
ステージ上で行われた表彰式でトロフィを掲げるエルビス・スマイリー(提供/LIVゴルフ)
父は熱狂的なプレスリーファン。「A Little Less Conversation」でスイッチオン
「エルビス」というその名は、もちろん“キング・オブ・ロックンロール”に由来する。元プロテニスプレーヤーの両親を持ち、特に父はエルビス・プレスリーの熱狂的なファンだった。「『1番ティーでは(プレスリーの名曲である)『A Little Less Conversation(おしゃべりはやめて)』が頭の中で流れているんだ」と、スマイリーは笑顔で明かす。

エルビス・スマイリーはレフティのオーストラリア人プレーヤーだ(提供/LIVゴルフ)
その歌詞の通り、彼は余計な言葉を発することなく、クラブで雄弁に語ってみせた。
ラームの猛チャージを受けながらも、彼は冷静だった。
「外見は落ち着いて見えたかもしれないが、それはスポーツ心理学者と取り組んできた成果だ」
ルーキーは最後まで“自分のリズム”を刻み続けた。
師匠キャメロン・スミスとの「師弟愛」、そしてチーム優勝
この勝利は、単なる個人の栄光ではない。彼が所属する「Ripper GC(リッパーGC)」にとっても、そしてキャプテンのキャメロン・スミスにとっても、特別な意味を持つ。

リッパーGCがチーム戦優勝。キャプテンのキャメロン・スミス(左から2番目)の奨学金プログラムでゴルフを続けたスマイリー(提供/LIVゴルフ)
2人の関係は2019年に遡る。当時ジュニアだったスマイリーは、スミスが主宰する奨学金プログラムの受給生として選ばれ、フロリダ州ジャクソンビルにあるスミスの自宅で1週間を過ごした。
「世界最高の選手の生活を間近で見ることができた」
その時背中を追っていた憧れの存在が、今ではチームメイトであり、共に優勝を祝うキャプテンとなった。
「彼がラームのプレッシャーを受けながら勝ち切ったことは、本当に特別だ。誇りに思うよ」
スミスは愛弟子の成長に目を細める。リッパーGCは団体戦でも通算69アンダーという驚異的なスコアで優勝。次週に控えるホーム「LIVゴルフアデレード」に向けて、これ以上ない弾みをつけた。
ラームが語る「72ホールの正当性」
敗れたとはいえ、ジョン・ラームの存在感は圧倒的だった。最終日に「63」を叩き出し、スマイリーに1打差まで肉薄した。今季から導入された「72ホール化」。これについてラームは、敗者の弁ではなく、一人のゴルファーとしてその意義を強調する。
「4ラウンドのほうが、その週に良いプレーをしている選手が報われる。出遅れても巻き返す時間があるし、逆に好調ならリードを広げる時間もある」
以前から72ホール支持派だったラームは、「今日の展開こそが、なぜ72ホールが良いことなのかを示している」と語る。54ホールのスプリント勝負では生まれなかったかもしれないドラマが、4日目のバックナインには確かに存在した。
ユーラインの脱帽、そして次なる戦いへ
3位に入ったピーター・ユーラインは、淡々と勝者を称えた。
「今日はグリーン上で苦しんだが、堅実なプレーはできた。でも結局のところ、エルビスが勝った。それが全てだ」
混戦のリヤドを制したのは、偉大な名前と、偉大な師を持つ若き才能だった。72ホールの長丁場となった新生LIVゴルフ。その最初の王者が、世界的にはまだまだ無名に近いルーキーであったことは、このリーグが単なる興行ではなく、過酷な実力勝負の場であることを何よりも雄弁に物語っている。
エルビスの名曲「A Little Less Conversation」の歌詞、「A Little Less Conversation, a Little More Action(おしゃべりはやめて、行動で示せ)」にあるように――。言葉よりも行動(プレー)でその実力を証明してみせたエルビス・スマイリー。彼の快進撃は、まだ始まったばかりだ。
