
開幕戦の優勝で通算勝利数を16に伸ばしたネリー・コルダ(PHOTO/Getty Images)
「人生最高のラウンド」を生んだ覚悟
「昨日のラウンドは、私のキャリアの中でもベストの一つでした」
【動画】「キャリアベスト」と語る3日目のネリー・コルダのハイライト【LPGA公式YouTube】
Korda dominates moving day and went -8 at Hilton Grand Vacations LPGA Tournament of Champions
www.youtube.com優勝会見でコルダはそう振り返った。土曜日の予報は過酷だった。朝から雲が垂れ込め、午後には風速13メートル(30mph)を超える突風が吹き荒れる予報。しかし、彼女はこの状況を予期し、覚悟を決めていた。
「10日前から週末の天候が荒れることは分かっていた。だから精神的な準備はできていたの」
強風下では、クラブ選択やショットへの迷いが致命傷となる。晴天無風なら許される僅かな迷いも、このコンディションではボールを遥か彼方へ運んでしまうからだ。
「たとえ間違った決断だったとしても、そのショットに100%コミット(専念)しなければならない」
この徹底した「コミットメント」と「精神的な明晰さ」こそが、悪条件で他がスコアを落とす中、ビッグスコアを叩き出した要因だった。
「センチメートルの差」と向き合ったオフ
会見で強調されたのは、昨年との精神的な違いだ。昨年もプレー自体の調子は悪くなかった(年間女王に輝いたジーノ・ティティクルの平均スコアは68.68で1位、コルダは69.44で2位)。しかし、優勝にはあと一歩届かない試合が続いた。コルダはそのもどかしさを「ゴルフはセンチメートルのゲーム」と表現する。
「昨年は、あと1インチ、あと1センチあれば物語は完全に変わっていたのに、と思う場面が何度もあった」
しかし、2026年の彼女は違う。「不運」を嘆くのではなく、コントロールできることに全神経を注ぐ姿勢が確立されている。
「結果は誰にも分からない。唯一コントロールできるのは、自分の技術とスポーツに注ぎ込む『インプット』のレベルだけ」
その背景には、徹底した「雑音の遮断」があった。昨年、彼女は精神衛生を保つため、ソーシャルメディアから距離を置く時間を増やしたという。「見たくなくても目に入ってくる」外部の声を遮断し、多くのゴルフアカウントのフォローを解除。自分自身とチーム、そして目の前のプロセスだけに集中する環境を整えた。
「低迷期を経験したことに感謝している。それが好調時のありがたみを教えてくれるし、何が自分にとって本当に重要なのかを気づかせてくれたから」
完全復活へ
今大会の優勝で、姉のジェシカ・コルダと共に同大会の歴代覇者として名を連ねることになった。「このスポーツと多くの思い出を共有できることに感謝している」と語る表情には、勝負師の厳しさとは違う、家族への温かい想いが滲む。
日曜日の朝、競技短縮の決定を聞いた時、彼女はすでにジムでウォーミングアップを終え、いつティーオフしても良いようにルーティンをこなしていたという。どんな状況でも動じず、ただ淡々と準備を整えるその姿は、かつてないほどの頼もしさを漂わせている。
「センチメートルの差」に泣いた過去を、強靭なメンタリティでねじ伏せたネリー・コルダ。2026年、彼女の視界には、再び世界ナンバーワンの座がくっきりと捉えられているはずだ。

