【テスター1】江村滋英さん(62歳)
悩み:右に逃げる「つかまらない球」をなんとかしたい!

江村滋英さん(62歳)。ゴルフ歴40年。平均スコア90台。ラウンドは週一以上という熱意あるゴルファー
まずは平均スコア90台、ベテランの江村さんから。 現在の悩みはズバリ「球のつかまりが良くない」こと。愛用中のプロギアRS(JUST)で、いざ試打開始。……と思いきや、エースドライバーでいきなりのナイスショット連発!
これにはフィッター井上さんも「(江村さんに合っていて)強敵ですね……」と苦笑い。しかし、プロの目は誤魔化せない。データ画面を見つめる井上さんの目が光る。

タイトリスト ゴルフクラブ フィッティング スペシャリスト 井上 博通さん。ザ・CC ジャパンにある「タイトリスト フィッティング センター」で日夜ゴルファーの悩みを解消する
「ナイスショットでもスピン量が2300回転。左へのミスだと2000回転を切っています。江村さんのヘッドスピードなら、理想は2500〜3000回転。打ち出し角も12度とギリギリなので、ここを改善できればキャリー200ヤード超えが安定します。GTなら、さらに初速アップも狙えますよ」
タイトリストの流儀は「一発の飛び」ではない。「ショットがまとまる安心感」こそが、結果として最大飛距離を生む。 井上さんの提案で運命のヘッド探しが始まった。

ドライバーを合わせるには他のクラブとの兼ね合いも大事。丁寧なヒアリングが欠かせない
まさかの伏兵? ヘッド選びで起きた大逆転
まずは王道の「GT2(高初速・寛容性)」と「GT3(操作性)」を、基準シャフト(デナリレッド 50/5.5)でテスト。
GT2: 良い球も出るが、時折「こすり球」が顔を出す。
GT3: 明らかにボール初速アップ!
江村さん「どちらも振りやすいですね」
井上さん「GT3は浅重心でフェースターンしやすく、結果ボールスピードにつながります。これで決まりかな……いや、ちょっと待ってください」
ここで井上さんが取り出したのは、軽量モデルの「GT1」。 これが驚くほどハマった。
「えっ、こんなに変わるの!? しかも凄く振りやすい!」(江村)

フェースの下めに集中していた打点が大幅に改善された
懸念点の右へのミスが消え、つかまった強弾道を連発。「GT3」で決まりかけた空気が一変した。
「キャリーが伸びて、初速も一番。何より球のまとまりが段違いです。ヘッドはGT1で決まりですね」(井上)
「Rシャフト」がハマった理由
続いてシャフト選び。ここでも“常識”が覆る。
・ツアーAD DI-5 (S): 「少し重くて振りづらい……」
・スピーダーNX バイオレット 50 (S): 「つかまりもいいし飛んでる!」
・ツアーAD CQ-5 (S): 「私(江村さん)のリクエストでしたが、まさかのチーピン」
・テンセイ 1K ブルー 55 (R): 「いや、最高です! ……えっ、これRなんですか?」
江村さんが「これだ!」と言ったのは、まさかのRシャフト。
「テンセイ 1K ブルーは特性上、少し重めで硬く感じます。GT1はヘッドが軽いので、Sだとしなりを感じにくい。だからあえてRにしました。結果、初速、スピンともに理想です」(井上)
さらに井上さんは「落下角度」にも注目。江村さんのパワーでランとキャリーのバランスが最大化する「35度前後」に見事に収まった。

スペックが決まったら芝の上で最終確認。より実戦に近い形でチェックできる
【江村さんのビフォーアフター】
(マイクラブ)
ボール初速:57.5m/s
打ち出し角:12.0度
スピン量:2352rpm
落下角度:29.5度
キャリー:193.3Y
トータル:220.8Y
(GT1)
ボール初速:58.7m/s
打ち出し角:13.1度
スピン量:2780rpm
落下角度:34.8度
キャリー:205.8Y
トータル:230.1Y
【決定スペック】 GT1(10度) × テンセイ 1K ブルー 55(R)(シュアフィット:A1ポジション)

