LIVゴルフの26年シーズン第2戦アドレード(豪州)大会でアンソニー・キムが10年のPGAツアー、シェル・ヒューストン・オープン以来16年ぶりの優勝を飾った。最終日は元世界No.1ジョン・ラームと全米オープン2勝のブライソン・デシャンボーに5打差の3位からのスタート。勝つチャンスは「1000分の1」しかないと思われたが、終盤4連続バーディを奪ってラームに3打差をつけトロフィーを掲げた。妻子のためどん底から這い上がって掴んだ栄冠に周囲から「まるでおとぎ話のよう」「LIV史上最高のストーリー」という声が続出した。
画像: 「LIV史上最高のストーリー」と称されるアンソニー・キムの優勝(提供/LIVゴルフ)

「LIV史上最高のストーリー」と称されるアンソニー・キムの優勝(提供/LIVゴルフ)

LIVゴルフ公式Xで紹介された「5796日ぶりの勝利」

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アンソニー・キムと聞いてもピンとこない方が多いかもしれない。しかし彼は20代前半にPGAツアー3勝を挙げた若手のホープだった。坊主頭に、歯に衣着せぬ物言い。当時は本当に生意気だった。

しかし、12年にケガのためツアーを去るとその後、公の場から姿を消し消息を絶った。そして今回ゴルフ界を引退してから薬物とアルコール依存、精神疾患と闘っていたことを打ち明けた。

自ら命を断つ寸前で踏みとどまったキムはは、愛妻の妻エミリーさんと長女ベラちゃんのために人生を立て直そうと奮闘。21年から再びクラブを握り練習に打ち込み24年にLIVゴルフに招聘された。しかし25年はシード落ち。

それでも3人しか生き残れないLIVプロモーション(予選会)でトップ3に入り、今季の出場権を獲得した。初戦はワイルドカード(チームなし)での出場だったが、アドレード大会直前にダスティン・ジョンソン率いる「4Aces」と契約しチームの一員となった。

その直後に優勝のチャンスが巡ってくる。

「こういう日がいつか来ると信じていました。誰も思っていなかっただろうけれど自分だけは信じていた」

【動画】大観衆のなかアンソニー・キムの優勝、そして家族との熱い抱擁【LIVゴルフ公式X】

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画像: フェアウェイになだれ込むギャラリーたち。アンソニーの復活劇を見守った(提供/LIVゴルフ)

フェアウェイになだれ込むギャラリーたち。アンソニーの復活劇を見守った(提供/LIVゴルフ)

最終日はまさに“キム劇場“。後半4連続バーディを奪ってラームとデシャンボーを逆転し、トップに立つと3打リードで迎えた最終ホール。LIV屈指のギャラリー数を誇る大会で大観衆がフェアウェイになだれ込みグリーンを取り囲むなか、キムは短いウィニングパットを打つ前、左手でファンを煽り舞台のボルテージは最高潮に。

パットを決めると後半ずっと繰り出してきた大胆なガッツポーズを見せ大歓声のなかキャディと抱き合った。

画像: エミリー夫人とベラちゃんがグリーン上へ(提供/LIVゴルフ)

エミリー夫人とベラちゃんがグリーン上へ(提供/LIVゴルフ)

グリーン上の父のもとに駆け寄るベラちゃん。エミリーさんも交え、3人で抱き合う姿に同組のラームは「競技者としてこんなことはいうべきじゃないかもしれないけれど、彼のプレーは見ていて楽しかった。18番で家族と抱き合ったシーンは魂のある者なら誰もが共感したはず。涙が出そうだったよ」と語った。

「父親なら誰もが家族のためにプレーする。彼がゴルフを通して人生を変えた姿を見せてくれたのは本当に素晴らしかったし感動した。おとぎ話のようでした」(マイク・リーシュマン)

「LIVに参戦した最初の試合で彼と一緒にプレーしました。あのときはゴルフが荒かったから少し(実力を)疑っていました。でもそこから全力で努力を重ね勝利を成し遂げた。僕も自分のことのようにうれしいです」(キャメロン・スミス)

「勝てるとわかっていたけれど、実際勝ってみると信じられない気持ちです。自分を信じていたのは自分だけ。でも誰でもどんなことがあっても乗り越えられるのです」(キム)

画像: 愛娘ベラちゃんと一緒に祝福を受けるアンソニー(提供/LIVゴルフ)

愛娘ベラちゃんと一緒に祝福を受けるアンソニー(提供/LIVゴルフ)

死の淵を覗いたキムは「辛い日でも戦い続ければ決して負けないことを娘に知って欲しい」と切に訴えた。

生意気盛りの20代の頃イガグリ坊主だった彼は、40代で長髪をポニーテールに結うおじさんになった。外見は変わったが闘志溢れるガッツポーズは昔のままだ。


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