加藤金次郎選手のコーチを務めるタイ在住の中村映禅プロの実家は奈良県にある650年続く浄土宗の西迎院。中村コーチは以前から瞑想などをゴルフのレッスンに取り入れていたが、加藤選手もそれを実践しているとのこと。加藤選手のオフ合宿の後編では、瞑想を含めたメンタル面の強化法について紹介しよう。
画像: 中村映禅コーチと加藤金次郎プロ

中村映禅コーチと加藤金次郎プロ

中村コーチは加藤選手に3つのノートを手渡している。

1冊目は「一人会議」とネーミングされたノートで、朝と夜に反省と気づきを記入しているという。

「夜寝る前と朝起きてから瞑想をやらせています。やらせているといっても、出会った頃はその重要性も感じてなかったので続かなかったんですが、今では自主的に毎日欠かさず行っています。見開きの左側には昨晩の瞑想での気づきと反省、右ページにはその日の朝の瞑想での気づきを記入します」

「一人会議」というネーミングからもわかるが、自分に問いかけ、自分と見つめ合うための時間で、その内容は”予祝(よしゅく)”といって「マスターズに勝つ」とか「賞金王になる」といった目標を書き出し、さらに自分を奮い立たせる言葉を20ほど書き出す。午後はその日あった1番楽しかったことと、その理由まで明確に書き出す。そこが重要なことだと中村コーチは言う。

2冊目は『5年間手帳』というもので、いわゆる毎日の日記を記入できる2029年までの手帳を渡している。起きた時間や食事の内容、ラウンドした時のスコアなど、過去を振り返ったり記憶を辿ったりするためのものだという。

画像: 「一人会議」ノートには、予祝といって「マスターズに勝つ」とか「賞金王になる」といった目標を書き出し、さらに自分を奮い立たせる言葉を20ほど書き出す

「一人会議」ノートには、予祝といって「マスターズに勝つ」とか「賞金王になる」といった目標を書き出し、さらに自分を奮い立たせる言葉を20ほど書き出す

そして3冊目が大谷翔平選手も活用していたマンダラチャート。自分オリジナルのものをノートに書き出し、常に復習できるようにしている。

これら3つのノートを毎日欠かさず書き出して見直す作業を行う目的はもちろんメンタル面の強化だ。しかし、単純に思い続けるだけでは効果がなく、人間のある状態にもっていってこそ、これらの本当の効果が得られると中村コーチは言う。そのために必要なことが瞑想だ。

加藤選手は朝起きてからと寝る前に瞑想を行なっている。中村コーチ曰く、ゴルフの世界には何勝もするトッププロから、インストラクター、トップアマ、アベレージアマなどのレベルがあるように瞑想にもそういったレベルがある。加藤選手はすでにゴルフで言えばプロフェッショナルの域に達していると中村コーチはいう。

瞑想と聞くと目を瞑って自分と向き合うスピリチュアル的なものを想像しがちだが、実際はどういうものなのか。加藤選手が取り入れることの意味や目的について中村コーチに聞いた。

「瞑想は人間の基本なんです。必要になるのが呼吸、姿勢というもので、一般の人でも呼吸を深くして、姿勢をよくすると気持ち良く感じますよね。それを日常的に行なっているお坊さんからするとごくごく当たり前のことなんです。ただ、瞑想の中でもお釈迦さんになっていくような修練は存在するのですが、そのレベルのことは一般の人ではできないし、目指すこともできません。私が金ちゃんに行なっているのは、メンタルトレーニングの入り口の瞑想です」

画像: 技術とメンタルの両面からトレーニングをする加藤選手

技術とメンタルの両面からトレーニングをする加藤選手

例えば、人と会ったり、話したりすることは顕在意識の中で行われていることで、それと対照的な言葉が自律性状態です。例を挙げるとすると寝る瞬間の状態。これを潜在能力の扉が開いている状態と呼ぶそうで、自律性状態が人間にとって最も良い状態だという。

わかりやすく言えば人間にとってのニュートラルかそれ以上の状態で、意識が届かない無の状態といった感じだ。その状態に持っていくための手段が瞑想であり、その瞑想を達人レベルで加藤選手はすでに習得しているというのだ。

15歳で自分と向き合う術を習得しているということだけでも、今後アスリートとしてどのように成長していくのか期待が膨らむが、毎年どころか日々成長し続けている加藤選手なだけに、今年のツアーでの活躍が今から楽しみで仕方がない。

文/出島正登

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