
24年プレジデンツカップでの一コマ(PHOTO/Getty Images)
「安堵と喜び」に満ちた凱旋
「ここ数日は、本当に驚くほど素晴らしい日々だった」
会見場に現れたモリカワの表情は、勝負師のそれというより、幸せを噛み締める一人の青年のようだった。
ペブルビーチでの優勝後、第一子の妊娠を発表。それからの72時間は、ツアー仲間や関係者からの「おめでとう」の言葉が止むことはなかったという。
「ツアーのみんながどれほど気にかけてくれているか、それを実感できたよ。優勝への祝福も多かったけど、『赤ちゃん』のこともたくさん聞かれたよ。僕たちの人生は変わろうとしている。キャサリンも僕も、ただただ興奮しているんだ」
LA出身の彼にとって、ジェネシス招待は特別な「ホームゲーム」だ。家族や友人が駆けつけるこの舞台で、優勝と吉報を同時に報告できる喜び。「少しの安堵と、大きな喜び」に包まれながら、彼はリビエラの芝を踏みしめている。
一方で、相変わらずの「天然」ぶりも健在だ。
「今年が大会の100回記念だって? 正直に言うと、今日プロアマで一緒に回ったミーガン・ワタナベ(リビエラCC社長)に聞くまで知らなかったんだ(笑)」
歴史的な節目の大会であることを知らずに会場入りしていたことを明かし、報道陣の笑いを誘う。そんな飾らない人柄もまた、彼が多くの人に愛される理由だろう。
シェフラーが語る「14歳からのライバル関係」
そんな「幸せ絶頂」のモリカワを、誰よりも温かい目で見つめていたのがスコッティ・シェフラーだ。二人の出会いはジュニア時代、彼らがまだ14歳の頃に遡る。以来、大学ゴルフ、そしてPGAツアーと、常に同じステージで競い合ってきた「幼馴染」のような関係だ。
先週のペブルビーチ最終日、シェフラーはモリカワの後塵を拝した。しかし、敗れた直後に目にした光景――モリカワが優勝カップを掲げ、同時に新しい命の誕生を発表したシーン――は、勝敗を超えて彼の心を揺さぶったという。
「負けたことは悔しいよ。だけど、あれは最高にクールな瞬間だった」
シェフラーは、モリカワにこう声をかけたという。
「優勝おめでとう。そして、パパになることに、もっと大きなおめでとうを言いたいね」
ゴルフのスコアは一時的なものだが、家族が増える喜びは一生続く。自身も父であるシェフラーは、その重みと素晴らしさを誰よりも理解しているのだ。
「僕たちは長い間、競い合ってきた。彼が人生の新しいチャプターに進むのを見るのは、本当に嬉しいことだ」
殺伐とした世界に咲く「友情」
プロゴルフは孤独で過酷な個人競技だ。しかし、フェアウェイを降りれば、そこには同じ時代を生き、同じ苦悩と喜びを分かち合う仲間がいる。14歳から切磋琢磨してきた二人のトッププロ。一人は世界ランク1位として君臨し、もう一人は復活優勝と共に父になる。互いをリスペクトし、心から祝福し合うシェフラーとモリカワの姿は、スコアボードの数字よりも雄弁に、ゴルフというスポーツの豊かさを物語っていた。
【動画】コリン優勝の瞬間、妻キャサリンさんは?【PGAツアー公式X】
@PGATOUR post on X
x.com
