スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎に、来シーズンから、LPGAツアーで戦う原英莉花のスウィングを解説してもらった。
画像: 写真は2025年「スタンレーレディス初日」撮影/岡沢裕行

写真は2025年「スタンレーレディス初日」撮影/岡沢裕行

こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回はLPGAツアーの下部にあたるエプソンツアーの年間ポイントランキング5位のシードを獲得して、来年からLPGAツアーに本格参戦する原英莉花選手(以下、原選手)の正面からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させて頂きます。

原選手のスウィングの特徴は、以下の2点です。

①トップで胸は右に深く回転している
②下半身から切り返すので、胸と骨盤の捻転差はさらに大きくなる

それでは早速チェックしてみましょう!

トップで胸は右に深く回転している

まずはアドレスとトップに注目しましょう。アドレスでの特徴は、スタンス幅が肩幅よりやや広めで、左足に比べて右足のつま先をやや閉じて構えている点です。

続いてトップを見てみましょう。「Chest Turn」は、胸の回転角度を表します(マイナスは右、プラスは左)。原選手のトップでの胸の回転角度はマイナス100度で、胸が右に90度以上回転しています。

画像: 画像①アドレスとトップ/スタンス幅はやや広めで、左足より右足を閉じている。トップでは右肩が見えるほど胸が深く回転している

画像①アドレスとトップ/スタンス幅はやや広めで、左足より右足を閉じている。トップでは右肩が見えるほど胸が深く回転している

スポーツボックスAIが独自で調査した、LPGAツアーレンジは、マイナス95度~マイナス110度ですので、原選手はLPGAツアーレンジの範囲内に収まっているのがわかります。ただ原選手の優れている点は、スタンス幅が広めで右足つま先もそれほど開くことなく100度の胸の回転を実現している点にあります。通常スタンス幅を広くして右足つま先を閉じると、体の回転角度は浅くなりがちですが、原選手の高い身体能力が良く分かります。

下半身から切り返すので、胸と骨盤の捻転差はさらに大きくなる

次は、トップ寸前とトップを比較してみましょう。原選手の2つ目の特徴は、トップから切り返しにかけて捻転差が増加する動きがある事です。「PelvisTurn」は、骨盤の回転角度を表し、「X-Factor」(以下、捻転差)は胸と骨盤の捻転差を表します(いずれもマイナスは右、プラスは左)。原選手のトップ寸前の骨盤の回転角度はマイナス50度で、捻転差はマイナス55度です。

画像: 画像➁トップ寸前とトップの比較/下半身が先に切り返すことで、トップにかけて捻転差が増加しているのがわかる

画像➁トップ寸前とトップの比較/下半身が先に切り返すことで、トップにかけて捻転差が増加しているのがわかる

そしてトップでの骨盤の回転角度はマイナス46度で、先ほどのトップ寸前のマイナス50度と比較しますと約4度左に骨盤が戻り始めていて、その結果として捻転差はマイナス55度→マイナス59度と、こちらも約4度増加しています。スポーツボックスAIでは、このトップ寸前からトップにかけて捻転差が増加する動きを「X-FactorStretch」(以下、Xファクターストレッチ)というデータで計測しています。このXファクターストレッチのLPGAツアーレンジは3度ですので、原選手はツアーレンジを上回るXファクターストレッチがあります。Xファクターストレッチが増加する角度が大きいほど、筋肉の伸張反射(※)が強まり、クラブスピードとの相関関係があるとされています。

※伸張反射とは?
事前に筋⾁が急激に引き伸ばされることで、この筋肉を反射的に収縮させる反応のこと。筋肉にはゴムの様な性質があり、急激に引き伸ばされるとより速く戻ります。

原選手と言えば173cmの長身から繰り出す飛距離が魅力の1つですが、国内女子ツアーに参戦していた2024年のドライビングディスタンスは250.20yで12位、今年のエプソンツアーでのドライビングディスタンスは257.35yで17位と、いずれも上位につけています。来年LPGAツアーに本格参戦する原選手が、持ち前の飛距離を生かしてどのような活躍を見せてくれるのか注目です!

今回は原英莉花選手の正面からのドライバースウィングを解説させていただきました。

今年も記事をご覧いただき、ありがとうございました。今年は日本人選手の世界での活躍が光った1年で、海外のトッププロのみならず、日本人選手の分析もさせていただく機会が多かったことが、ゴルフファンの1人として嬉しく誇りに思う1年でした。

来年はトッププロの活躍はもちろん、ニュースターは誰になるのか?今から大いに楽しみです。読者の皆様もどうぞ良いクリスマスと、良いお年をお迎え下さい。

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