「長谷部祐とギア問答!」は、国内外大手3メーカーで、誰もが知る有名クラブの企画開発を20年超やってきたスペシャリストの長谷部祐氏に、クラブに関する疑問を投げかけ、今何が起こっているのか? その真相を根掘り葉掘り聞き出すものです。クラブ開発の裏側では、こんなことが考えられているようです……。

「ベンタス」は一発の飛びより「曲がらないシャフト」だった

GD 今日は1月29日に発売になったばかりの「26ベンタスTRブルー」の5Sと5Rを打っていただきました。「ベンタス」はここ数年、トップアマを含む多くのアスリートゴルファーに支持されている人気のシャフトですが、「26ベンタス」も間違いなく人気になると思います。まず「ベンタス」とはどのような特性のシャフトなのでしょうか?

長谷部 「ベンタス」は、フジクラコンポジットがアメリカ市場対策として作ったブランドですから、完全に「アメリカ発信のアメリカスペック」からスタートしています。三菱ケミカルの「TENSEI」と同じような考え方ですね。
 
日本の市場に合うかどうか以前に、「まずアメリカのゴルファーに合うものを」という思想で作られている。だから歴代モデルも、日本人にとっては少しハードな設定になっています。

GD PGAツアーでの人気が発祥ですが、今は一般の競技志向や感度の高いゴルファーも使うようになっています。その背景には何があるのでしょうか?

長谷部 ゴルフクラブ全体のトレンドとして、アメリカブランドのヘッドが市場の7割近くを占め、定着したことが大きいですね。「アメリカ製=難しい、ハードだ」という認識が、ここ10年ほどでかなり払拭されました。
 
PGAツアーへの憧れもあり、ドライバーヘッドと同じ流れで、シャフトについてもスムーズに浸透したのだと思います。

GD 以前は「TENSEI オレンジ」や「KUROKAGE」が流行りましたが、それらと同じ系統のシャフトだと考えていいのでしょうか?

長谷部 同じ系統かというと、少し違う気がします。三菱とフジクラでは設計思想が違いますし、アメリカの選手はトルクよりも「硬さ」を求める傾向があります。
 
日本だと「軽量でトルクが3点台なら良いシャフト」といったスペック上の定説がありますが、アメリカは硬さ重視。トルクが4点台でも、シャフト全体がしっかり硬ければ選手は使ってしまいます。
 
また、当時はまだ今ほどの大慣性モーメント(MOI)ヘッドが主流ではありませんでした。「ベンタス」には先端のねじれを抑える「VeloCore(ベロコア)」という設計思想が取り入れられており、モデルによって高弾性素材の使い方まで変えていますが、ここ5年ほどで急激に大型化したヘッドのニーズに、この技術がうまくハマったのだと見ています。

GD それは「先端のトルクを抑えている」ということですか? それとも「剛性が高い」ということ?

長谷部 どちらもあると思います。単純にトルクを絞るだけならバイアス層をガチガチにする方法もありますが、『TR』はベロコアテクノロジーに加えて、最外層に網目状の素材を使っていたりするので、先端のフレックスとしての硬さも、共に強くなっていたのは間違いないですね。
 
ただ、「26ベンタスTRブルー」は、先端のEI値(剛性)が「24ベンタスブルー」と違うので少し飛ばしを意識した感じはします。

GD プロが使う低スピン(LS)モデルも、今はMOIが大きくなっていますよね。

長谷部 そうですね。「SIM2」以降、PINGも含めてMOIは急激に大きくなりました。
“LS”と銘打たれていても、前作よりMOIが大きいのが当たり前。ヘッドがミスヒットに強くなっても、打った瞬間にシャフトがよじれてしまったら、その性能を活かせません。だからこそ、先端の動きを抑える設計が必要だったという結論でしょう。

GD ヘッドの変化が起点となり、そのトレンドがPGAツアーから日本のプロへ、そして感度の高いアスリート層へと広がっていったのですね。

長谷部 その通りだと思います。プロが使うシャフトをチェックした際、手元にシルバーのマークが入ったブルーのシャフトは非常に目立ちました。あのアイキャッチなデザインが「あれは何だ?」という好奇心を生み、一気に認知が広がりました。

GD メーカーの純正(コラボ)シャフトにもベンタスブランドがありましたが、今回のお話とは別物ですよね。

長谷部 はい、今回はアフターマーケット用のカスタムシャフトの話です。純正のコーブランディングについては、メーカー側がツアーでのベンタス人気に乗りたかった、という側面があるのでしょう。

GD 一般的には5Sや6Sが選ばれますが、今回はあえて「5R」を打ってもらいました。「ベンタス」を使ってみたいけど打ちこなせるかわからない人にとって、5Rは安心感があるように思えます。試打した印象はいかがでしたか?

