1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材し、現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員として活動する吉川丈雄が、ラウンド中に話題になる「ゴルフの知識」を綴るコラム。第63回目は、厚木基地内の18ホールで体験した型破りなゴルフシーンについて。

暗闇に飛ぶ幻想的な光。蛍光ボールで挑んだ深夜のコンペ

画像: ナイターゴルフのイメージ、暗闇の中で光るボールは、どこか幻想的な雰囲気が感じられる

ナイターゴルフのイメージ、暗闇の中で光るボールは、どこか幻想的な雰囲気が感じられる

神奈川県の大和市と綾瀬市をまたぐように厚木基地がある。戦前は海軍の航空基地だったが、戦後になるとそのまま米海軍横須賀基地の施設になり、現在は海上自衛隊との共同運営となっている。ちなみに、マッカーサー元帥が初めて日本の土を踏んだのはこの厚木基地だった。

広大な基地内には18ホールのコースがある。かつて支配人兼プロは私の友人のカーター・スミスさんで、ジョージア州オーガスタ出身だった。その関係で基地内に出入りでき、メンバータグを貰ったことから練習もプレーも自由自在だった。

ある日、夜中にコンペをするから参加しないかといわれ「夜中にコンペ?」と聞き返すと、蛍光ボールを使ってのプレーだった。

夏の夕方、コースに到着すると参加者は既に集まっていた。20組ほどはいたと思う。競技方法が説明され、蛍光ボールを受け取ると指定されたティーイングエリアに赴きプレーが開始された。

蛍光ボールはボールの中心が光るもので、暗闇の中ではかなり視認することができ、ショットをすると丸い光が飛んでいき、ちょっと幻想的でもあった。ただし、いつものボールよりは飛距離が落ちるのはしかたのないことだった。

画像: ※蛍光ボールイメージ

※蛍光ボールイメージ

アイアンでの感触も悪くなく、通常のボールと遜色はなかったが、パットは何となく鈍いような気がした。それに蛍のように光っているボールを打つと輝きながら転がる様は何となく面白かった。当然だが、プレー終了は深夜だった。

別のコンペにも参加した。今度はコースを逆回りしてプレーするというもので、4人のベストボールでの競技だった。アメリカ人はいろいろと考えるな、という印象を抱いた。

逆回りだから、ティーイングエリアの植え込みが障害物になる。打ち上げホールは打ち下ろしになり、4人で攻めるルートを決めてベストボールの位置から打つことになるが、これがなかなかうまくいかない。

例えばナイスショットをしてかなり距離を稼いだとしても、目標前方に障害物がありピンを狙えないこともあり「それでは別のボールを選ぼう」となるが、逆回りだと必ずしも良いライとは言い難くそれなりに苦労する。ミスショットする率も高くなる。

もちろん4人とも2打が打てる状態なら問題はないが、4人とも前方に障害物が行く手を阻んでいるということもかなりあった。そのような時には少しでもましなボールを選択してプレーを続けるしかなかったが、ホールを消化するに従い何となく要領が分かり、共同作業的な“絆”も生まれた。

さらに、各人がベストボールを選択できるのは4回までで、飛ばし屋のベストボールだけを選んでいるとすぐに回数を消化してしまうことになり、最後には全員がミスショットの位置から打たなければならないという情けないようなシーンもあった。そんな時に限って目の覚めるようなナイスショットが出るから悔しい思いをしてしまう。

コースを逆回りでプレーをするのはかなり新鮮で冒険的でもあり面白い競技だったが、日本のコースのように高低差があり林でセパレートされているとかなり難しいプレーになると思われる。

文・写真/吉川丈雄(特別編集委員)
1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースやゴルフの歴史のスペシャリスト。現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動中

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