画像: 2人のバックスウィングは個性的だが、安定感のあるショットが持ち味

2人のバックスウィングは個性的だが、安定感のあるショットが持ち味

小さなトップでコンパクトなスウィングの金子。大きなバックスウィングで躍動感あるスウィングの金谷。スウィングはそれぞれ個性的で違えど、安定したティーショット、アグレッシブなパッティングなど、どことなくプレースタイルが似ている。

今シーズンが始まる前、金子は取材のなかで、「ショットの精度で勝負したい。ロングアイアンも苦ではない」「心配は練習で改善する」「でも海外で戦うためには飛距離がほしい」と話していた。冷静に自分を見つめ、闘志を内に秘めるイメージもリンクする。

金谷が2アンダー、金子が1アンダーで3日目をスタート。前半を終え、金谷は4アンダーと伸ばすも金子は2アンダー。時おりクラブから手を離したり、「ハァ」とため息が聞こえることもあったが粘りのあるプレーを続ける。一方の金谷は、いつものように目の前の一打に集中して淡々とラウンド。常に口にする「自分らしいプレー」が光る。ギャラリーから「金谷はコースを回っているとやっぱり賞金王のオーラがあるなあ。金子にもこれから出てくるものかもしれない」との声が聞こえてきた。

ゴルフでは、ライ、落としどころ、パットの距離……。1メートル違えば、結果に大きく影響することは数多くある。前半は2人に、その「1メートルの間」があったように思えた。

画像: 後半、フェアウェイを歩きながら話をする2人。その距離は少しずつ縮まっていた

後半、フェアウェイを歩きながら話をする2人。その距離は少しずつ縮まっていた

後半に入り、2人がフェアウェイを話しながら並んで歩く姿を見るようになる。金子が積極的に話しかけているように見えた。この大会終了後すぐアメリカに渡り、PGAツアーのQスクールファイナルに挑戦する金子にとって、金谷は賞金王の“先輩”であると同時にPGAツアー最終予選会を突破した“先輩”でもあるのだ。

並んで歩く「1メートルの間」では、先輩の経験や助言を得られたのではないか。

「そんなに深いことは話していないです。海外のことを聞いたり……でも、そんなにしゃべってはいないです」(金子)

しかし、日本のレギュラーツアーでシード選手として2年目の23歳にとって、アマチュア時代から世界でもまれてきた27歳とのラウンドから得られるものは、いろいろな球筋を操る技術、ここぞのメンタルコントロール術、勝負どころのマネジメントなど、見て感じるものすべてだろう。

それにしても2人ともフェアウェイを外さない。今シーズン、PGAツアーでフェアウェイキープ率74.07%でトップの金谷と日本ツアーで同63.63%で10位(12月6日現在)の金子。同じような位置からパーオンを重ね、積極的なパッティングで攻め、カップをオーバーしても返しをしっかり入れていく。

後半に入り、それまでなかなか合わなかった感覚とのズレを修正するため「自分のなかでイメージを変えた」という金子。次第に「1メートルの間」はなくなってきたように思えた。

画像: 試合後、最終日について「とにかく自分らしいプレーで頑張ります」と“金谷らしく”語った

試合後、最終日について「とにかく自分らしいプレーで頑張ります」と“金谷らしく”語った

16番・パー4。ともにフェアウェイからのセカンドショットを、金谷はピン下3メートル、金子は同じく5メートルに付ける。これを先に金子がねじ込みバーディ。金谷はわずかに外してパー。

2人に共通するものがもう1つある。諦めない気持ち、ガッツあるプレーだ。

17番・パー5。フェアウェイからのセカンドショットを、金子は右手前のバンカーに入れ、そこからのバンカーショットがピンを2メートルオーバーするも、これをしっかり入れてバーディ。金谷はグリーン奥に乗せ、15メートルを超えるロングパットを抜群の距離感で1メートル以内に寄せバーディ。“持ち味”を存分に出している。

18番・パー3。金子は7Wでのティーショットがピン下7メートルに。金谷のショットはわずかにグリーンを外すも、カラー横のラフからフワッと上げる絶妙なアプローチで1.5メートルに寄せる。そして金子はこのバーディパットをねじ込み、小さくガッツポーズ。一方、金谷のパーパットはカップをクルッと回り、2.5メートル下まで落ちてしまう。それでも、このボギーパットをしっかり入れるあたりは金谷らしいプレーだった。

上がり3ホールで金子が3連続バーディとし、終わってみれば二人はトータル5アンダーで並んだ。

画像: この1年で、ひと回り“太く”なったように見える金子。最終日、蟬川との直接対決が楽しみだ

この1年で、ひと回り“太く”なったように見える金子。最終日、蟬川との直接対決が楽しみだ

試合後、「最後まであきらめずに、上を目指して頑張るだけです」と語った金子。最終日の今日、金子駆大は、優勝して逆転賞金王を狙う蟬川泰果(6アンダー)と同組、最終組から1つ前でのラウンドとなる。

メジャー大会にも強く、本コースとも相性のいい蟬川。「18 ホール中 18 個チャンスに付けると思って、ティーショットからセカンド、パターまで自分のアグレッシブさを出していけたらと思います」とこちらも“持ち味”で戦う。

この日、「1メートルの間」から得たであろうもので、賞金王の称号を手にし、海を渡って夢をつかみたい。面白くなってきた。

撮影/姉崎正

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