テストの舞台は、アメリカ・アリゾナ州にある「COOLCLUBS SunRidge Canyon」。ゴルフ場に隣接した世界最高峰のフィッティング施設である。インドアのブースからコースの広大な練習場(屋外)に向けて放つショットは爽快そのもの。さらに少し前へ出れば、実際の芝の上から実戦感覚でテストができる、ギアの真価を問うにはこれ以上ない環境だ。

COOLCLUBS SunRidge Canyon。施設内には多種多様なヘッドとシャフトが用意され、設備も充実。アリゾナの陽光のなか、芝の上から試打もでき、より実戦に即したフィッティングが可能
今回この2つのヘッドの性能を調査するのは、世界有数のフィッティングスタジオ「クールクラブス」の創業者であり、膨大なデータと長年の経験を持つCEOのマーク・ティムズ氏。そしてテスターを務めるのは、プロテストにも挑む腕前とギアへの深い造詣を持つクールクラブス名古屋のフィッター、丹羽優介氏である。

クラブフィッティングを世界的に広めた「クールクラブス」の創業者でありCEOのマーク・ティムズ(Mark Timms)氏

クールクラブス名古屋で日夜フィッティングに勤しむ丹羽優介氏。ドライバーの飛距離は300Yに迫る飛ばし屋でもある
Qi4D「TOUR」の調整機能が大きく変化
テストに入る前、マーク氏は自社で研究したデータをもとに、PGAツアーにおけるフェアウェイウッドの現状と、両モデルの構造の違いについて語った。
「テーラーメイドは昔から素晴らしいフェアウェイウッドを作ってきましたが、今回の『Qi4D』シリーズはさらに進化しています。以前のツアーモデルには前後に動く大きなスライディングウェイトが搭載されていましたが、周辺パーツも多かったため前後にしか動かせず、左右の弾道調整が難しかった。しかし、最新の『Qi4D TOUR』は、ウェイトによる左右の調整機能が格段に向上しました。これがツアープロの間でも高く評価されている。実際、PGAツアーでの使用率は現在、『Qi4D』(コアモデル)『Qi4D TOUR』でほぼ半々のようです。

マーク氏が推す『Qi4D』シリーズのウェイト調整機能。フィッティングの可能性が劇的に広がったという
従来と同じくコアモデルはスチール製、TOURモデルはチタン製ですが、一番の違いはサイズ感。明らかにスチール製のコアモデルの方が少し大きく安心感がありますね。一方で、TOURモデルの弾きの良さが一段と向上しました。チタン素材を採用してフェースの反発力が高く、初速性能において私はかなり評価しています。より強い球が打てるのがTOURモデルの大きな強みですね」

Qi4D(左)とQi4D TOUR。ヘッド形状、大きさの違いが見て取れる
顔つきと重心設計はスウィングに大きく影響する
試打席をインドアから芝の上へと移し、実戦感覚でのテストがスタートした。打ち比べることで、顔つきと重心設計がもたらす明確なキャラクターの違いが浮き彫りになった。
「『Qi4D TOUR』は、コアモデルに比べて投影面積が小さく、小顔に感じますね。チタン製による重心設計の妙なのか、重心位置が浅く設定されているため、インパクトの時にソールの後ろ側が地面に当たるような動きが出ません。あおり打つクセがある人や、引っかけのミスが出やすい人に非常にマッチするヘッドだと思います。また、ヘッドが小ぶりなぶん、ライが悪い状況でも上から鋭角にコンタクトし、打ち込んでいける強みがありますね。一方で『Qi4D』(コアモデル)は、フェースがシャロー(薄い)。ソールが地面にペタッと接地する感覚があり、とにかく据わりがいい。このシャロー形状のおかげで、芝の上からでも圧倒的にボールが拾いやすく、安定して高弾道のショットが打てます。さらにスイートエリアが広いので、多少打点がズレても飛距離や方向への影響が少なく、大きなミスにならないのが最大の魅力ですね」(丹羽氏)

