アイアンとウェッジに
2gの鉛を貼って効果を計測
クラブに鉛を貼ると、クラブの総重量やバランス、重心の位置が変化します。それを利用するのが鉛を使ったチューニング。弾道のコントロール(スライス抑制、フック抑制、高弾道化)や振り心地の改善(ミート率UP、安定感UP)、打感の微調整を手軽に行える調整方法としてプロや上級者をはじめ多くのゴルファーが取り入れている方法です。ただし「鉛を貼る」だけとは言え、その貼る位置や鉛の量は人それぞれ。

2025年のJGTO賞金ランク2位、生源寺龍憲の7I。バックフェースの中央部に貼っている

バックフェース下部に鉛べったり。阿部未悠の7I
わずか1〜2gの鉛を貼ることでクラブの性能を変えることができるといいますが、どこに貼れば、どのような効果が得られるのでしょうか。松本一誠プロのスタジオ(Issei Golf Labo)にお邪魔して、アイアン(7I)とウェッジ(56度)に2gの鉛を貼って、その効果を計測してみました。

2026年PGAツアーでの活躍が期待される平田憲聖は、52度ウェッジを鉛チューニング
鉛の位置で弾道はどう変わる?
いざ実験開始!

7Iで試打開始! テスターは松本一誠プロ。2023年の日本ロングドライブ選手権チャンピオンになったこともあるドラコニスト兼アマチュアを指導するインストラクター。横浜駅東口から徒歩約5分にあるISSEI Golf Laboを主宰する
まずは7Iのショット比較。鉛を貼らないで計測した平均値がこちら。さすがドラコンプロという飛距離とショットメーカーぶり。これは鉛の効果がはっきり出そうです。
7I(鉛なし)
ヘッドスピード:44.0m/s
ボールスピード:61.4m/s
キャリー:192.9y
総飛距離:201.7y
スピン量:6261rpm
曲がり幅:0.9y右
アイアンで実験①
7Iのトウ上に2g

トウ上に2gの鉛を貼って試打
今回の実験に使ったのは、スリクソン Z565の7I(ロフト31度)、シャフトはモーダス105(S)。ボールはすべてブリヂストンのツアーB X。計測はトラックマン4。鉛の効果がはっきりでるように、まずはトウ上(バックフェース上部のトウ寄り)ぎりぎりに2gの鉛を貼ってショット。
「ワッグルしただけですごく重くなったのが分かります。トウ上の2gって重いですね。実際に打ってみるとこんなに変わるのっていうくらい重いです。いつも通り打つとヘッドがインパクトでスクエアに戻ってこないので出球が右にでますね」(松本プロ)
鉛トウ上2g
7I試打結果
ヘッドスピード:43.1m/s (44.0m/s)
ボールスピード:60.3m/s (61.4m/s)
キャリー:190.0y (192.9y)
総飛距離:199.0y (201.7y)
スピン量:6171rpm (6261rpm)
曲がり幅:5.7y右 (0.9y右)
※5球の平均値。各データ右の(カッコ)内は鉛なしのデータ
ヘッドの返りが遅く(おだやかに)なるので右に出るボールが増えるという結果に。クラブが重く感じるようになったせいか、飛距離も少し落ちています。「個人的にはクラブが重く感じて振りにくくなるのであまりお薦めしませんが、打ち急ぐクセがある人にはいいかもしれませんね」(松本プロ)
アイアン実験②
7Iのヒール下に2g

つづいてヒール下に2g。シール状になった鉛は貼り直せるので調整しやすいです
次はトウ先の対角にあたるヒール下に2gを貼って試打。トウ上と反対の効果が得られるでしょうか?
「ヘッドの手前(手元側)が重く感じますが、トウ先に貼った時ほど重く感じません。ワッグルしただけでも、ヘッドがすごく返りそうな感じ。ヘッドの先端がないような感覚です」(松本プロ)