長谷部 そこが難しいところです。私のヘッドスピードは41m/s程度で、飛ばしても225ヤードというレベル。「初代TRブルー」を使っていた時期もありますが、「曲がらないけれど飛ばない」というのが自分の中の結論でした。今回の「26ベンタスTRブルー」なら、ヘッドスピードの目安としては、5Sなら43m/sほどあったほうがスペックを活かしきれるでしょう。
 
では、5Rなら43m/s以下の方でも飛ばせるかというと、一概にそうとは言い切れません。
 
ただ、「曲がらない」という点での安心感は抜群なのと、これまで弾道が低かった方にも高打ち出しで飛ばせる可能性があります。あくまでも「24ベンタスブルー」との対比ですが。なので、「飛距離か、方向性の安定か」という二択なら、後者を求める人に5Rという選択肢はアリだと思います。

GD 人気のシャフトは「飛ぶシャフト」と思われがちですが、「ベンタス」は“曲げないためのシャフト”であると?

長谷部 基本的なブランド思想は、そう言い切ってもいいかもしれません。アメリカの評価コメントも「安定性の強さ」に集約されます。パワーのある人が叩いても、ミスヒットに強く曲がらない。その結果として、平均飛距離が伸びるという考え方です。理想的な弾道で一発の最大飛距離を求める人には、あまりおすすめできないかもしれません。

GD ポテンシャルとしてのヘッドスピードは、やはり43m/sくらいは欲しいところですか。

長谷部 理想を言えば、5Sを使うなら43m/sは欲しいですね。私も5Sを打てなくはないですが、18ホール振り切れるかというと自信がありません。かといって5Rに下げると、今度はタイミングが取りづらく感じてしまう。振りやすいタイミングは5Sなのですが、実戦で最後まで使いこなせるのか? というジレンマがあります。

GD フレックス(硬さ)は「しなり戻りの距離」ですから、タイミングの取りやすさに直結しますよね。

長谷部 剛性とは別の話ですが、手元の振動数で管理するメーカーであれば、フレックスが下がれば手元の剛性も下がるので、振り抜きの感覚に違いが出てきます。

GD 長谷部理論では“振りやすさ”が第一優先ですが、その視点で見ると「ベンタス」はどう位置づけられますか?

長谷部 正直に言うと、フェアウェイウッドなどで「絶対に曲げたくない、安定させたい」時には最高です。中間部から先端がしっかりしていて当たり負けする気がしません。抜群の安定感があります。
 
ただ「飛ばす魅力」という点では、日本のアマチュアにとってはグラファイトデザイン「ツアーAD」や、フジクラなら「スピーダー」、日本シャフトの「レジオ フォーミュラ」のような、早いしなり戻りを感じるモデルのほうが恩恵は大きいかもしれませんね。

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「ツアークオリティのクラブ工房」からのお知らせ!

国内大手メーカーで27年間、トッププロ、トップアマのクラブサポートしてきたクラフトマン今井正人氏が主宰するツアークオリティのクラブ工房(ゴルファーズラウンジby tantanto.)では、「26ベンタスTRリシャフトキャンペーン」を実施しております。確かな腕で仕上げられた商品をご提供します。お気軽にお問合せください。

【料金】:1本/44000円(税込み、送料別)
※当キャンペーンには希望するメーカーのスリーブ装着代とグリップ代が含まれます。グリップは「ゴルフプライドツアー360」、または「イオミック」が装着可能です。他のグリップをご希望の方は要相談とさせていただきます。
※場所/東京都港区赤坂2-13-18コリンズ33 B1F(バーディ赤坂24内)
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