軽量モデルのGT1だが、重量調整して使用する男子プロも少なくない。「つかまったフェードを打ちたいゴルファーにも人気です」(井上)
「自分に合っているものが分かってスッキリしました。軽めの『GT1』が合うとも思わなかったし、まさかRシャフトになるとは。フィッティングを受けなきゃ一生たどり着けない答えでした」(江村)

「GT1、凄く振りやすくて飛びました。こすっても不思議なほど右に曲がらないですね」(江村)
【テスター2】浅原良和さん(63歳)
悩み:落ちてきた飛距離を復活させたい

浅原良和さん(63歳)。ゴルフ歴44年。平均スコア80台。大のタイトリストファン
続いては、ゴルフ歴も長く、大のタイトリストファンである浅原さん。 「最近ヘッドスピードが40m/sに届かなくなって……飛ばないのも無理ないですね」と諦め気味だが、新製品が出るたびにタイトリストのドライバーにするほどのギア好き。今回も「GT3」を携えて参加した。
そんな浅原さんに、フィッターの井上さんは断言する。
「いえいえ、データを見る限りもっと飛びます。原因はパワー不足ではなく『弾道の高さ』です」

ダイナミックロフト(インパクト時のロフト)が19度以上。前に力が伝わらず、飛距離をロスする
浅原さんの弾道は、打ち出し角が約20度に迫ることもあり、落下角度も40度近くと「上がりすぎ」の状態。これではキャリーが出てもランが稼げない。
「高さを適正に抑えれば、効率よく力が伝わり、ボール初速もランも伸びます」(井上)
手始めに「GT2」で最適解を探る
まずは、球の高さに直結するロフト選びからスタート。 「GT3」「GT4」「GT1」と様々なヘッドをテストしたが、選んだのは「GT2の10度」だった。
打てば好結果を連発。浅原さんはすぐに“ある変化”に気づいた。
「ヘッド形状がGT3に比べて平べったいので、僕の『すくい打ち』のクセが出にくい気がします。見た目のイメージでレベルに近いインパクトができる。それでちょうどいい球の高さになったのかな」(浅原)
この分析に、井上さんも大きく頷く。 「その通りです。ヘッド形状によってスウィング軌道が変わることは往々にしてあります。今回はまさにそのパターンですね」(井上)

ヘッド形状がスウィングに与える影響は少なくない
続いてシャフト選び。3種類を打ち比べた結果、抜群の数値を叩き出したのが「スピーダーNX バイオレット 50(S)」だ。
「これ、凄く振りやすい! 初速も伸びたし文句なしです」と浅原さんも大絶賛。

GT2にしたことで、適正な打ち出し角、スピン量に。初速も大きくアップした
これにより、【GT2(10度)× スピーダーNX バイオレット 50(S)】という、浅原さんにとっての「新・最強スペック」が完成した。
【浅原さんのビフォーアフター】
(マイクラブ[GT3])
ボール初速:56.6m/s
打ち出し角:19.2度
スピン量:2770rpm
落下角度:39.4度
キャリー:203.4Y
トータル:221.1Y
(GT2)
ボール初速:58.4m/s
打ち出し角:16.2度
スピン量:2433rpm
落下角度:36.1度
キャリー:213.3Y
トータル:235.3Y
【決定スペック】 GT2(10度)× スピーダーNX バイオレット 50(S)

「GT2がおすすめです」と井上さん。だが自前のGT3もGT2を打ったことで軌道がレベルに近づき、最終的に弾道が良くなってきた。そのままGT3を使っても問題なさそうだ

