2026年シーズンのLIVゴルフ第3戦「LIVゴルフ・香港」が3月5日に香港ゴルフクラブ(6711ヤード・パー70)で幕を開ける。巨額の契約金で結ばれたスーパースターたちが華やかなチーム戦を繰り広げるなか、その枠組みの外で静かに、しかし熱く闘志を燃やしている一人の日本人がいる。浅地洋佑だ。全57名の限られたフィールドにおいて、いかなるチームにも属さない「ワイルドカード(個人枠)」として今季から参戦している彼は、開幕戦のリヤド大会で17位タイ、続く第2戦アデレード大会で24位タイと、予選カットがないとはいえ、世界トップクラスの猛者たちを相手に堂々たる成績を残し続けている。そして今週、彼が残した“ある驚異的なスタッツ”が、香港での大躍進を予感させている。
画像: インターナショナルシリーズ2位の資格でLIVゴルフに挑戦している浅地洋佑(撮影/増田保雄)

インターナショナルシリーズ2位の資格でLIVゴルフに挑戦している浅地洋佑(撮影/増田保雄)

神がかったショートゲーム。LIV史上2位のスクランブリング「10/10」

画像: 月刊GD3月号の取材で「昔は60度1本でアプローチをしていたが、いまではウェッジだけでなく9Iや8Iも使うようになり、技のバリエーションが増えた」と浅地は話す(撮影/増田保雄)

月刊GD3月号の取材で「昔は60度1本でアプローチをしていたが、いまではウェッジだけでなく9Iや8Iも使うようになり、技のバリエーションが増えた」と浅地は話す(撮影/増田保雄)

浅地の持ち味である緻密な技術は、LIVゴルフという大舞台において、誰もが驚く数字として可視化された。前戦、オーストラリア・アデレードでの最終ラウンド。浅地は「スクランブリング(パーオンを逃したホールで、パーかそれより良いスコアで上がるリカバリー率)」において、なんと10回中10回成功という「100%」の完璧な数字を叩き出したのだ。

この記録は、LIVゴルフの歴史においても、1ラウンドにおけるスクランブリング成績として歴代2位に相当する偉業である。さらに驚くべきことに、彼は現在「12ホール連続」でリカバリーに成功し続けており、これは現在進行形のリーグ最長記録となっている。派手な飛距離や力強い弾道ばかりが注目されがちな海外ツアーにおいて、グリーン周りの泥臭いアプローチと繊細なパッティングでパーを拾い続けるこのスタッツは、浅地の並外れた集中力と卓越した「小技の証明」に他ならない。

香港GCとの抜群の相性。飛ばし屋が苦しむセッティング

そして今週、戦いの舞台となる「香港ゴルフクラブ(ファンリング)」は、彼の神がかったショートゲームが最大限に活きるコースだと言っていい。

1889年開場というアジア屈指の長い歴史を誇るこの名門コースは、パー70、全長6711ヤードと、現代のツアーの中では極めて距離が短い。しかし、その分だけ緻密な戦略性とショットの精度が執拗に試される。開幕戦の「LIVゴルフ・リヤド」、そして地元開催の「LIVゴルフ・アデレード」を連勝し、勢いに乗る「リッパーGC」のメンバーたちも、開幕前の会見でこのコースの特異性を強調している。ベテランのマーク・リーシュマンが「ここは決して飛ばし屋のパラダイスではない。ティーショットのポジショニングが極めて重要で、典型的なセカンドショット・コースだ」と語れば、開幕戦で劇的なデビュー戦勝利を飾った若き才能エルビス・スマイリーも「グリーンが奥から手前へ傾斜しているため、常にホールの低い位置(手前)にボールを残すマネジメントが重要になる」と警戒を強める。

歴史ある林間コースの趣がある香港GCが今週の舞台【LIVゴルフ公式X】

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パワーだけではねじ伏せることができない、繊細なボールコントロールと極限のコースマネジメントが要求されるセッティング。それは、現在ツアー屈指のリカバリー力を誇る浅地洋佑のプレースタイルに、合致しているといえるだろう。

ワイルドカードの重圧を力に変えて

チーム戦の枠外で戦うワイルドカードの選手にとって、ツアーでの生き残りは常に背中合わせのプレッシャーだ。チームキャプテンからの保護や複数年契約を持たない彼らは、自らの力で毎試合結果を残し続けることでしか、来季のシートを確保する道はない。

だからこそ、浅地の一打には魂がこもる。絶体絶命のピンチからでも必ずパーをもぎ取る驚異的なリカバリー率という確かな武器を手に、日本が誇るショットメーカーが香港の難コースをどう攻略するのか。 世界最高峰のフィールドで上位を脅かす「ジャイアントキリング」の予感に、我々日本のファンの胸は高鳴っている。

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