「松山さんは別格」背中を追っての快進撃
この日の久常は、午後スタート。コースに出る前、午前中にプレーしていた松山の凄まじいスコアの伸びを目の当たりにしていた。
「松山さんのバーディラッシュを見ていて、『やっぱり別格だな』と思っていました」

「まだ2日目。アグレッシブに行こう」と思っていたという久常
日本のエースが見せた圧倒的なプレーに感嘆しつつも、そこでプレッシャーを感じることはなかった。「自分も同じようなゴルフができてよかった」と語る通り、松山の作った良い流れに共鳴するように、自身も好プレーを連発していく。
普段から練習ラウンドを共にし、PGAツアーの舞台でも背中を追い続けてきた先輩の存在。その「別格」のプレーをエネルギーに変え、久常も猛チャージを見せる。
「普段なら刻む」15番で2オン
3アンダーからスタートしたこの日、前半のアウトコースは2バーディとやや静かな立ち上がりだった。しかし、ハーフターン後の13番、14番で連続バーディ。そして迎えた15番パー5。ここで久常の強気の攻めが生きる。
2打目は残り260ヤード。「普段なら刻むと思うところですけど、まだ2日目だし、好きなアングルとロケーションだったのでアグレッシブに行こう」と決断。7番ウッドで放った会心の2打目は、ピンそば3mにピタリ。このイーグル奪取で、一気に首位争いへと名乗りを上げた。
スタジアムの熱狂、そして池ポチャからの奇跡
勢いは止まらない。続くスタジアムの大歓声がこだまする“カオス”の16番(パー3)でもバーディ。10アンダーとし、ついに松山をとらえる。

名物ホールの16番(パー3)でもバーディ。この時点で首位タイに立つ
そしてハイライトは17番だ。ドライバーでのティーショットはグリーン左の池へ。「やってしまった」と思われたが、ドロップ後の3打目を「ラッキーだった」と振り返るチップインでねじ込み、まさかのバーディ。
最終18番でも、同組のマッケンジー・ヒューズらを大きく引き離すビッグドライブを見せつけ、危なげなくパーセーブ。終わってみれば8つスコアを伸ばす「63」で、通算11アンダーの単独首位に躍り出た。
憧れの先輩と「夢の最終組」
ホールアウト後の会見。「明日の最終組はどう?」と聞かれた久常は、高揚感を隠せずに答えた。
「It’s a dream to play with Hideki.(英樹さんと回れるなんて夢のようです)」

海外のインタビューにも英語で堂々と答える久常
松山がこの地で連覇を達成したのは2016年、2017年。「中学生くらいの時ですかね。松山さんがここで優勝したのをテレビで観ていました。その松山さんと、まさかPGAツアーの最終組で一緒にプレーできるなんて……夢のようです」
テレビ画面の向こうにいた憧れの存在であり、今は練習ラウンドを共にする頼れる先輩。そんな松山と、優勝争いのど真ん中で肩を並べる。
復調のパターが支えた快進撃

先週(ファーマーズ・インシュアランス)で好調のきっかけをつかんだというパッティング
この爆発力を支えたのは、グリーン上のパフォーマンスだ。「(2位タイに入った)先週からパットの調子が良くなってきている」と語る通り、この日は面白いようにボールがカップに吸い込まれた。

「63」の原動力となった久常が長年愛用するL字マレットパター(2026年 ソニー・オープン・イン・ハワイにて撮影)
リーダーボードの上位に並ぶ二人の日本人の名前。「明日もアグレッシブに行きたい」と語った久常が、憧れの先輩の前でどんなプレーを見せるのか。日本のゴルフファンにとっても夢のような週末が、幕を開ける。
PHOTO/Yoshihiro Iwamoto
