パッティングに「正解」はない。しかし、世界ランキングの頂点に君臨する男たちが選ぶ道具には、必ず「理由」がある。今週のジェネシス招待で注目すべきは、単なる「マレットかブレードか」という二元論を超えた、トッププロたちの深層心理と物理的なアプローチだ。世界No.1のスコッティ・シェフラー、No.2のローリー・マキロイ、そして新鋭ラドビッグ・アバーグ。彼らが語ったパター選びの哲学には、スコアメイクの核心が詰まっていた。

S・シェフラー:「線を消す」ことで手に入れたクリアな視界

画像: シェフラーの快進撃はパターをマレットに替えたからといっても過言ではない(写真は25年BMW選手権、撮影/岩本芳弘)

シェフラーの快進撃はパターをマレットに替えたからといっても過言ではない(写真は25年BMW選手権、撮影/岩本芳弘)

かつて、シェフラーはブレードパターを愛用していた。ボールに線を引き、ヘッドのサイトラインと完璧に合わせる。それが彼のルーティンだった。しかし、ある時気づいたという。「ラインを使おうとしたけれど、むしろ気が散るだけだったんだ」と。

「ラインを合わせようとしすぎていたんだ。それが自分には合わなかった」

彼がたどり着いた答えは、テーラーメイドの「スパイダー(マレット型)」への移行だった。そして、それ以上に重要だったのが「ボールの線を消すこと」だった。

「マレットに変えて、ボールの線を消したことで、視界がクリアになった」

パッティングとは「何かをしようとする」作業ではない。「余計なことをしない」ほうが、彼にとっては自然で、結果が出る。マレットの寛容性は、その「無心」を支えるための道具なのだ。

R・マキロイ:練習はブレードでも試合では「寛容性」の高いマレット

画像: 試合では寛容性の高いマレットを使用するマキロイ(写真は25年AT&Tペブルビーチプロアマ、撮影/岩本芳弘)

試合では寛容性の高いマレットを使用するマキロイ(写真は25年AT&Tペブルビーチプロアマ、撮影/岩本芳弘)

一方、ローリー・マキロイも「スパイダー」を手にしている。自宅ではブレードを使って練習するという彼だが、試合となれば話は別だ。

「ミスヒットしてもカップインしてくれる寛容性が必要なんだ」

マキロイは、シェフラーやトミー・フリートウッドといったマレット使用者のスタッツ向上を冷静に分析している。

「彼らの成功を見れば、マレットの優位性は明らかだ」

感性だけでなく、データと実利に基づいて道具を選ぶ。それもまた、現代のトッププロの姿である。

L・アバーグ:「ロフトを減らした」ブレードの物理学

画像: アバーグは一貫してブレードタイプを使用する。この時のパターよりもいまはロフトを少なくしたと話す(写真は25年マスターズ、撮影/岩本芳弘)

アバーグは一貫してブレードタイプを使用する。この時のパターよりもいまはロフトを少なくしたと話す(写真は25年マスターズ、撮影/岩本芳弘)

マレット全盛の時代にあって、「僕はブレードしか知らない」と我が道を行くのがラドビッグ・アバーグだ。オデッセイのブレードパターを愛用する彼は、このオフ、ある「物理的な調整」を行った。

「ロフトの少ない新しいヘッドに変更したんだ」

その狙いは明確だ。

「スタッツを改善するために、ボールの転がり出しを少し速くしたかった」

このオフシーズンに行った調整は、結果として今週の大きな武器となるはずだ。リビエラCCのポアナ芝のように、不規則な転がりをするグリーンでは、出球の勢いが重要になる。ロフトを減らすことでスキップを抑え、順回転を早く生む「転がりの良さ」が、ここでも活きてくるからだ。

「ブレードこそが、僕が知るすべて(All I know)だからね」

あくまでブレードの顔にこだわりながら、中身は最新の理論でチューニングする。これぞ、職人気質のこだわりだ。

「視界をクリアにする」ためにマレットを選んだシェフラー。「寛容性」を求めたマキロイ。そして、「転がり」を追求してブレードを調整したアバーグ。形状は違えど、彼らが目指すのはただ一つ。「入る」という結果だけだ。今週のリビエラで、どの哲学が勝利を掴むのか。グリーン上の道具戦争からも目が離せない。

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