
「鎖国状態ではダメ」と話すのはJGTO諸星裕会長。国際派で海外人脈の強い諸星氏の手腕に期待
冒頭で、諸星裕会長より挨拶があり、「来シーズンの1試合目は海外(ニュージーランド)で開催されます。鎖国状態ではダメで、世界のツアーとの関係をしっかり持ち、うちの選手たちもどんどん外に出て、向こうからも来てくれるツアーにしたい。生源寺くんなんか、昨日(アメリカから)帰ってきたんですよ。金子くんは今、飛行機の上かな」。

渡米のため欠席した金子駆大の代わりにトロフィーを受け取る金子の母・久美さん
今年の賞金王(パーキープ賞など4冠)、金子駆大は、PGAツアーQスクールのファイナルに出場するために最終戦終了後すぐに渡米、ビデオレターでメッセージを送り、「今年は目標としていた1勝ができ、その後2勝目もできたので、すごく充実した1年になりました。来年は海外ツアーが主戦場となるので、海外でも活躍できるよう頑張ります」。

飛躍の一年となった生源寺龍憲
ポイントランキング賞、オールアラウンドランキング賞を獲得した生源寺龍憲は、カシオワールドから日本ツアーを欠場し、PGAツアーQスクールのセカンドから挑戦するも、通過に1打足りず昨日帰国したばかり。
「いいシーズンでした。もっと上を目指せたと思うので、来シーズンまた準備したいです。(Qスクールは)初日は1位でいいスタートを切れたんですけど、今年はこれに挑戦するために1年準備して、まずはセカンドにチャレンジできたよかった。来年以降、またチャレンジしたいですね」

25年は開幕戦「東建ホームメイトカップ」で3位タイに入るなど、少ない試合数ながらシード権を獲得した出利葉太一郎
同じく、同スクールのセカンド挑戦から帰国したばかりの出利葉太一郎はイーグル賞を獲得。
「試合数が少なかったんですけど、めっちゃイーグルは取ったなあと。ダボの後にイーグルが多くて……。飛距離は出るほうなので来年も狙いたいです。(Qスクールは)石川遼さんと(杉浦)悠太と同じ会場で。3、4日目は悠太と一緒に回り、僕はそこに幸せを感じられました。大学の同級生とここで戦えたことが嬉しいなあと。結果として上手くいかなかったけど、来年に対してのビジョンが前と違う感覚があるので、トライしてよかったなと思いました」
2人とも自らの挑戦が糧となり、表情が輝いて見えた。
初のバーディ賞と4期連続ドライビングディスタンス賞(316.30Y)を獲得した河本力も同スクールセカンド挑戦(1打足りず敗退)のためこの日に間に合わず。また、最優秀新人賞(島田トロフィ)を獲得した杉浦悠太は、同スクールセカンドを突破し、ファイナルへ進んで戦いの真っ最中。トータルドライビング賞を獲得した“世界を股にかける元賞金王”比嘉一貴は、アジアンツアーの最終戦に出場している。
欠席は“挑戦の証し”なのだ。
今年のQスクールを受験せずとも“海外挑戦組”はいる。

パット巧者の片岡尚之。日本オープンチャンピオンとして26年マスターズに挑戦する
日本オープンで優勝し、来年のマスターズと全英オープンの出場権を手にした片岡尚之は、4シーズンぶり2回目の平均パット賞(1.7022)を獲得。
「最初に取ったときは1.73だったので縮まった。全体のレベルも上がっているなかで、自分のレベルも上がっているのかな。(マスターズのグリーンは)多分難しいと思うので、パットを入れることができたらチャンスもできるんじゃないかと思います。そもそもの基礎が足りない。コースは開幕前の1週間でしっかりチェックして、自分の目で見てしっかり確かめて、という感じです」

26年にPGAツアー出場権を獲得した中島啓太、平田憲聖と同学年の蟬川泰果。海外でも通用する実力の持ち主だ
最後の最後まで賞金王を争った蟬川泰果は、今季初めにコーンフェリーツアーに挑戦するも途中肋骨の疲労骨折。その後日本ツアーに復帰、後半に巻き返し栄えある平均ストローク賞(70.047)を獲得。
「途中で1位に立っているのは見ていて意識していました。取りたいと思っていた賞を取れたのは嬉しい。平均スコアがいいということはずっと上位に行けることでもある。来年はもっと自分の持ち味(飛距離)で、バーディ、イーグル賞も取っていきたいです」
さらに“新キャラ”も輝く。

稲森佑貴の10季連続フェアウェイキープ率を阻止した勝亦悠斗
フェアウェイキープ賞(79.283%)は、稲森佑貴の10季連続受賞を阻止した勝亦悠斗が獲得。
「稲森選手のほうが出ている試合は多いのですが、素直に嬉しいです。自分のプレースタイル的に目標にしてきた部分。(V10で“稲森賞”になるという話がありましたけれど……)それを阻止したのは若干気まずいですけど(苦笑)」と謙虚な言動が“曲がらない”要因か。

「やせたい」と会場を笑わせたパーオン率1位の西山大広
パーオン率(73.302%)を受賞した西山大広は、「もともとアイアンには自信があったので嬉しいです。今年からコーチが変わって、フェースを返さないスウィングを練習した。また、7月からアイアンを古いものに戻したのもよかったです」。来年の目標は「やせたいんですけど……。80㎏台目標です」と語るもトレーニング嫌いを公言。キレるショットとは対照的なほんわかキャラである。

選手会副会長の阿久津未来也も飛躍の一年だった
選手会副会長の阿久津未来也は、締めの挨拶で、自身も初優勝を飾った“ステップ”のシーズンだったことと合わせて、「若い選手が台頭し、負けないように必死にやっています。海外勢の活躍もあります。賞金王を取った選手が海外でプレー、日本のトップ選手が海外でも通用すると証明しています」と語った。
来シーズンも日本男子選手たちの挑戦は続く。
撮影/姉崎正
※2025年12月9日12時21分、一部加筆修正しました。