「『Qi4D』はミスヒットでも飛距離の落ち込みは極めて小さいです」(丹羽氏)
実際、丹羽氏が『Qi4D』(3番ウッド・15度)を放つと、やや薄めに当たったショットでもしっかりとボールが上がり、危惧していた左への巻き込みもほぼおこらない。その弾道を見たマーク氏は、丹羽氏のスウィングデータと照らし合わせてこう解説する。
「素晴らしい弾道です。Yusuke(優介)のフェアウェイウッドのアタックアングル(入射角)は1〜2度のダウンブロー。だからこそ、3番ウッドは地面からでもやさしく高さが出しやすいモデルが合っています。プロが『Qi4D』(コアモデル)にこだわるのもまさにそこで、寛容性が高く、高さを出しやすいから。ちなみに、ロフト15度の場合、打ち出し角10〜13度、スピン量3200〜3600rpmが理想的なストライクゾーン。Yusukeのショットはまさにそこに収まっていますよ」
マーク氏はさらに、丹羽氏の左へのミスを完全に消すため、スリーブ調整でロフトをマイナス1度(フェースをわずかに開く設定)にし、実戦で迷いなく振り抜ける緻密なチューニングを施していった。
高弾道のコア、強弾道のTOUR
実際に丹羽氏が芝の上からテストした、ベスト5球の平均値は以下の通り。
Qi4D (ロフト15度)
ヘッドスピード:45.8 m/s
ボール初速:68.6 m/s
ミート率 :1.50
スピン量:3663 rpm
キャリー:253.8 ヤード
トータル飛距離:268.6 ヤード
Qi4D TOUR (ロフト15度)
ヘッドスピード:45.9 m/s
ボール初速:68.2 m/s
ミート率:1.49
スピン量:3351 rpm
キャリー:248.4 ヤード
トータル飛距離:270.1 ヤード
※使用機器はTRACKMAN
このデータからも、2人の分析がリンクしていることがわかる。丹羽氏のスウィングにおいて、シャローでボールが拾いやすい『Qi4D』は、ミート率が1.50と極めて高く、安定して芯をとらえられていることがわかる。スピン量が3663rpmと適度に入り、キャリー(253.8ヤード)をしっかり稼げる仕様だ。一方の『Qi4D TOUR』は、マーク氏が語ったチタン特有の初速性能のポテンシャルを秘めつつ、スピン量が3351rpmと少なく抑えられているのが特徴。キャリーこそコアモデルに譲るものの、浅重心による力強い中弾道とランの多さによって、トータル飛距離(270.1ヤード)ではコアモデルを上回った。左へのミスを消しつつ、アゲンストの風にも負けない強い球を打ちたいシチュエーションで威力を発揮する。

Qi4D TOUR(左)に比べ、Qi4Dはシャローフェースでボールを拾いやすい
どちらもPGAツアーの第一線で通用するトップレベルのポテンシャルを秘めているが、目指すべき弾道とプレースタイルによって選ぶべきヘッドは明確に分かれる。
Qi4D(コアモデル):安心感のあるヘッドサイズとシャローフェースで、フェアウェイからでもやさしくボールを拾い、高弾道でキャリーをしっかり稼ぎたいプレーヤー向け。打点のブレにも強く、コースでの安心感と許容性を求める人はこちら。
Qi4D TOUR:チタン素材による高い初速性能と、小ぶりで操作性の高いヘッドを求めるプレーヤー向け。ライを問わず上から球をとらえられ、左右の重心調整機能を駆使して特定のミスを消しながら、強弾道でターゲットを狙い打ちたい中・上級者の強力な武器。
自身のスウィング軌道(アタックアングル)やミスの傾向を見極め、それぞれのヘッドが持つ素材と構造の強みを理解することが、スコアメイクを支える最高の1本に出会うための鍵となるだろう。
とかくドライバーが注目されがちだが、契約外のプレーヤーからも引く手あまたの『Qi4D』シリーズフェアウェイウッド。早くも名器の予感が漂っている。
テーラーメイド ゴルフ 「Qi4D」特設サイトはこちらから


