女子ゴルフの今季国内ツアーは5日、ダイキンオーキッドレディス(沖縄県・琉球GC)で開幕する。全37試合が開催される今季の注目選手は誰か。青木瀬令奈のコーチ兼キャディを長く務め、女子ツアーに精通しているプロコーチの大西翔太氏の見解を聞いた。
画像: 安田祐香(左)と青木瀬令奈(中央)を指導する大西翔太コーチ(撮影/姉崎正)

安田祐香(左)と青木瀬令奈(中央)を指導する大西翔太コーチ(撮影/姉崎正)

GD いよいよ開幕ですね。大西コーチが今季注目している選手は誰ですか?

大西 まず、開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」で最大の注目といえば、やはり岩井姉妹でしょう。特に妹の千怜選手には大会3連覇の偉業がかかっていますし、オフの海外遠征でも優勝争いを演じるなど、非常に高いパフォーマンスを維持しています。

GD 千怜選手は2月のホンダLPGAタイランドは2位に入っています。

大西 彼女たちを見ていて改めて思うのは、この姉妹は「世界に類を見ない、ある種の奇跡」だということです。2人ともプロになり、トッププレーヤーとして日本で勝ち、海外でも活躍する。そんな姉妹は他にいません。お互いがトッププロだからこそ、言葉にしなくても分かり合える部分があり、一方が苦しい時はもう一方が支える。まさに二人三脚のような盤石の状態が作られています。もっともっと注目され、ピックアップされていい存在です。

GD 岩井姉妹は昨年は米ツアーを主戦場にして優勝を果たすなど活躍しています。技術面の進化も相当なものがあるのでしょうか。

大西 スウィングが究極的にシンプルになっていますね。余計なコックの動きが排除され、スウィングアークが以前よりもさらに大きくなっています。両肩とボールを結ぶスウィングプレーンにピタリと乗っていて、プレッシャーがかかる場面でも正確に振り抜ける。そこに海外のタフなコンディションで鍛えられた「どんな困難にもへこたれないメンタル」が加わっています。

GD ショートゲームも技術が高いですね。

大西 100ヤード以内の精度や、勝負どころで決めるパッティングなど、まさに「頭の先からつま先までスキがない」最強の姉妹と言えます。

GD 岩井姉妹は主戦場が米ツアーですが、国内ツアーを中心にする選手の中では誰に注目していますか?

大西 今年の年間女王争いの筆頭候補として私が名前を挙げたいのが、神谷そら選手です。彼女の武器は何と言っても圧倒的な飛距離。単に飛ぶだけでなく「飛んで曲がらない」という、全ゴルファーの理想を形にしています。マネージャーさんの話では、このオフでさらに飛距離が5ヤード以上伸びているそうですよ。飛ばし屋の選手はショートゲームに課題があることが多いのですが、神谷選手はアプローチのバリエーションが豊富で、パターでもボールの芯を捉える技術が非常に高い。今年は年間で3勝、4勝……いや、5勝してもおかしくない爆発力を秘めています。

GD 神谷選手は昨季のメルセデス・ランキング2位、ドライビングディスタンスは261.92ヤードで堂々1位でしたね。

大西 長期休養明けとなる実力派の小祝さくら選手からも目が離せません。彼女のすごさはどんな状況でも淡々とプレーを続ける精神力と、勝負どころのアイアンの精度にあります。昨年、彼女が12勝目を挙げた時も間近で見ていましたが、まさに「ショットメーカー」と呼ぶにふさわしい内容でした。また、昨年クマ出没でも話題になった明治安田レディスで彼女と練習ラウンドをともにしたのですが、隣で見ていて球の伸びと、狙った場所に落とす技術の高さには改めて驚かされました。昨年手首の手術を受けましたが、術後のケアも万全だと聞いていますし、今シーズンも安定して上位に食い込んでくるでしょう。

GD 小祝選手が復帰すると女子ツアーは一層盛り上がりそうです。

大西 劇的な「進化」を感じさせてくれるのが河本結選手です。一時期は左を向いてスライスを打つような苦しい時期もありましたが、今はしっかりと目標に対して真っすぐ構え、左に打ち出して戻してくる力強い「パワーフェード」を習得しています。橋本(真和)コーチとパッティングを念入りに調整し、メンタルトレーナーをつけたり、毎日読書をしてゴルフへの向き合い方を深めたりと、心技体すべてにおいてすさまじい底上げを図っています。本人は「女王を狙う」と公言していますし、早い段階で1勝を挙げれば、そのまま女王争いの中心に躍り出るはずです。

GD 確かに河本選手は今季は女王を戴冠しそうな雰囲気がムンムンしていますね。若手やベテランはどうですか?

大西 若手やベテランの中にも面白い選手がたくさんいます。圧倒的な飛距離を誇る鶴岡果恋選手はドライバーからアプローチまで穴がなく、自分のペースを崩さないオールラウンダーの小林光希選手は今季初優勝の期待がかかります。また、ベテラン木戸愛選手の復活にも注目してほしいですね。スウィング改造でボールをしっかり捕まえられるようになり、基本である「8時-4時のスウィング」をシンプルに徹底することで、本人も大きな手応えを感じているようです。さらに菅楓華選手、吉田鈴選手、都玲華選手といった若手たちの「ハングリー精神」も脅威です。特に菅選手のスウィングは上半身の回転と下半身の体重移動がスムーズな「教科書のようなスウィング」で、スポンサーへの恩返しを誓う心意気も素晴らしい。吉田選手と都選手は昨年メルセデス・ランキングで50位と51位という、シード権を巡る紙一重の差を経験しました。その悔しさから自分に足りないものを見つめ直し、穴を埋めてきているので、今年は一気にランキングを上げてくるでしょう。

GD 大西コーチが指導している「チーム大西」についても聞かせてください。このオフはどんな課題に取り組み、今季はどのあたりを目標に置いているのですか?

大西 青木瀬令奈選手は昨年は足の指(中足骨)を粉々にするほどの骨折を抱えながら戦っていました。しかし、今オフ初動負荷理論を取り入れた「4Dストレッチ」という器具を導入し、柔軟性と身体機能を劇的に改善させています。パッティングの技術は日本一のレベルですから、コンディションさえ整えば、2023年大王製紙エリエールレディス以来の優勝をつかみ取る準備はできています。

GD 安田祐香選手はまずは通算3勝目が目標ですね。

大西 安田選手もスウィングの完成度はすでにトップクラスです。昨年は5カ月間けがで苦しみましたが、それを「無駄なことは一つもない」とプラスにとらえるメンタル強化を2人で進めてきました。元々アマチュア時代からエースだった彼女ですが、今はミスを引きずらず、1打1打を楽しめるスマートなゴルフができるようになっています。持ち前のドローボールに加え、カットボールも自在に操る技術を磨いていますので、今年は「複数回優勝」を目標に大暴れしてほしいと思っています。

GD ツアー生活は移動など過酷なことも多いと聞きます。女子ツアーに長く携わってきた大西コーチです。最近、あるいは今年のツアーについて思うとことはありますか? 例えば今季のニトリレディスは北海道の釧路での開催ですが、各選手のホテルの予約がかなり難しかったと聞いていますが。

大西 女子プロたちはそういう厳しい環境に慣れていますから、私たちもそうですが、宿泊先はしっかり押さえていると思いますよ。

GD 大西コーチの話を聞いて、さらに一層開幕が楽しみになってきました。

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