R・T・ジョーンズの愛弟子が設計。世界を驚かせた1987年の開場

宍戸国際CC静コース(現:静ヒルズCC)
18ホールの規模だが36ホール分のプレーが楽しめる、と聞いたらどんなコースを想像するだろうか。多くは「ティーイングエリアが2カ所あり同じホールを2度プレーする」と思うことだろう。
ティーイングエリアが2カ所あるのは9ホールのコースによくあり、2度目にプレーするときには最初とは異なるティーイングエリアからのプレーになる。このように工夫すれば9ホールでも18ホールのプレーが楽しめるわけだ。
かつて茨城県にそのようなコースがあった。コース自体の規模は18ホールだが、曜日によりティーイングエリアが異なり、プレーする方向も変わり、まったく異なるコースをプレーしている感覚だった。同じフェアウェイを共有するが、景観が変わると同時に攻めるグリーンも異なり同じコースとは思えないほど面白かったし、違和感もなかった。

ロバート・トレント・ジョーンズ・シニア
同じ面積でありながら36ホール分のルートがあるわけだが、この画期的なシステムを採用し、ロバート・T・ジョーンズの愛弟子であるゲイリー・R・ベアードが設計したのが「宍戸国際CC 静コース(現・静ヒルズCC / 18H・7212Y・P72)」だ。1987年に開場した、世界最初の2ウェイシステムのコースだった。
ちなみにベアードが設計したカリフォルニアのバロナクリークGC(18H / 7075Y / P71)はゴルフウィーク誌のベスト100コース、米ゴルフダイジェスト誌ではカリフォルニアベスト50に選ばれ、スロープレーティング(※)140の難コースだ。
※スロープレーティング:USGAが1990年に導入を始め、採用してきた方式で、コースレーティングとは異なる指標のこと。数値が高ければ高いほど難易度が上がる
予備知識がなければプレー中に2ウェイと気づくことはなく、距離もあり、戦略性が高く変化にも富んで印象的なコースだった。そして造形に無理もなく楽しくプレーができた。「こんなアイデアあるんだ、狭い日本では18ホール分で36ホールはいいかも知れない」と大いに感心した記憶がある。
もう少し詳しく説明しよう。
アップルコースは6715ヤード(パー72)、グレープコースは6806ヤード(パー72)という規模だった。基本的にフェアウェイは共有していて、逆方向からもプレーができるように造形され、右回りがアップルコース、左回りがグレープコースだった。
コース全体に緩やかな起伏を持ち、大きな池が4つあってそれぞれのコースにアクセントを添えていた。グリーンは当時の日本のコースから考えればかなりのアンジュレーションがあり、バンカーの形状も独特で日本離れしたコースでもあった。

ソッドウォールバンカーは、切り立った壁の様なアゴを持つバンカー
バンカーに関しても印象深い記憶がある。あるパー3ホールのバンカーが、リンクス特有の「ソッドウォールバンカー(積み芝の直壁)」のように造られていたことだ。しかもグリーンは縦長でピンが左奥にある場合、パットするのがすごく難しかった。形状的には「レダン」と呼ばれる戦略的なホールだった。
ハウスは大きく、屋内に様々な施設もあるスポーツコンプレックスで、ホテル出身のシェフが提供する料理は見た目も味もかなりよかった。
世界最初の2ウェイシステムによるコースだったが、後年改造されて通常の18ホールになってしまったのは残念な思いでもある(現在の静ヒルズCC)。国土に制限がある日本では有効なアイデアだっただけに惜しまれる。
文・写真/吉川丈雄(特別編集委員)
1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースやゴルフの歴史のスペシャリスト。現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動中




