プロキャディ・杉澤伸章氏が2026年のPGAツアーを展望。囁かれる「2027年問題(ツアー改革)」を背景に、シード権やランク50位以内を巡る例年以上にアグレッシブな戦いが予想される。中島啓太、平田憲聖ら若手も参戦するなか、松山英樹を筆頭に切磋琢磨する日本勢の活躍と、激動のシーズンの行方を占う。

2026年はざっくり表現するとめちゃくちゃアグレッシブなプレーが見られる年になるのではないかと考えています。誰もが1ストロークでも良く、ひとつでも上の順位を目指して、例年以上に上位を目指す気持ちが高まる年になりそうです。

ツアーで長年活躍している常連も、いわゆるトップ選手らも最初からアクセルと踏んでいくと思います。

その理由は最近囁かれている2027年問題です。あくまでも現状は噂ですが、年間20試合になるとか、25試合なんじゃないかとか、さまざまな声が聞こえてきます。もちろん選手達の認識はそれらの噂は確定事項ではないということですが、タイガー・ウッズもコメントを出しているように、そうなればPGAツアーにとってはいいことだし、新しい挑戦をポジティブに受け入れる姿勢が見られるのも事実です。

もし仮に2027年に何らかの変化・革新があるとしたら、その時に誰がいい思いができるのかと言うと、それは当然ランキング上位者です。

フェデックスランキングで50位以内に入っておけば、その変化が20試合であろうと、25試合であろうと、自分はその対象には当てはまらなくなるわけです。だからこそ、例年以上にアグレッシブに上を目指すゴルフが見られると考えています。

来シーズンから新規参戦する中島啓太選手や平田憲聖選手らが目にするのは、おそらく彼らも驚くほどの全力プレーだと思います。シーズン序盤戦だからと慣らし運転は来年に限ってはやらないはずです。

来年に限ってと表現したのは2027年の何らかの変化があるからですが、そのためには2026年の成績が大きく影響を与えるからで、来シーズンに安全にシード権獲得だけを狙う選手はいないんじゃないでしょうか。少しでも上位に入る気持ちを全面に出したプレーが見られる。その点では、PGAツアーのファンにとっては毎週のように知らない名前が上位に来たり、新しいチャンピオンが生まれたり、これまでとはまた違った展開になる予感がします。トーナメントを解説する側からすると優勝者予想などがやりにくくなり、大変なシーズンになりそうですが(笑)。

ただ、言い方は悪いですが、最近のPGAツアーの優勝者予想を含めた試合展開は、どうしてもマンネリ化していた部分があります。それらを一気に払拭できる可能性がある2027年の変化には個人的にも注目しています。

画像: 26年シーズンは松山英樹を筆頭に、100位以内のシードで久常涼、金谷拓実、コーンフェリーツアーから昇格した平田憲聖、DPワールドツアーから決めた中島啓太の5人がフルシーズンを戦う。公傷制度で救済される星野陸也も前半戦で結果を残せればフルシードも見えてくる(撮影/姉崎正、岡沢裕行、有原裕晶、岩本芳弘)

26年シーズンは松山英樹を筆頭に、100位以内のシードで久常涼、金谷拓実、コーンフェリーツアーから昇格した平田憲聖、DPワールドツアーから決めた中島啓太の5人がフルシーズンを戦う。公傷制度で救済される星野陸也も前半戦で結果を残せればフルシードも見えてくる(撮影/姉崎正、岡沢裕行、有原裕晶、岩本芳弘)

そんな中で来シーズンから松山英樹選手、久常涼選手、金谷拓実選手に加えて、中島啓太選手、平田憲聖選手がPGAツアーに加わりますが、なかでも私がキャディをやっていた中島選手には特に期待しています。

松山選手の背中を追いかけてみんなPGAツアーに乗り込んできたわけですが、やっぱりシグネチャーイベントにいかに出場できるようになるかが鍵で、そうすれば松山選手と同じ舞台で戦えることになります。

中島選手、平田選手が同い年で2つ上が金谷選手。そして2つ年下の久常選手と近しい世代が刺激し合うことで、日本人選手にとっていい方向に向かうような気がします。

彼らに「同世代の日本人選手はライバルなのか?」と聞いたことがあったんですが「ライバルかと聞かれればライバル。でも負けたくないとは思わない」という答えが返ってきました。その真意は、もちろん勝ち負けにこだわる部分はありながらも、お互いに刺激を受けて切磋琢磨し合う関係性ということなのでしょう。

それが相乗効果を生み出し、毎試合誰からトップ20に入ってくるような展開になれば最高だし、そうなると思っています。

色々な見どころがある中で、PGAツアー自体の変化も楽しみたい1年になりそうです。

文/出島正登

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