ドライバー、3番ウッド(または5番ウッド)までは決まっている。アイアンも決まっている。しかし、その間を埋める「ロフト21度」周辺の番手選びに頭を抱えるゴルファーは多いのではないだろうか。
選択肢は大きく分けて二つ。「4番ユーティリティ(UT)」か、それとも「7番ウッド(FW)」か。
かつては「ロングアイアンよりやさしい」という理由でUT一択の風潮もあったが、近年はダスティン・ジョンソンや松山英樹ら、海外のトッププロが7W(あるいは9W)をバッグに入れることも珍しくない。クラブの進化により、この「21度問題」は再び熱い議論の的となっている。
そこで今回、「ギア王」では、みんなのゴルフダイジェスト、およびMYゴルフダイジェストの編集長・菊地が、同じロフト21度のUTとFWを徹底比較試打した。使用したのはタイトリストの最新モデル「GT2」。UT好きでFWには苦手意識があるという菊地だが、弾道計測器「トラックマン4」が弾き出したデータは、両者の明確な“キャラの違い”を浮き彫りにした。
飛距離差はごくわずか。だが「高さ」は段違い
スペックを確認すると、同じ21度でも長さには1.5インチの差がある(UTは40インチ、FWは41.5インチ)。一般的に「長いほうが飛ぶ」とされるが、実測データはどうだったか。
● UT(21度):キャリー/総距離 210〜217ヤード
● FW(21度):キャリー/総距離 210〜220ヤード
一発の飛びこそ長尺の7Wに軍配が上がるものの、平均すれば飛距離に決定的な差は出なかった。しかし、数字以上に違ったのが「弾道の質」だ。
UTは打ち出し角13〜15度、スピン量4000〜5000rpm前後。低めで前に強く進む「ライナー性の弾道」が特徴的だ。対してFWは、スピン量が入りやすく、目視でも明らかに高い放物線を描く。つかまりも良く、高弾道のドローボールが打ちやすい傾向が出た。
「高さで止める」か「ラインを出す」か
試打を終えた菊地は「思ったほど飛距離の差は出なかったが、弾道の高さはFWが断然上」と分析する。
この違いは、そのままコース攻略の適性につながる。 グリーンにキャリーで止める必要がある、あるいは打ち上げのホールが多いなら、深重心で球が上がりやすいFWの恩恵は計り知れない。「UTだと球が上がらずグリーンで止まらない」と嘆くゴルファーにとって、FWは救世主になり得るだろう。
逆に、風の強い日や、狭いホールでラインを出していきたいならどうだ。ミート率が高く、直進性に優れ、風に負けない強弾道が打てる短尺のUTこそが頼れる相棒となる。
「FWは苦手」と語っていた菊地も、FWの上がりやすさと安定感には再考の余地ありと感じたようだ。
本編動画はこちらから
「Myゴルフダイジェスト」上で公開中の動画本編では、実際の弾道の違いや詳細なデータ推移を掲載している。ぜひ下記リンクからぜひチェックしてみてほしい。