ヒール下は「ヘッドがビュッと走っていい感じ」と松本プロ
「実際に打ってみると、ビュッとヘッドが走ってすごくいい感じです。ヘッドがキュン! と返ることでボールがつかまって、飛距離も少し伸びました。ヘッドが返るぶんスピン量が減りますが、飛距離が伸びますし、ボールをつかまえたい人、ミート率を上げたい人にお薦めです」(松本プロ)
鉛ヒール下2g
7I試打結果
ヘッドスピード:43.5m/s (44.0m/s)
ボールスピード:61.3m/s (61.4m/s)
キャリー:196.7y (192.9y)
総飛距離:206.7.0y (201.7y)
スピン量:5806rpm (6261rpm)
曲がり幅:0.4y左 (0.9y右)
※5球の平均値。各データ右の(カッコ)内が鉛なしデータ
ヘッドが返りやすく、ボールのつかまり度合いが上がったことでドロー気味のボールが増え、キャリー、総飛距離もアップ。「ロングアイアンはスピンが減りすぎないよう鉛は少しにして、ミドルからショートアイアンには2g貼ってみるのが良さそうです」(松本プロ)
つづいてウェッジで
鉛の効果を計測

よりフィーリングが重視されるアプローチでも実験
アイアンにつづいてはウェッジ。使用クラブはPINGのGLIDEフォージド(56度)、シャフトはダイナミックゴールドのX100です。まずは鉛を貼らずに56度のウェッジを計測。トータル飛距離55~60ヤードを目安に振り感を揃えもらったデータがこちら。
56度のウェッジ(鉛なし)
ヘッドスピード:22.2m/s
ボールスピード:22.4m/s
キャリー:45.8y
スピン量:6414rpm
曲がり幅:2.7y右
※5球の平均値
ウェッジ実験①
56度ウェッジのバックフェース上部に2g

バックフェース上部に2g
バックフェースの上部に2gの鉛をべったり。「ヘッドの下がスカスカに感じますね、この振り心地は新感覚です。実際に打ってみるといつもよりフェースに乗っている感覚があります。スピンも入っていそうです」
鉛バックフェース上部2g
56度ウェッジ計測結果
ヘッドスピード:22.9m/s(22.2m/s)
ボールスピード:22.6m/s(22.4m/s)
キャリー:46.7y(45.8y)
スピン量:6804rpm(6414rpm)
曲がり幅:1.3y左(2.7y右)
※5球の平均値。各データ右の(カッコ)内は鉛なしのデータ
「このチューニングはありですね。地面にズドンと鋭角に当たる癖の人に良さそうです。上に重心があるので払い打ちのイメージが湧きやすいです。体感でも振り心地がはっきり変わりますね。スピン量が400回転ほど増えるので、これはお薦めです」(松本プロ)

鉛を貼っただけで上手く見えるから不思議
ウェッジ実験②
56度ウェッジのバックフェース下部に2g
つづいてはバックフェースの下部に2gの鉛を貼って実験。バックフェースの上に貼った時と反対に重心位置が下がりますが、それが振り心地や弾道にどう影響するのか?

バックフェース下部に2gの鉛をべったり
「今度は上が空洞でソールだけのクラブを振っているような感覚です。ちょっと振りずらい…。初球はダフッてしまいました…。鉛を貼っていない状態と体感がかなり変わってしまって、イメージが出ません。ポジティブに言えばヘッドが前に前に行く感覚があり、少しボールが飛んでくれることでしょうか。打感もちょっと鈍くなりますね」(松本プロ)
鉛バックフェース下部2g
56度ウェッジ計測結果
ヘッドスピード:22.2m/s(22.2m/s)
ボールスピード:22.9m/s(22.4m/s)
キャリー:47.5y(45.8y)
スピン量:6382rpm(6414rpm)
曲がり幅:2.3y左(2.7y右)
※5球の平均値。各データ右の(カッコ)内は鉛なしのデータ
手元から最も遠い位置が重くなるので遠心力が強くなるのか、キャリーと総飛距離が少しアップしました。ただしフィーリング面での変化も大きくなるので「お薦めはできない」と松本プロ。
鉛を貼る位置のお薦め
ミドルアイアンはヒール下
ウェッジはバックフェース上

7IとSWの鉛実験に協力してくれた松本プロ。「市販の鉛シート2枚で2g。振り心地が変わり、実際のスピン量や弾道がかなり変わります。アマチュアの方も、その違いを体感できると思います」
「今回の貼り方にランキングを付けるなら、1位はアイアンのヒール下、2位はウェッジのバックフェース上。この2つは大いにアリです」と松本プロ。
2gと聞くとそんなに軽い重量で変化があるの? と感じるかもしれませんが、ヘッドに貼ってみると大きな変化が体感できるはず。鉛を貼る位置による効果の違いを踏まえて、まずは1gからトライしてはいかがでしょう。
PHOTO/Tadashi Anezaki
THANKS/ISSEI Golf Labo

