砂漠の夜は「F1」の如く。ラームとハットンが語るナイターの魅力

25年「LIVゴルフ リヤド」のチーム戦で優勝した「レギオンXIII」のキャプテン、ジョン・ラーム(左)とチームメイトのティレル・ハットン(右)(PHOTO/LIV GOLF)
「F1のナイトレースみたいで最高にかっこいいだろう?」
昨年、リヤド大会のチーム戦を制したレギオンXIIIのキャプテン、ジョン・ラームは、白い歯を見せて笑った。
砂漠の夜を照らす照明の中でのプレーについて、彼は「照明は十分にあるし、難しくはならない。サウジのファンの前でプレーするのは素晴らしい体験になる」と語る。
また、チームメイトのティレル・ハットンも、ナイターゴルフならではの意外なメリットを口にした。
「フェアウェイしか見えないのがいいんだ。トラブルのほうを見なくて済むからね。視覚的に僕の目にはすごく合っているよ」
照明に照らされた芝生だけが浮かび上がり、周囲のハザードや荒地といった余計な情報が闇に消える。この「強制的な集中環境」は、ターゲット狙いに徹する上でプラスに働くようだ。
しかし、華やかな見た目とは裏腹に、選手たちには過酷な調整が強いられる。今大会のショットガンスタートは、なんと午後6時5分。終了は深夜に及ぶ。体内時計を狂わせかねないこのスケジュールに、選手たちはどう立ち向かうのか。
アン・ビョンフン流「AIコンディショニング」はアマチュアにも有効?

「アイアンヘッズ」改め「コリアンGC」の新キャプテンに就任したアン・ビョンフン(PHOTO/LIV GOLF)
ここで興味深い対策を披露したのが、今季からLIVに参戦するコリアGCのキャプテン、アン・ビョンフンだ。彼はこの特殊な環境に適応するため、最先端のテクノロジーを駆使しているという。
「僕はChatGPTとGeminiを使っているんだ」
アンは真顔でそう明かした。
「フライトスケジュールや、午後6時5分というスタート時間をAIに入力して、いつ寝るべきか、どう行動すればパフォーマンスを最大化できるかを弾き出してもらうんだ」
時差ボケと夜型生活へのシフトを一挙に解決するために、AIに「最適解」を求め、その通りに睡眠と行動を管理する。チームにはフィジオ(理学療法士)もいるが、「膨大なリソースと情報がAIにはあるから」と、彼はテクノロジーへの全幅の信頼を口にする。
このアプローチは、酷暑の夏にナイターゴルフや早朝・薄暮プレーを楽しむ日本のゴルファーにも応用できるかもしれない。プレー時間から逆算した睡眠導入や食事のタイミングをAIに相談する――。プロの世界では、もはやそんなデジタル活用が当たり前になりつつあるのだ。
「LIV(54)」が名前だけの存在に? 72ホール化をラームは歓迎
そして、今シーズン最大にして最も皮肉なトピックが、競技フォーマットの変更だ。LIVゴルフはその名の通りローマ数字の「54」=「3日間54ホール」をアイデンティティとしてきた。しかし、2026年シーズンからはついに「4日間72ホール」へと移行する。
この劇的な変化について、ラームは「リーグにとって正しい方向への一歩だ」と断言する。
「これによって、他のツアーの記録や歴史とLIVを比較しやすくなる。72ホールを戦うというフィジカル、メンタル両面のタフさが証明されることになるからね」
ラームは、これまで批判の的となってきた「54ホールはゴルフではない」という外野の声を封じ込め、世界ランキングポイントの獲得やメジャー大会への準備という観点からも、この変更を歓迎しているようだ。
「もちろんスケジュールの調整は必要になるが、我々が世界最高の選手たちと競い合っていることを証明するためには必要な進化だ」
「54」の名を冠しながら72ホールを戦う矛盾。しかしそれは、LIVゴルフがエンターテインメントの枠を超え、競技としての「格」を確立しようとする進化の証とも言えるだろう。
AIを駆使して夜の砂漠を攻略し、72ホールの長丁場を戦い抜く。2026年のLIVゴルフは、これまで以上にタフで、知的なサバイバルゲームの様相を呈している。