「マイクラブのGT3もあるので……悩ましいです」(浅原)
【テスター3】草野翔太さん(35歳)
悩み:左へのミスにおびえず、安心して振りたい

草野翔太さん(35歳)。ゴルフ歴9年。小・中・高校と野球に励んだパワーヒッター
最後は野球経験者、HS47m/sのパワーヒッター草野さん。 悩みは「左への巻き込み」。以前は吹き上がりに悩んでいたこともあり低スピンモデル(コブラ エアロジェットLS)を使っているが、スピン量が収まった今では、左へのミスが多発。それを恐れ何とか合わせて使っているという。
「ナイスショットでもスピン量2200回転。確かにこれではドロップやチーピンが出ても不思議はないですね。スピン量は2500回転以上あっていい。『左に行かない安心感』があれば、もっと振れて飛距離は伸びます」(井上)
パワーヒッター=低スピンモデル、ではない?
まずはGT2、GT3、GT4(すべて10度)を、マイシャフト(24ベンタスブルー 6X)で打ち比べ。

「GT2もGT3もGT4も全部振りやすい」という草野さん。「特にGT2とGT3はかなり空力性能を突き詰めて設計されています。そのあたりも作用していると思います」(井上)
「全体的にマイクラブより振りやすい! GT3は顔が良いし、GT4もシャープでいい。でも……GT2は初速が出るし、安定感がある気がします」(草野)
「GT3とGT4はスピンが減りすぎて、今の草野さんには不安定要素になります。ここは寛容性が高く、適度にスピンも入るGT2でいきましょう」(井上)
ここからシャフト選び。ハードヒッター御用達モデルをテストしていく。
・ベンタスTRブルー 6 (X): 悪くないがやや初速ダウン。
・ツアーAD VF-7 (S): 「70g台のSって初めてだけど、重くない! 振りやすい!」
・ツアーAD DI-7 (S): 「いきなり一番を超えてきた! なんで今までDIを使わなかったんだろう……」
意外にも70g台のシャフトがベストマッチ。さらに井上さんが最後のスパイスを加える。
「仕上げに、シュアフィット(カチャカチャ)をB1ポジション(0.75度フラット)にしましょう」
これで左への恐怖心が完全に消え、力強いストレートボールを連発した。
【草野さんのビフォーアフター】
(マイクラブ)
ボール初速:69.3m/s
打ち出し角:16.2度
スピン量:2237rpm
落下角度:40.9度
キャリー:265.9Y
トータル:282.5Y
(GT2)
ボール初速:69.5m/s
打ち出し角:15.0度
スピン量:2518rpm
落下角度:38.4度
キャリー:266.0Y
トータル:283.7Y
【決定スペック】 GT2(10度)× ツアーAD DI-7(S) (シュアフィット:B1ポジション)

GT2の高初速性能と寛容性はパワーヒッターにも合う。D-1グランプリ連覇は伊達じゃない
「最高の体験でした。ヘッドもシャフトも、自分一人なら絶対選ばないスペック。勉強しているつもりだったけど、全然自分のことを分かっていなかった(笑)。1年以内にバッグの中身が全部タイトリストになりそうです」(草野)

GT2もDI(シャフト)も超意外な結果でした(草野)
フィッティングとは「信頼」を作ること
三者三様の結果となった今回のフィッティング。 共通していたのは、「自分の中の常識(スペック)を捨てた先に、正解があった」ということだ。
「タイトリストのフィッティングは、単なる飛距離追求ではありません。その人に必要なのが安定性なのか、高さなのか、スピンなのか。目的を絞り、一番重要な『スコアアップ』に直結させる。『この1本なら大丈夫!』という揺るぎない信頼を作る作業なんです」(井上)
GTドライバーのポテンシャルを100%引き出すには、フィッティングは大いに役に立つ。 あなたも“意外な結末”と“最高の結果”を体験しに行ってみてはいかがだろうか。
PHOTO/Hiroyuki Tanaka
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2026年2月2日17時00分、一部加筆修正しました。


