2026年シーズンの初戦から、世界No.1がその座にふさわしい圧巻のパフォーマンスを見せつけた。PGAツアー「ジ・アメリカン・エキスプレス」。スコッティ・シェフラーは最終日も安定したゴルフを展開し、通算27アンダーでフィニッシュ。2位に4打差をつける完勝で、今季初勝利を飾った。これでシェフラーはPGAツアー通算20勝目に到達。これは、PGAツアーの「永久シード(ライフタイム・メンバーシップ)」獲得条件の一つである「20勝」をクリアしたことを意味する(※もう一つの条件である「ツアー在籍15年」はまだ満たしていないため、正式な権利行使は先となる)。30歳手前での20勝到達は、ジャック・ニクラス、タイガー・ウッズに次ぐ史上3人目の記録であり、タイガー以来のスピード記録だ。現代の怪物は、優勝会見で何を語ったのか。そこには、我々アマチュアゴルファー、特に競技志向のプレーヤーが学ぶべき「思考の金言」が詰まっていた。
画像: PGAツアー20勝に到達したスコッティ・シェフラー(写真は25年ツアー選手権、撮影/岩本芳弘)

PGAツアー20勝に到達したスコッティ・シェフラー(写真は25年ツアー選手権、撮影/岩本芳弘)

「完璧」ではない。だからこそ「正しくミスをする」

優勝会見で20勝目の感想を問われたシェフラーは、「正直、あまり考えていなかった」と彼らしく淡々と答えた。偉業達成よりも、彼が饒舌に語ったのは、この日のプレー内容、特に「ミスへの対処」についてだった。

「フロントナインのボールストライキングは、決して完璧ではなかった。いくつか左へのミスがあったんだ」

世界一の選手でも、常に完璧なショットが打てるわけではない。ここからが、シェフラーの真骨頂だ。

「でも、左に外したホールを見てみると、それは常に『正しいミス(correct miss)』だったんだ。右サイドが危険な場面で左に外す。ボールを『安全なエリア(right areas)』に置き、そこから自分の得意なショートゲームやパットで凌ぐ。それができていた」

ゴルフにおいて、ショットの調子が悪い日にどうスコアを作るか。シェフラーの答えはシンプルかつ究極だ。「打ってはいけない場所」を徹底して避け、リカバリー可能な場所へ「正しくミスをする」。無理にピンを狙って大叩きするのではなく、自分の不調を受け入れ、許容範囲内に収めるマネジメント。これこそが、彼が崩れない最大の理由だろう。

「忍耐」とは、ただ耐えることではない

もう一つ、シェフラーが強調したキーワードが「忍耐」だ。例年、バーディ合戦となる今大会、スコアを伸ばさなければという焦りが生まれてもおかしくない。しかし、彼はこう語る。

「忍耐強くいることの大部分は、『正しいショットを打ち続け、実行し続けること』なんだ。プレッシャーがかかったり、無理に押していこうとしたりする時ほど、誤った判断をしてしまいがちだからね」

彼にとっての忍耐とは、単に我慢することではない。感情に流されず、冷静に状況を判断し、確率の高い「正しいショット」を選択し続ける意志の強さを指す。

「常に学び、どうすれば少しでも良くなるかを考え続けること」

その姿勢が、20勝という結果に繋がっているのだ。

「祝福」と「感謝」。最強ゴルファーの素顔

記録ずくめの優勝にも、敬虔なクリスチャンであるシェフラーは謙虚さを崩さない。

「若い頃の自分が今の僕を見たら、少し混乱するかもしれないね(笑)。PGAツアーでプレーすることを夢見ていたけれど、ここで戦えること、そして優勝できることは『祝福』以外の何物でもない」

そして、その強さを支える家族への感謝も忘れない。

「妻(メレディス)は一番のサポーターだ。今朝も5時15分に起きて、僕のために朝食を作ってくれた。誰も見ていないような小さなことの積み重ねが、僕を支えてくれている」

ちなみに、勝負メシとなったその朝食メニューは「美味しい卵、ベーコン、そしてヨーグルト」。

世界最強の男は、愛する家族の支えと、神への感謝、そして「正しくミスをする」冷静な頭脳で、2026年もゴルフ界を支配しそうだ。

18歳のブレーズ・ブラウンが大会を盛り上げた


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