オニールCEOの発言の真意と、目前に迫る「韓国」の発表
会見の中盤、メディアから「将来的に中国人プレーヤーがLIVに加わる可能性はあるか?」という質問が飛んだ。これに対し、オニールCEOは「もちろんだ」と即答した上で、アジアのゴルフ市場全体を見渡すように言葉を続けた。
「我々は市場を見ている。間違いなくゴルフが盛んな市場だ。オーストラリアの盛り上がりを愛しているし、金曜日には韓国での(新規大会の)発表も控えている。そして、我々がまだ進出していない中で、非常に興味深い市場が『日本(Japan)』だ」
質問された中国にとどまらず、CEO自らの口で意図的に「日本」という具体的な国名を挙げた事実。これは単なるリップサービスではなく、彼らの巨大な戦略マップの中に、日本が明確なターゲットとしてプロットされていることを示唆している。さらに、今週の金曜日には隣国・韓国での大会開催が正式発表されることも明言され、LIVのアジア・パシフィック戦略が急ピッチで進んでいることが窺える。
LIVのアジア戦略における「最後の巨大市場」
LIVゴルフにとって、アジアはすでに巨大な成功を収めている重要な拠点だ。オニールCEOは会見で、「LIVゴルフは世界中の各市場において、優に10億ドル(約1500億円)以上の経済効果をもたらしている」と胸を張った。
しかし、冷静にアジアのゴルフ市場を見渡せば、巨大なゴルフ人口と成熟したインフラ、そして熱狂的なファンを持つ「日本」にLIVが上陸していない現状は、いびつな「空白地帯」とも言える。現在、日本国内の男子ツアー(JGTO)はDPワールドツアー(欧州)やPGAツアーと協力関係を結ぶ一方で、LIVへの昇格ルートを持つアジアンツアーとも「Shinhan Donghae Open」を共催するなど、確かな結びつきを持っている。そうした複雑な国際関係のしがらみが存在する中で、LIVのトップが公の場で「日本は非常に興味深い市場」と発言した意味は極めて重い。水面下で、日本上陸に向けた何らかの青写真が描かれていると考えるのが自然だろう。
「フルサークル・エクスペリエンス」が日本にやってくる日

静寂とはほど遠い、アデレードのでLIV。ただこの「フルサークル・エクスペリエンス」がLIVの魅力とオニールCEOは話す(提供/LIVゴルフ)
もし、LIVゴルフの日本開催が実現したとしたら、我々はどのような光景を目にするのだろうか。オニールCEOがLIVの魅力として語るのが、「フルサークル・エクスペリエンス(全方位型の体験)」だ。コース上に大音量の音楽が鳴り響き、子供から大人まで家族連れがフェスティバルのように楽しめる、これまでの伝統的なゴルフ観戦の常識を覆すエンターテインメント空間である。
厳格な静寂を重んじる日本のゴルフ文化に、この熱狂の渦が持ち込まれた時、どのような化学反応が起きるのか。そして何より、現在LIVゴルフの舞台で世界を相手に孤軍奮闘している浅地洋佑が、ジョン・ラームやブルックス・ケプカといったスーパースターを引き連れて、母国で凱旋プレーを披露する日が来るかもしれない。
LIVゴルフCEOが放った「日本」という二文字のキーワード。それは、分断と統合に揺れる世界のゴルフ界において、日本のゴルフビジネスの未来を大きく動かす可能性を秘めた、強烈な布石である。


