止まらない“世界一”。シェフラーがウッズの領域へ

25年は全米プロ、全英オープン(写真)を制し、3冠を達成。来年の全米オープンでキャリアグランドスラムに挑む(撮影/姉崎正)
もはや「指定席」と言っても過言ではない。世界ランキングNo.1のスコッティ・シェフラーが、トミー・フリートウッド、ロリー・マキロイらを抑え、4年連続でジャック・ニクラス賞(プレーヤー・オブ・ザ・イヤー)に輝いた。 特筆すべきはその「継続性」だ。この賞を4年以上連続で受賞したのは、1999年から2003年にかけて君臨したタイガー・ウッズ以来、史上2人目の快挙。シェフラーはいよいよ、伝説の領域へと足を踏み入れたことになる。
■メジャー2勝含む年間6勝の圧倒的強さ
2025年のシェフラーは、まさに異次元の強さを見せた。昨年末の右手負傷という不安要素を抱えながらのスタートだったが、復帰後の「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」で9位に入ると、そこからエンジン全開。「ザ・CJカップ バイロン・ネルソン」では通算31アンダーというツアー最少ストローク記録タイで今季初優勝を飾った。
圧巻だったのはメジャーでのパフォーマンスだ。クエイルホローでの「全米プロゴルフ選手権」では後続に5打差をつける圧勝。さらにロイヤルポートラッシュでの「全英オープン」も制し、キャリアグランドスラムへ王手(3冠目)をかけた。 極めつけはプレーオフシリーズの「BMW選手権」だろう。ロバート・マッキンタイアとの一騎打ちとなった週末、17番パー3での劇的なチップインで勝利をもぎ取ったシーンは、今季のハイライトとして長く語り継がれるはずだ。
■スタッツも“全盛期のタイガー”級
数字を見れば、その凄まじさが浮き彫りになる。
● 年間6勝(2年連続6勝以上は1983年以降でウッズとシェフラーのみ)
● 出場20試合すべてでトップ25入り(予選落ちゼロ)
● 平均ストローク 68.131(3年連続バイロン・ネルソン賞受賞)
● 第1〜第4ラウンド全てで平均スコア1位(2000年のウッズ以来)
ショットの貢献度を示す「ストローク・ゲインド:ティー・トゥ・グリーン」でも1位。穴がないどころか、全ての要素でツアーを凌駕したシーズンだった。
【動画】「私は非常に幸運です」と喜びのコメントを載せるシェフラー【スコッティ・シェフラー公式インスタグラム】
新人賞は平均325ヤードの衝撃。21歳のポトギーター

アジアで唯一のPGAツアー「ベイカレント C レクサス」にも参戦したアルドリック・ポトギーターが最優秀新人賞を受賞した(撮影/岡沢裕行)
アーノルド・パーマー賞(最優秀新人賞)を手にしたのは、南アフリカの若き大砲、アルドリック・ポトギーターだ。アーニー・エルス、トレバー・イメルマンという偉大な同郷の先輩に続き、南アフリカ勢として3人目の受賞となった。
■唯一プレーオフに進出したルーキー
今季のルーキー・オブ・ザ・イヤー争いは、ポトギーターのインパクトが頭一つ抜けていた。最大の武器はその飛距離だ。ドライビングディスタンス部門で堂々のツアー1位(平均325.0ヤード)を記録。「ビダンタワールド・メキシコ・オープン」では374ヤードのビッグドライブに加え、直ドラを披露するなど、ファンの度肝を抜くプレーを見せた。
結果も伴っている。「ロケット・クラシック」ではプレーオフを制してツアー初優勝。20歳9カ月での勝利は、南アフリカ出身選手として最年少記録だ。そして何より、今季36人のルーキーの中でただ一人「フェデックスカップ・プレーオフ」に進出した事実が、彼のポテンシャルの高さを証明している。
歴史を追う王者と、規格外の新人
PGAツアーのブライアン・ローラプCEOは、「スコッティの一貫した成功レベルは壮観の一言。彼は歴史を追い続けている」とシェフラーを称賛。ポトギーターについても「これほど若い年齢での達成は驚くべきこと」と、その将来性に大きな期待を寄せた。
今回の投票は12月4日から12日にかけてPGAツアーメンバーによって行われ、シェフラー、ポトギーター共にライバルたちを抑えての選出となった。 歴史的な支配を見せる王者シェフラーと、規格外の飛距離で次世代を担うポトギーター。2026年シーズン、この二人がどのようなドラマを見せてくれるのか、今から開幕が待ちきれない。
