熱帯特有の湿気と重い空気がまとわりつくシンガポール・セントーサGC。「HSBC女子世界選手権」のムービングデーを終え、リーダーボードの最上段には、通算11アンダーで並ぶ二人の名前があった。ハナ・グリーンとミンジー・リー。共にオーストラリアを代表するトッププレーヤーであり、プライベートでもオフシーズンを共に過ごすほど仲の良い親友同士だ。しかし、長いキャリアの中で、二人が最終日の最終組で直接対決を演じることは稀である。過酷なアジアシリーズで首位に並んだ二人だが、今大会を迎えるまでの調整法や戦い方は、見事なまでに対照的だった。
画像: 23年「BMW女子選手権」でミンジー・リーが優勝したときに誰よりも早くシャンパンシャワーをしたのが花・グリーンだった(PHOTO/Getty Images)

23年「BMW女子選手権」でミンジー・リーが優勝したときに誰よりも早くシャンパンシャワーをしたのが花・グリーンだった(PHOTO/Getty Images)

ハナ・グリーンの「愛の力」と忍耐

2024年の同大会覇者であるグリーンは、今週、ある“特別な相棒”を連れてシンガポールに乗り込んできた。彼女の夫だ。この規模のビッグトーナメントで夫がキャディとしてバッグを担ぐのは初めてのことだが、この夫婦二人三脚がグリーンの精神状態に劇的な安定をもたらしている。

「ツアーを戦う上で一番難しいのは『我慢強くいること』。良いショットを打ってもパットが入らない時など、不運な状況を受け入れるのは大変だ。でも、夫もゴルファーだから、その気持ちを理解してはね返してくれる」

プロの過酷な世界を共有できる夫の存在が、張り詰めた緊張感を和らげている。「夫がキャディをしてくれているおかげで、私は我慢強くプレーできている」と語るグリーン。先週のタイから好調を維持する彼女は、愛の力と深い信頼関係を武器に、大会連覇へと突き進む。

【動画・約8分】HSBC女子世界選手権3日目、ハナ・グリーンのハイライト【LPGA公式YouTube】

画像1: Hannah Green in co-lead after moving day www.youtube.com

Hannah Green in co-lead after moving day

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ミンジー・リーの「天才的な休息」

一方、今季初戦となるミンジー・リーのアプローチは、まさに“天才肌”と呼ぶにふさわしいものだ。昨年の最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」を終えてから、彼女はなんと約7週間もの間、ゴルフクラブに一切触れることなく完全な休養を取った。「プロ転向後、これほど長くゴルフから離れたのは初めて」だと本人は語る。

「ただ好きなことをして楽しんだわ。友達と会ったり、お酒を飲んだりね。自分にはそれだけの時間をもらう資格があると思ったから」

練習を再開したのは大会の約1カ月前。普通なら「試合勘の欠如」や「調整不足」を懸念するほどの長いオフだが、いざ蓋を開けてみれば、新しいドライバーを武器に初戦から首位に立ってしまった。

「休む時は徹底して休み、やるときはやる」

ツアー12年目を迎えたベテランの、オンとオフを完璧に切り替える究極のピーキング術がそこにある。

【動画・約11分半】HSBC女子世界選手権3日目、ミンジー・リーのハイライト【LPGA公式YouTube】

画像1: Minjee Lee co-leads heading into the final round in Singapore www.youtube.com

Minjee Lee co-leads heading into the final round in Singapore

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友情と勝負の行方、そして日本勢の逆襲

長年の友人である二人が、日曜日の最終組で激突する。 グリーンが「ミンジーとは良い友達だけど、彼女のスコアに気を取られすぎないようにしたい。自分のプレーに集中して、バーディとパットを量産するだけ」と語れば、ミンジーも「これまで一緒にプレーする機会は意外と少なかったから、きっと楽しい挑戦になるはず」と余裕の笑みを浮かべる。

互いを知り尽くした豪州コンビによる、意地とプライドがぶつかり合う頂上決戦。そこに、虎視眈々と逆転を狙う日本勢がどう絡んでいくのか。シンガポールの熱帯夜を切り裂く、極上のドラマがいよいよ幕を開ける。


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